2009年10月1日木曜日

Kamei Sizuka, an amateur Minister for Financial Services. 金融がわからない亀井を金融担当大臣にした愚 

※写真は産経新聞サイトから転載

亀井金融相「金融機関の負担を公的資金で支援」 モラトリアム法案で

亀井静香金融相は1日、中小企業向け融資や個人向け住宅ローンの返済を3年
程度猶予する「モラトリアム法案」について、「貸し手も倒れるようなことは
絶対にあってはいけない」と述べ、公的資金で金融機関の負担を支援する意向
を表明した。地域金融機関を対象としている改正金融機能強化法の活用も視野
に、金利や元本の補てん分を穴埋めする意向だ。

亀井金融相は記者団に対し、「信金信組など経営体力の弱い金融機関が、地域
の中小企業に支援できるかという問題がある」と話し、返済猶予期間中の利子
補給や、借り手が経営破たんした場合の元本保証を検討する方針を示した。こ
れにより「地方の中小金融機関が経営難に陥ることは絶対にない」とした。

改正金融機能強化法は、中小企業向けの貸し渋り、貸しはがし対策として昨年
末に施行された。政府保証のついた12兆円の公的資金枠があり、すでに北洋
銀行など7つの金融機関に合計で約230億円が注入されている。

ただ現行の法制度で「モラトリアム法案」に流用できるかどうかは不透明で、
与党3党の検討チームと金融庁で詳細を詰める。法案の詳細は9日までにまと
め、臨時国会での成立を目指す。

(産経新聞 2009/10/01)


亀井静香がモラトリアムを行う上で、当初は、政府による金融機関
に対する負担軽減策を全く考えていなかったのは明らかです。
「中小企業に対する貸し渋り、貸し剥がしを許さない」が一転して
金融機関の負担を公的資金で支援するなどという生温い、しかも不
充分な対策を急いで取り繕っているのは、モラトリアム発言が金融
機関株に対する売り浴びせを呼び、日本株全体の下落を招いたから
に他なりません。

もともと資本は臆病な存在です。モラトリアム→金融機関の収益毀
損→金融機関の収益予測の悪化→金融機関に対する投資引き上げ→
金融機関の株価下落→日本株全体の株価悪化
という連想が働くのは誠に自然な成り行きと言えます。

やらずもがなの前原経産相の日本航空再建問題と言い、通常の支援
をやっていけば問題ない事を、受けを狙って大げさに騒ぎ立てたの
が、尾を引いている構図は両者に共通しているのです。但し、事が
一企業に留まらない点で亀井静香の罪はより重いと言えます。

亀井氏が、銀行を叩けば良いと判断したのは、バブル崩壊とその後
の失われた10年の経験に基づくものでしょうが、少なく共、今回
のリーマンショックやサブプライム問題を契機とした世界同時恐慌
に関して日本の金融機関は、強欲の罪に問われる点はありません。
また、影響がないとは言えませんが、海外に対する投資を減少させ
ていた点で寧ろ直接的な損失は海外の金融機関より余程少なく、上
手く立ち回っているとすら言えます。

バブルからの回復に失われた10年と言われる程に時間を要したのは、
デフレスパイラルの中で、金融機関の体力が失われていったからに
他なりません。逆に言えば、金融機関の体力さえあれば、デフレス
パイラルを食い止める事が可能なのです。今回の不況では、日本の
金融機関の体力は幸いにしてそれ程、損なわれていません。
その状況をぶち壊しにするのが、金融機関に負担を押し付ける形で
行うモラトリアムなのです。モラトリアムを単純に実行すれば金融
機関は貸付による収益を全く得られない事になってしまい営業自体
が不可能となってしまいます。これが金融機関の体力を損なうのは
誰の目にも明らかです。金融機関の体力が損なわれれば、金融機関
が新規に融資を行う事ができなくなってしまいます。
つまり、当初の亀井モラトリアム案は、中小企業対策になるどころ
か日本を再度のデフレスパイラルに叩き込む最悪の政策になりかね
ないものだったのです。

金融庁は銀行の健全性を守るのが役目ですから、その様な無謀な試
みを許す筈もありません。誰が人柱になったのかはわかりませんが、
亀井大臣が遅ればせながらも当初の案を放棄したのは誠に幸いな事
と言えます。
金融機関の負担を公的資金で支援するなどと言った中途半端な事を
いうのではなく、政府が政策としてモラトリアムを実行したいので
あれば、金融機関には影響を及ぼさないよう政府が借り手に変わっ
て金融機関に全ての利息を支払うべきなのです。それに満たない支
援内容であれば、市場は、再度金融機関株を売り浴びせ、民主党政
権を揺さぶるに違いない事を予言しておきたいと思います。


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2009年9月30日水曜日

NASA realy consider Japan's HTV as ISS logistic alternative ? NASAは本当にHTVを購入するか?


