2010年9月17日金曜日

国産ジェット旅客機「MRJ」製造フェーズに移行

※写真は産経新聞サイトから転載

国産ジェット旅客機「MRJ」製造段階に移行

三菱重工業の子会社、三菱航空機(名古屋市港区)は15日、開発中の国産初
のジェット旅客機「MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)」が詳細設
計の段階から製造段階に移行したと発表した。今後、部品メーカー各社の製造
作業が本格化する。最終的な組み立ては愛知県飛島村にある三菱重工の工場で
行う。

MRJは中・近距離用を想定した70~90席の小型機。全日空に納入される
第1号機の試験飛行は2012年4~6月、納入が2014年初めに予定され
ている。

MRJについて三菱航空機は現在、全日空から25機、米トランス・ステイツ
航空から100機の受注を得ている。

(産経新聞 2010/09/15)


三菱航空機のMRJが、設計フェーズを終了し、いよいよ製造フェ
ーズに入りました。今年7月のファーンボローエアショーでは、全
く受注を得る事ができなかったMRJですが、当初8月末に予定し
ていた設計フェーズの終了のスケジュールと比べると、半月遅れで
終了した事になります。この業界は開発スケジュールが遅延するの
は常態ですので、半月遅れというのは、まずまずの進捗と思います。

今後は、試作一号機と強度試験機が製造された上、飛行テスト用に
追加試作機が一、二機が製作された後、量産機一号機が製作される
事になる筈です。この量産一号機も当初は、テスト用に用いられ、
実際に、キックオフカストマーである全日空に引き渡される機体は
量産二号機か三号機になるものと思われます。

今の処、MRJを正式発注しているのは全日空だけで、報道された
トランスステーツホールディングスとは、覚書レベルでは50機の発
注と50機のオプション契約を結んでいますが、まだ正式契約に至っ
ていません。ただ、Flightglobalの最近の記事では、トランスステ
ートはMRJの優位性に自信を持っているとの事であり、この契約
が実行されれば北米での販売保守補修のネットワークが確実に形成
されるので、世界最大の市場に対する足がかりになる事は間違いあ
りません。

とはいえ、この処の円高もあって、実機が完成するまでは、余程の
原油価格の高騰でもなければ、他社から発注を得るのは難しいかも
知れません。それでも、我慢していれば円安にも振れるでしょうし、
原油高になる局面も確実に出てきます。MRJはグリーン化が一番
進んだリージョナルジェットですから、その特徴が生かせる営業環
境を待つ我慢が三菱重工にあるかどうかが一番の問題である様に思
います。

三菱重工には、MU-300の販売の不調に我慢できず、一切の権利合切
をビーチクラフト社に売却した処、ビーチ社のヒット商品になって
しまったという苦い過去があります。今回はその轍を踏まない様を
祈りたいと思います。


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2010年9月16日木曜日

中国網は日本の軍事関連技術をこう評価した

中日の陸海空技術の比較

現在、一部のいわゆる軍事マニアはやはり10年前の視線で中国を見ており、と
くに日本との比較では自らを低く評価しているが、実際、中国と日本の軍事技
術面での格差は、想像するほどではない。人民網軍事コラムが伝えた。

一、航空宇宙技術

中日はいずれもすでに自身の第3世代戦闘機を生産している。日本はF-2、中
国はJ10とJ11。研究・開発と模造を通して、中国は第3世代戦闘機の設計・生
産技術を完全に掌握すると同時に、第4世代戦闘機の研究・製造能力をも備え
た。一方、日本はある技術で世界の先進的地位にあるものの、第3世代戦闘機
の設計・生産技術はまだ完全には掌握しておらず、日本はいかなる新しい戦闘
機であれ、やはり米国に依存しなければならない。次に、具体的な技術上の分
析を通して、中日両国の格差は一体どれほどなのか見ることにする。

