※写真は、ソユーズの打ち上げ。読売新聞サイトから転載
野口さん、2度目の宇宙へ ソユーズ 期待と不安
■露の伝統技術学ぶ/不安定な一極支配
ロシアの宇宙船「ソユーズ」に搭乗する野口聡一さん(44)の2度目の飛行
は、日本人の宇宙長期滞在の本格化と「ソユーズ時代」の幕開けを告げるもの
となった。日本にとってはロシアの伝統的な宇宙技術を学ぶ好機となる一方、
ロシアは再び宇宙開発の主導権獲得に意欲をみせ、有人船の“一極支配”は多
くの懸念材料を抱えている。
国際宇宙ステーション(ISS)計画は大型物資も運べる米スペースシャトル
と、飛行士だけが乗るソユーズを両輪に進んできた。しかし、シャトルはISS
が完成する来年で退役することがすでに決まっており、各国の長期滞在飛行士
は今後、すべてソユーズに乗り込むことになる。
1960年代に開発されたソユーズは構造が単純で信頼性の高さにも定評がある。
多機能でハイテクを駆使したシャトルとは対照的に、昔ながらの“ローテク”
を使った質実剛健さが特徴だ。
宇宙航空研究開発機構は現在、日本独自の有人船の開発構想を検討し、ソユー
ズに似た機体が候補に挙がっている。日本の宇宙開発は米国を手本に発展して
きたが、今後は多くの飛行士がロシア流の発想や文化に触れ、その経験は有人
船開発にも役立つとみられる。
一方、ISSと地球の往復という基幹を担うロシアは来年、火星や他の惑星へ
の有人飛行を視野に、原子力を動力源とする宇宙船の研究に着手する見通しだ。
総額200億ルーブル(約600億円)をかけて9年後には完成させる意向だ
が、事故時の被害の大きさを懸念する声も聞かれる。
さらに、日米などでは、ソユーズの運用が何らかのトラブルで中断した場合、
ISS計画が停止に追い込まれることへの根強い警戒論もある。
ISSの建設では、大型物資の輸送をシャトルに頼っていたため、相次ぐシャ
トル事故が計画の遅れに直結した。同様にソユーズだけが生命線になれば、運
用リスクの増大を招きかねない。米国の新宇宙政策が不透明な中で、ISS計
画は危うさをはらんだ終末期を迎えつつある。
(産経新聞 2009/12/22)
今までも、ロシアのソユーズ宇宙機はISSへの人員輸送を行って
はいたのですが、人員輸送の多くは、シャトルが担っていました。
そのシャトルですが、現在の予定では、来年に退役が予定されてい
ます。
もともとは、アレス1が、2012年には、供用が開始される事になっ
ていたので、有人飛行ができない期間は、2年間程度に留まる筈で
した。しかし、最新の見積もりでは、アレス1の完成は、2017年に
なる事が予想され、米国の有人飛行ギャップはこのままでは、7年
に達する見込みです。
米国も手を拱(こまね)いている訳ではありませんが、新しいロケッ
ト開発には時間と費用がかかります。元の目論見では、この費用を
シャトルとISSの早期退役から捻出しようと考えていたのです。
そして、米国がISSへ人員を輸送できない間は、短期間ソユーズ
に依存するのも仕方のない事と考えていた訳です。
しかし、ロシアもさるもので、ISSへの観光旅行用には10億円か
ら15億円で契約していたと言いますが、NASAへは宇宙飛行士一人当
り50億円を請求していると言うのです。シャトルの飛行には、一回
500億円を要しますが、一回の飛行で7人の宇宙飛行士を運べる上、
物資輸送も行なう事ができます。シャトルで人員と貨物を運ぶ値段
が、ソユーズと無人輸送機の合計の値段とあまり変わらないのであ
れば、シャトルを退役させる理由の一つはなくなります。大統領諮
問委員会は、ISSの完成までシャトルの退役を一年遅らせる事を
提案しています。
もう一つの理由であるロケットの開発費用の捻出ですが、こちらは、
アレス1の開発を中止し、商業輸送サービスを利用する事ができな
きかというのが、大統領諮問委員会の目論見です。実際、NASAから
ISSへの物資輸送を請け負ったSpaceX社は、ドラゴン輸送機を当
初から有人カプセル化する事を考慮に入れて設計しています。こち
らは、宇宙飛行士一人当りの打ち上げ費用は20億円程度での実現を
目指しています。こうなるとロシアの方も50億円とは言えなくなる
ので、SpaceX社に近い値段で有人打ち上げを提供せざるを得なくな
る事が予想されます。
SpaceX社は、発注があれば3年で実現できるとしていますが、いつ
有人飛行が可能になるかで、米国のソユーズ依存の期間は、大幅に
縮小すると予想されているのです。問題は、SpaceX社の大型打ち上
げロケットであるFalcon9ロケットが、未だ実験機の打ち上げすら
行われていない事です。今までの処、開発は順調ですが、信頼性を
確保する為には、打ち上げ回数を上げる事しかありません。Falcon9
ロケットは、小型打ち上げロケットであるFalcon1ロケットとMerlin
1cエンジンを共有しています。同じエンジンを使う事で、初期故障
を早期に検出し、生産数を上げる事で、一定の工作精度を早期に実
現できます。その反面、エンジンの一つの欠陥が二種類のロケット
の打ち上げを停止させるリスクもあります。
SpaceX社はこのリスクも勘案しても、開発リスクと費用削減のメリ
ットを取ったと言える様に思います。
米国の宇宙開発に大きな影響を与え、ソユーズの今後にも大きく影
響を与えるSpaceX社のFalcon9ロケットの初打ち上げは、来年2010年
2月2日が予定されています。打ち上げまで、あと一ヶ月固唾を飲ん
で、打ち上げを見守りたいと思います。
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