先日のHTVの打上げとISS(国際宇宙ステーション)とのバーシ
ング成功は、本当に素晴らしいものでした。
HTVの現在までのミッション達成率は、ほぼ100%であり、日本の
高い技術力を立証したものと言えます。

シャトル退役後、COTSを除いて、共通結合機構(CBM)を用いた
ISSへの補給能力を持つのはHTVのみとなります。ISSへの
補給は、欧州のATVやロシアのプログレス補給機を用いても行え
ますが、ISSへ実験装置を補給する国際標準実験ラック (ISPR)
を使用できるのは、CBMを持つHTVのみと言う事になります。
その意味からすれば、日本のHTVは計らずもISS計画全体の中
で非常に価値のある位置を占めたと言えます。
このブログでも、米国のCOTS計画の如何によっては、NASA
がHTVを購入する可能性があるのではと考えていました。

それでは、NASAはいつ頃、HTVが本当に必要になるのでしょ
うか? 現時点で入手できる情報を元に具体的な実現可能性を考え
てみました。まず、この手の宇宙機は、開発・製造にかなりのリー
ドタイムが必要になります。例え、製造能力や宇宙上げ能力に余裕
があっても、あまりにリードタイムが短いと実際には、NASAの
ニーズに合わない事もありえます。

上のタイムチャートは、ISSの補給機関連のスケジュールを書い
たものですが、確かに、米国の有人宇宙飛行能力については、現在
の予測では7年に及ぶ無能力期間が発生しつつあり、大変大きな問
題がありますが、物資補給については、意外にギャップ期間が短く、
更にシャトル退役をISSの完成年度である2011年に一年延長すれ
ば、余程、COTSの開発が遅延しない限り、NASAがHTVを
必要とする事はないのではないかというのが結論になります。

ちなみにドラゴン補給機は、2010年に初飛行の予定であり、シグナ
ス補給機は、2011年に初飛行を予定していますが、各々一年程度の
遅れであれば、シャトル退役を半年延期できれば、ギャップはカバ
ーできます。両者の開発が2年以上延期した場合は、2012年分の代
替輸送手段が必要になりますが、この需要を賄う為には、恐らく、
現時点でNASAから発注がないと、ロケットとHTVの製造は難
しいものと思われます。

ドラゴン補給機にせよ、シグナス補給機にせよ、両社ともロケット
エンジンには実績のあるものを使用していますが、打上げロケット
そのものは新規開発の機体となります。その意味では、リスクの高
いプロジェクトと言えますが、NASAは正にその革新をCOTS
プロジェクトに賭けているといえなくもありません。

現状の開発状況は、試験機の飛行までにまだ時間がかかる様子です
が、NASAは、進捗に自信を持っているようで、COTSを更に
ISSへの乗員往還サービスにまで拡大する様子です。SpaceX社の
ドラゴン補給機はもともと有人バージョンを念頭に開発されていま
すので、その点では、実用化に一番近い距離にいると言えます。
また、シグナス補給機も、元々与圧区画を持つ点ではHTVを有人
化するのと同程度の負荷で、有人機開発が可能と見込まれます。

以前にNASDAの先端ミッション研究センターでオープンアーキテク
チャーの有人宇宙機「ふじ」が構想され、HTVには、そのアイデ
アの多くが、取り入れられたと言われていますが、宇宙機の設計コ
ンセプトが似ているシグナス補給機とHTVで、共同コンセプトの、
有人宇宙機対応(緊急脱出用ロケットと有人カプセル)を開発するの
も面白いのではないかと考える次第です。