第1は、空気動力の設計だ。中国はすでに先進戦闘機の空気動力設計の問題は
基本的に解決している。数多くの型を設計することで、経験を備えた航空エン
ジニアと設計士を育成。日本はエンジニアリングの設計では経験不足であり、
F-2の外型の設計はF-16を模倣しており、同時に大量の設計は米国に依存して
いる。従って、現在のところ日本はまだ、先進空気動力外型では独立した設計
能力は有していない。

第2は、構造と素材だ。両国のレベルは大体相当する。設計ではすでに既成の
設計ソフトがあり、コンピューターを使用した機体の3次元デジタル設計で、
中国はすでに日本を先行している。日本の複合素材技術は比較的先進的であり、
機翼複合素材一体高温固体化技術で世界をリードしている。だが、この技術は
まだ成熟しておらず、製造された翼に亀裂が生じたことがある。中国はロシア
の最先端のチタン合金加工技術を導入、同時に中国の複合素材技術もすでに比
較的成熟しており、先進戦闘機の素材技術は完全に掌握していると言える。

第3は、電子システムだ。日本の航空機搭載のアクティブ・フェイズド・アレイ・
レーダー(APAR)は世界の先端を行く。中国はこの分野で差を付けられている
が、一体化電子システムの設計と整合性の面では差はない。中国はデジタル電
送技術を掌握しているが、日本はまだ掌握していない。

第4は、動力システムだ。中国は先進的なターボファンエンジンを自力で設計・
製造できるが、日本は相応する能力は持たない。

上述の分析から、中国の優位性は完ぺきな航空工業システムを備え、システム
の整合能力も強いということが分かる。一方、日本は基礎工業力が厚く、とく
に電子工業の基礎が厚いことで航空電子の面で優位性を持つ。だが、日本のソ
フト設計技術は中国より遅れており、航空機を自力開発する能力はない。

航空技術上、日本のH2ロケットは中国が現在使用している長征ロケットより先
進的である。だが、中国はロケットの信頼性と宇宙観測・制御、有人飛行で日
本をリードしている。日本は衛星技術で優位性があり、この面で日本の電子工
業の基礎は厚く、一方、中国は西側の技術的制限を受けている。だが、中国の
衛星の応用は日本よりずっと幅広い。総体的に言えば、中国は日本をややリー
ドしている。中国は新世代のロケットに成功すれば、全面的に日本を追い抜こ
すことになるだろう。

二、海上面の技術

日本の最先端の金剛級を中国の170艦と比較してみる。(注:170艦とは旅洋
(LU-YANG)II型を指す)確かな情報によると、170艦が使用するのは航空機搭載
のAPAR。一方、金剛級が使用するのは米国のパッシブ・フェイズド・アレイ・
レーダー(PPAR)だ。ミサイル技術上、170艦は自動主導防空ミサイルを使用し
ており、金剛級は半主動制御ミサイルである。対艦ミサイルの格差はより顕著
であり、170艦はすでに世界の先端レベルに達している。中国は現在、世界先
進レベルの戦艦を完全に自力で製造することができる。一方、日本は作戦シス
テムや艦船用主要機体の面でまだ米国に依存しなければならない。もちろん、
金剛級の優位性はミサイル搭載数で170艦を遥かに上回っていることであり、
対潜能力でも中国より優れている。

潜水艦では、中国は専用のディーゼルエンジンはまだ輸入に頼らなければなら
ない。国産ディーゼルエンジンは騒音が大きく、比較効率も低い。日本の技術
は進んでいるが、中国が使用するドイツ製ディーゼルエンジンに比べ技術上の
優位性はない。中国はAIP技術で世界をリードしており、燃料電池の技術でも
世界の先端にある。一方、日本はこの技術は有していない。潜水艦の素材で中
国はすでに世界の先進レベルにあり、騒音制御でも中国は日本に遅れておらず、
ただソナー(水中音波探知器)でやや差がある。フランスやロシアの技術を導
入して以降、この差はやや縮小した。