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2009年9月29日火曜日

Korea hurry to develop bigger Rocket. 本格打上げロケットKSLV-IIの開発を急ぐ韓国


※写真は、聨合ニュースより転載

韓国型ロケット開発、2017年目標に来年本格着手

韓国航空宇宙研究院は29日、1.5トン級の実用衛星を搭載し打ち上げる韓
国型ロケット(KSLV-II)の開発に向けた予算が初めて、来年度教育科
学技術部予算案に盛り込まれたと明らかにした。
これでロシアと共同開発した韓国初の人工衛星搭載ロケット「羅老(ナロ)号」
(KSLV-I)に続き、純国産技術で製作する韓国型ロケットの開発事業が
本軌道に乗ることになる。李柱鎮(イ・ジュジン)院長は、「純粋な国産技術
による宇宙ロケットの開発は国力と総体的な科学技術力を象徴する。国の位置
付けと信頼度を向上させ、国民の誇りを高めるものと期待している」と述べた。

研究院は、1.5トン級実用衛星を高度600~800キロメートルの太陽同
期軌道に乗せる韓国型ロケットの開発と打ち上げ事業を、来年から2019年
にかけ進める計画だ。総事業予算は1兆5449億ウォン(約1200億円)
で、事業の主な内容は、ロケットのシステム設計、製作、試験をはじめ▼高推
進力の液体エンジン開発▼ロケット試験および打ち上げ関連施設・装備の開発
と構築▼ロケットの体系整備と運用能力の確保▼ロケットの飛行試験と実用衛
星打ち上げ――など。

事業の中核となる韓国型ロケットの自力開発目標は2017年。この年までに
大型液体推進機関と構造軽量化技術を確保し、ロケット開発に必要な基盤施設
の構築を済ませる必要がある。発射台システムの変更と実用化計画も同年まで
に進める。

全長約50メートル、直径約3メートルの韓国型ロケットは、2段階構造の羅
老号とは異なる3段階構造で、羅老号の完結版ともいえる。

安保・戦略面では、衛星の自力打ち上げ能力を確保することで、国の宇宙開発
計画を安定的・独自的に遂行し、ロケット技術の自主権確立に寄与すると期待
される。また、技術・産業的にも、先端技術と伝統技術の複合体である宇宙ロ
ケット開発技術の確保により、国内関連産業への技術波及効果向上が予想され
る。国際・外交的には、国の経済規模にふさわしい水準の宇宙開発参加、国際
的地位の強化に向けた適正宇宙技術の保有で、韓国の宇宙開発力を国際的に認
められるとともに、国際共同研究開発事業への参加機会が拡大されるものと見
込まれる。

(聨合ニュース 2009/9/29)


羅老号(KSLV-I)による100kg級の科学衛星の打上げに失敗し
た韓国ですが、引き続き、ロシアからの協力を得ながら、本格的な
打上げ用ロケットであるKSLV-IIの開発を予定通り実施する
計画であるようです。

「韓国型」とか、「純国産技術」とかと言った言葉があるので、ロ
シアからの技術導入を止めて、従来計画と全く異なる、別のロケッ
トを開発する事を意図しているのではと言う意見もあろうかと思い
ますが、残念ながら、一からこの規模のロケットを開発をするには、
時間が少なすぎます。

今年から10年で1.5トンの実用衛星を打ち上げるのであれば、羅老
号ではキックモータのレベルに留まった二段目のエンジンを開発す
るのが精一杯という処です。韓国には、この規模のエンジンの実験
場もありませんから、これも建造する必要があります。

二段目用のエンジンと言っても馬鹿にはできません。羅老号では長
さ2.4m、直径1mであったのに対し、KSLV-II用の二段目は長
さが15m程度、直径3mになり、推力も300kNと日本の二段目用エンジ
ンLE-5Bの2倍の推力を発生させる液体燃料エンジンの開発が予定さ
れているようです。一段目にはエンジンをRD151からRD191へ改良し
たアンガラロケット用のCRMが羅老号と同様に使われると思われ
ます。日本のLE-5も当初H-I用に開発された際には、開発完了まで
10年を要していますので韓国が同程度の時間を要してもおかしくは
ありません。