このほか、中国は2世代の原子力潜水艦を有しているが、日本はない。

以上の分析から、中国は海軍の技術ですでに日本を追い越したようだ。だが過
去、長期にわたり遅れを取り、また債務が過多であることから、中国海軍はそ
の実力でまだ日本に追いついてはいない。中日の海上面での技術の格差は同様
に、中国は完ぺきかつ全面的な軍事工業システムを備え、軍事装備の設計・製
造を自力で完成させることができる。一方、日本は基礎工業力が厚く、ディー
ゼルエンジンやその他の電子技術面でリードしている。だが、米国の一部の技
術サポートに依存しなければ、近代的な軍艦を完ぺきに製造することはできず、
海上での戦闘力をつけることはできない。

三、陸上面の装備・技術

主戦用タンクを例にすれば、大砲や装甲技術で中国は先端を行く。日本は高圧
力大砲を生産する技術は有しておらず、ドイツが生産を許可するタンク砲を導
入するしかない。だが中国はこの面で完全に自主技術を有しており、それはド
イツの技術に匹敵する。日本の優位性は動力システムにあるものの、仮に中国
が1100キロワットエンジンで難関を突破した場合、この分野でも日本に追いつ
くことになる。

四、電子情報技術

日本は世界で電子技術の最も発達した国であり、その基礎工業力は極めて厚い。
これが軍事用の先進的な電子技術をもたらした。だが、日本のハードウエアは
先進的であっても、ソフトウエアは遅れており、かなりの程度、米国に依存し
ている。日本の電子エンジニアのレベルは一般的である。

中国の電子工業の基礎は遅れており、一部の軍用電子デバイスは生産できない、
または低品質、または価格が高すぎることが、軍事電子技術の発展に影響を及
ぼしており、同時に陸海空軍と衛星の電子システムのレベルにも影響を与えて
いる。だが、この数年の間にこうした状況は根本的に変わった。

(中国網日本語版(チャイナネット) 2010/09/14)


上の記事は中国網日本語版の記事です。中国網(チャイナネット)は、
中華人民共和国・国務院直属の中国外文出版発行事業局が管理・運
営するニュースサイトという事になっています。中国では、マスコ
ミは共産党の口舌という事になっていますので、中国国務院は、人
民に、日本の軍事技術について、この様に知って欲しいと思ってい
る事になります。

中国が本当に日本の軍事関連技術をこう評価しているのであれば、
我々は、日本人として少し胸を撫で下ろせるのかも知れません。技
術を正確に評価できる敵とそうでない敵どちらが好ましいかと言え
ば、後者の方が組みやすいと言えるからです。

ただ、中国の軍事専門家に技術評価ができない訳はなく、今回の記
事は、この処、尖閣列島での中国漁船拿捕問題で反日姿勢を強めて
いる中国の世論に迎合した中国政府の「日本恐れるに足らず」キャ
ンペーンの一環と評価すべきではないかと思われます。

評価軸も、自国が導入した外国製兵器については中国の技術として
いるのに対し、日本がライセンス生産や輸入している技術について
は、日本の技術としては評価しておらず、その点で典型的なダブル
スタンダードとなっています。

従って、一部で、首肯できる項目もありますが、全体としては、意
味のある技術比較になっていない様に思われます。
ただ、中国の人民一般には、今後、日本の軍事関連技術を軽視する
見方が広がると考えるべきであると思われます。


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2010年9月15日水曜日

遅かれ早かれ民主党は分裂へ向かう

菅代表再選 バラ色ポスト、一転「白紙」 党内融和へ方向性なく

民主党代表選で再選を果たした菅直人首相は14日夕の記者会見で、「たくさ
んの国民が(代表選に)実質的に参加した。その結果、私が選任された」と胸
を張った。しかし、国会議員票では小沢一郎前幹事長に12ポイント(6票)
差まで迫られたのも事実で、首相は巨大な「党内野党」を抱えたことになる。
党内融和に向けた第1関門は当然、人事だ。ところが、記者会見を通じて首相
の口からは、その方向性すら語られなかった。(船津寛)

代表選中の首相は「小沢氏に勝つ」ことしか考えていなかったようだ。そのこ
とは、後先を考えない人事の“空手形”を党内にばらまき続けたことでも明ら
かだ。

若手議員には「(党所属議員のほぼ全員にあたる)400人で内閣を作る発想
で行こう」とささやき、女性議員に対しては「半分を超える閣僚が女性という
国が北欧などにはあり、豪州は女性首相だ」と、閣僚ポストまでちらつかせた。

首相は14日午後の投票を前にした政見演説でも「民主党の原点は参加型民主
主義とそれを支える自由闊達(かったつ)な議論だ。全員参加の内閣で本当の
政治主導を実現する」と語った。

この約束を“誠実”に果たそうとすれば、閣僚や副大臣、政務官の大幅な定数
増は避けられないだろう。

党運営に関しても「50~100の特命チームをつくり、みなさんに得意なチ
ームに入ってもらう」と提言。自らが唱える「居場所と出番のある社会の実現」
を、国会議員相手に実践しようというのだろうか。

ところが、首相は再選後の記者会見で、人事構想について質問されると、苦虫
をかみつぶしたような表情で「全く白紙」とのみ語った。代表選ではあれだけ、
バラ色の人事構想を披瀝(ひれき)しながら、再選が決まった途端に「白紙」
とは…。首相の構想に淡い期待を寄せ、「菅直人」と一票を投じた議員は、さ
ぞかし肩を落としたのではないか。

現実を見据えると、首相は週内に具体的な閣僚・党役員人事を固めなければな
らない。首相本人が記者会見で言っていたように、国連総会に出席するため、
21日から米ニューヨークに出かけるためだ。首相の勝利に貢献したと自負す
る議員からはさっそく、「幹事長は中立派から」「首相補佐官はベテランに代
えたほうがいい」といった意見具申が相次いでいる。激戦を生き残った首相だ
が「勝利のツケ」に悩まされそうだ。

(産経新聞 2010/09/15)


端的に言えば、今回の代表選は、民主党に覆う事のできない亀裂を
生じさせたと考えるべきであると思います。代表選に勝利する事の
出来た菅代表ですが、今後の人事では、誰一人満足させる事はでき
ません。菅代表を支持した人も、小沢氏を支持した人も等しく不満
を抱く筈です。

その理由は、上記の記事からも明らかです。代表選の期間中、菅代
表は、バラ色の人事構想をばら撒きました。菅代表を支持した人は
菅氏が当選した事で、当然、ポストが得られるものと期待している
筈です。しかし、現内閣の政務三役は、ほぼ菅代表支持であった事
を忘れてはなりません。代表選で、菅代表を積極的に支持した人を
登用しようとすれば、同じく、菅代表を支持した人を現在のポスト
から外さなくてはならなくなるのです。外された人からすれば支持
したにも拘わらず、人事で外される事になるので恨みを含まざるを
得ません。

加えて、挙党体制の約束があります。今回の代表選で国会議員票は
ほぼ半分に割れました。双方とも、ポストの約束をばら撒きながら
支持を獲得しようとしました。処が、開票後は、挙党体制という事
になります。具体的に言えば、小沢氏を支持した人も、きちんと処
遇しなければ、挙党体制とは言えない事になります。つまり、菅氏
は、挙党体制を実現しようとすれば、現在の政務三役や党役員の半
分のポストを、自陣営の犠牲の下に自分の再選に反対した連中に渡
さないといけません。そう出来なければ、挙党体制にはならず、小
沢支持派は、恨みを託(かこ)つ事になります。

全ての人を満足させようとすれば、菅代表を支持した人、しなかっ
た人を全て人事的に処遇する必要があります。その為には、現状の
ポストを少なくとも二倍にしなくてはなりません。具体的には政務
官を一人から三人四人と増員するとか、無任所の大臣を増加させる。
あるいは、幹事長補、政調会長補といった党役員を大幅に増員する
といった対応です。

人事的には、これでなんとかなるかも知れません。しかし、菅内閣
は、今度は国会で立ち往生をする事になります。衆議院で300議席
を占めるものの三分の二を確保するに至っていない上、参議院では
過半数を大幅に割り込んでいます。予算案は通せても、政策を実行
する為の法案は、国会を通過させる事はできません。政府は、ねじ
れ国会に対して無策を続ける事になります。

当然の事ながら、菅内閣の支持率は趨勢的に低下し、民主党支持も
それに引きづられて低下していく事になります。三年後の衆議院選
挙では、民主党の惨敗が確実と予想される様になれば、特に、今回
小沢氏を支持した一年生議員は、保身に走らざるを得なくなります。
「一兵卒」という事で政権と距離を置く小沢氏は、格好のお神輿に
なります。

自民党は小沢新党に嫌悪感を隠さないでしょうが、公明党は、小沢
新党との連携を拒否しないでしょう。小沢氏が、衆議院議員を150
人引き連れて新党を立ち上げれば、比較第一党あるいは野党第一党
が簡単に出来上がります。後は数合わせになります。
衆議院、参議院で共に多数になる組み合わせを確立する為の合従連
衡が始まる事になります。

では、小沢新党は何時頃、立ち上げる事になるのでしょうか?菅内
閣に対する国民の支持が溶け去り、衆議院議員の絶望感が広がるの
には、今後半年~一年程度が必要になります。その上、衆議院選挙
に合わせた地方組織を確立するにも時間がかかります。地方組織確
立には、最低でも二年は欲しい処です。その一方、有権者に対して
新党をアピールできる期間はそれ程長くはありません。この両者を
合わせて考えれば、一年後を目処に、小沢新党立ち上げの工作が始
まる事になるのではと考えられます。

ただ、ここで立ち上げられる小沢新党は、国会議員が自己保身の為
に立ちあげる政党であり、みんなの党程の理念的なバックボーンや
大義名分がありません。民主党からの分派行動ですから、イデオロ
ギー的には、民主党と自民党を結んだ中間点より、民主党寄りにな
る筈です。その立ち位置で、はたして国民の支持を集められるかと
いう問題があります。

民主党は、菅代表の下で、人事で失敗すれば、直ぐにでも、また、
人事が上手く収まっても、半年から一年程度で、やはり新党を模索
する動きが出、場合によっては新党が絡んだ再度の政権交代が実現
する可能性があります。ただ、そこで出来る新党の寿命は、それ程、
長くはならないのかも知れません。

政界の混乱≒日本の混乱は、今後も、ますます振幅を大きくしなが
ら続いていくように思われてなりません。


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2010年9月14日火曜日

民主党政権の中国に対する認識の甘さが事を大きくした

中国側の軟化期待し船員帰国さす…「違った状況」

沖縄県・尖閣諸島付近で海上保安庁巡視船と中国トロール漁船が衝突した事件
で、日本政府は中国側の軟化を期待し、中国人船員の帰国を認めた。民主党代
表選(14日投開票)を控える菅直人首相らが軟着陸を模索しているためだ。
だが中国側は足元を見るかのように態度を硬化させている。
 「しつこいな」
仙谷由人官房長官は中国の戴(たい)秉(へい)国(こく)国務委員(副首相
級)が12日午前0時(日本時間同1時)に丹羽宇一郎駐中国大使を呼び出し
たことについて、苛立ちをあらわにした。中国側は7日に衝突事件が発生して
から、何度も丹羽氏に抗議したうえ、戴(たい)氏まで乗り出してきたからだ。
外務省幹部は「中国側から丹羽氏が抗議を受けたことばかり報じられているが
おかしなことだ。丹羽氏は自ら2回出向き、抗議している」と強調する。
もっとも程永華駐日中国大使は8日に外務省を訪れたが、日本側は公表しなか
った。武正公一外務副大臣は13日の記者会見で未明の丹羽氏呼び出しを「遺
憾」としたが、今後程大使を呼びつけることは否定した。

仙谷氏は7日の事件発生時、代表選に追われる首相に代わり、官邸に外務省や
海上保安庁の幹部を呼んで指揮をとった。弁護士出身の仙谷氏が最も懸念した
のが、法的手続きの瑕(か)疵(し)で外交問題に発展することだったという。
事件発生から半日後に船長逮捕を決めたのはそのためだ。

翌8日午前の記者会見で、仙谷氏は「日本国内もヒートアップ(過熱)しない
で冷静に対処していくことが必要だ」と答えている。中国政府が対応を過熱さ
せることは、予想していなかったようだ。

しかし今月中旬に日中両政府が予定していた東シナ海ガス田共同開発に関する
条約締結交渉第2回会合は、船長逮捕に抗議する中国側の都合で延期された。

日本政府は13日昼、船長を除く中国人乗組員14人を帰国させた。仙谷氏は
同日の記者会見で「漁船の違法操業との関係でガス田協議を中止するといわれ
ても困る。私の予測では、14人と船がお帰りになれば、また違った状況が開
かれてくる」と述べ、中国側の対応の変化に期待感を示した。

首相も13日夜、記者団に「日中双方の努力により戦略的互恵関係がしっかり
と発展することが必要だ」と述べた。首相らの姿勢について、外務省幹部は
「代表選があるので今は中国と荒波を立てたくないのだろう」との見方を示した。

(産経新聞 2010/09/13)


仙石官房長官の8日の発言にはあきれ返ってしまいます。日本のEEZ
内で不法操業を行い、取締りの巡視船に船をぶつける横暴を行った
中国船を拘束した事への中国の反応を気にするのではなく、日本国
内のヒートアップを気にしたというのは如何にも国民を馬鹿にして
いると言わざるを得ません。

仙石氏は、余程、日本国民が中国に対して悪感情を抱くのが心配で
あった様です。実際には、中国の反応の方が余程感情的であり、不
当であると言えます。海上保安庁は、中国船が巡視船に船を意図的
に衝突させたビデオを持っているのですから、それを堂々と公開し、
日本側が当該船を拘束した事の正当性を明示すれば良かったにも関
わらず、中国に配慮して、そうしなかった事が、逆目に出て中国側
の傘にかかった反応を招きよせてしまった訳です。

仙石氏の頭の中では、中国は「平和愛好勢力」ですから、日本の
「官憲」を押さえさえすれば、平和が回復されると思い込んでいた
のでしょうが、残念ながら中国は、仙石氏のお花畑的見解とは異な
り、非常に狡猾です。中国国内世論を扇動しながら、それを理由に
日本側の更なる譲歩を求める事は確実です。

それに加え、東シナ海ガス田共同開発に関する条約締結交渉への影
響についても「困った」などという馬鹿な事をマスコミ相手に言っ
ている様では、外交交渉にも何もなりません。相手が困っていれば
それに付込むのが外交の常道である事は常識ですが、官房長官とい
う要職を拝命している割には、仙石氏はそういう常識にも欠ける様
です。

今日、開票が行われている民主党の代表選挙について、悪い言い方
をすれば、便秘を選ぶか下痢を選ぶかみたいなものであって、私は
全く不毛の選択であると考えていますが、それにしても、自らの売
国的行動に関して全く反省のない政府首脳は、代表選の如何に係わ
らず即刻交代すべきと言わざるを得ないのです。


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2010年9月13日月曜日

日本版GPS補完衛星打ち上げ成功

※写真はJAXA Webサイトから転載

衛星「みちびき」搭載 H2Aロケット打ち上げ成功

全地球測位システム(GPS)の精度向上をめざす準天頂衛星「みちびき」を
載せた大型ロケットH2A18号機が、11日午後8時17分、鹿児島県の種
子島宇宙センターから打ち上げられた。約28分後、みちびきを高度約270
キロで正常に分離し、地球を回る軌道への投入に成功した。H2Aの打ち上げ
成功は12回連続、通算で17回。

みちびきは、縦横約3メートル、高さ約6メートルの箱形で重さ約4トン。日
本のほぼ真上の空(準天頂)を通る軌道からGPSを補う信号を送り、山間部
やビルの谷間などでも精度よく利用できるようにする準天頂衛星システムの1
号機。宇宙航空研究開発機構によると、正確な軌道への投入と太陽電池パネル
の展開が確認された。

みちびきは今後、地球を回りながらエンジン噴射を繰り返し、約2週間かけて
平均高度3万6千キロの所定の軌道へ移る。順調にいけば年末ごろから測量や
カーナビなどの実証試験が始まる。地上設備や打ち上げ費用を含む総開発費は
約735億円。文部科学、国土交通、総務、経済産業の4省で開発した。

準天頂衛星システムは、米国が運用するGPSの機能を補完するために日本が
開発している。現在10メートル程度あるGPSの誤差を1メートル以下にす
る狙いもあり、交通、観光、防災などさまざまな分野での活用が期待されてい
る。ただ、衛星1機が日本上空にとどまれるのは1日8時間で、24時間態勢
の運用には最低3機が必要。2機目以降の見通しはたっていない。

(朝日新聞 2010/09/11)

H2Aも18回目の打ち上げとなり、見ていて本当にハラハラ感
のない安心できる見ものとなってきました。これで打ち上げ成功
率は94.1%から94.4%になり、数字上は僅かな上昇ですが、実感の
上では、また、一歩地歩を固める事ができた様に感じられます。

今回の打ち上げでは、米国のGPS衛星を補完する準天頂衛星が搭載
されています。GPS衛星は地上二万キロの軌道を飛行するのに対し
準天頂衛星は、地上四万キロの軌道を飛行し、一日の内8時間は
日本では、ほぼ頭の真上に停留する軌道を取ります。この為、GPS
衛星が地形や建物が障害になって見えない場合でも、天頂付近の準
天頂衛星がGPS衛星を補完する事ができるという訳です。例えば、
東京の銀座通りでは、両側がビルになっているので、10%程度の場
所でしかGPS衛星4機からの信号が得られませんが、準天頂衛星を
使うと90%の場所で衛星4機からの信号が得られる様になります。

更に、準天頂衛星は、信号の精度が高いので、通常のGPS信号では
10m程度の精度しか得られないのに対し、1m程度の精度(理論的に
はcm級の精度)を実現できる事になります。衛星測位システムとし
ては、米国のGPS以外に、ロシアのグロノス、中国の北斗が構築中
ですが、軍事用途もあり、この1m級の精度の獲得を目標にしていま
す。日本は、GPSを補完する事で、いち早く、高精度の測位精度を
獲得する事になります。

準天頂衛星については、これまで、785億円の巨費が投じられてい
ます。この内、衛星そのものは打ち上げ費用も含め、200億円程度
であり、それ以外の600億円弱は、運用施設や利用サービスなどへ
の投資です。今回の「みちびき」だけだと一日8時間しかサービス
できませんが、あと2機あれば、24時間サービスが可能となりま
す。つまり、GPS補完機能だけであれば、あと衛星2機、400億円~
500億円程の投資で、また、軌道予備を含めても600~700億円程度
でプロジェクトを完成させる事ができるのです。

そう考えると今回の打ち上げで準天頂衛星プロジェクトを止めてし
まう事は、実験を行う為だけに、完成形の半分もの予算を消費して
しまう事であり、非常に無駄が多いプロジェクトという事になって
しまいます。税金の無駄使いを防ぐという点からも、是非、完成形
の実現を目指して欲しいと思われてなりません。


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