ロシアのアンガラロケットは2010年からは自国内での本格的な打上
げが予定されていますので、KSLV-II用には十分枯れたCRM
が提供されると思われますが、羅老号がフェアリングで失敗した様
に部品点数が飛行機より一桁多く、且つ、信頼性を維持しつつ軽量
化目標も達成しなければならないロケット開発は、多難が予想され
ます。また、KSLV-Iの方もあと一回の打上げが予定されてい
ますが、一号機の失敗を受けた追加発射も行う必要が出てきます。
また、射場運用に8年近い空白を作る事も考え難いので、KARI
(韓国航空宇宙研究院)は、羅老号やKSLV-IIの構成要素の検
証用に更なる追加打上げを行う可能性もありえます。

実際の所、射場にも制約がある韓国が1200億円の巨費を投じて今更
の様に、このレベルの衛星打上げロケットの開発を行う事は、経済
合理性を考えると不要とも思えます
。韓国がこれから開発する液体
燃料エンジンはミサイルへの転用には不適ですし、打上げロケット
であればロシアを始めインド、ブラジル、米国とこのクラスの開発
は目白押しで、韓国が採算の取れる市場シェアが取れるという見方
をする人は多くないからです。それよりも寧ろ輸出実績もある衛星
の製作、製造にリソースを投入するのが賢明とも思えるのです。

それでも、韓国がロケット開発を行うのであれば、本当の純国産技
術を身につける為には、いずれ経験しなければならないビッグプロ
ジェクトと考えるべきなのかも知れません。


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2009年9月28日月曜日

Mr.Tanigaki will be 2nd Non-PM President of the LDP? 谷垣禎一は、首相になれなかった二人目の自民党総裁になるか?


<自民総裁選>谷垣氏が新総裁に 2氏を圧倒

麻生太郎前首相の後継を決める自民党総裁選は28日投開票され、谷垣禎一元
財務相(64)が党所属国会議員票と地方票合せて300票を獲得し党両院議
員総会を経て第24代総裁に選出された。谷垣氏の得票は国会議員票(199
票)のうち120票、地方票(300票)のうち180票といずれも過半数を
占めた。

河野太郎元副法相(46)は計144票(国会議員票35票、地方票109票)。
西村康稔前外務政務官(46)は計54票(国会議員票43票、地方票11票)
だった。無効票は国会議員票で1票。

河野、西村両氏は世代交代や派閥解消などを訴えたが、衆院選惨敗を受け挙党
体制構築を強調した谷垣氏が2氏を圧倒した。

谷垣氏は両院議員総会で「もう一回我が党が国民の信頼を取り戻し、政権復帰
できるように全身全霊を傾けて職務にあたりたい」とあいさつした。谷垣氏は
今後党役員人事に着手する。

谷垣氏は衆院京都5区選出で当選10回。財務相、党政調会長などを歴任。
06年9月の総裁選に出馬し「消費税率10%」による財政再建などを訴えた
が、当選した安倍晋三元首相、麻生前首相に次ぐ3位だった。

(毎日新聞 2009/9/28)


前回エントリーを書いてから10日になりますので、ペースを取り戻
すまで、リハビリを兼ねて少し軽めの話題に軽めのコメントしたい
と思います。

今回の総裁選は、自民党内の実力者が衆議院選挙の大敗北の責任を
とって(?)参加しなかった事もあり、全く盛り上がりの無い小粒な
総裁戦になってしまいました。自民党の総裁は、任期が3年で、再
選が認められていますので、谷垣氏の場合は、4年後になるであろ
う次回の衆議院選挙に勝利できれば、二年間は総理大臣の座を占め
る可能性は残っています。

谷垣氏は、鳩山首相と思想的には、似たようなハト派のアジア主義
者ですから、今後国会で一体、野党党首としてどの様な論戦を行っ
ていくつもりなのか、全く判らないというのが谷垣総裁に対する私
の感想です。思わず、鳩山首相に全面的に賛成ですと言い出すので
はないかと思われる程です。

鳩山内閣の将来を予測するのは現時点では困難ですが、今でも亀井
氏や福島氏の突出発言で閣内不一致が話題に上っている様に、選挙
の大勝と政権奪取に酔っている様な面がありますが、自民党は落ち
る処まで落ちただけに、敵失によって、今後、得点を重ねる場面も
出てくると思われます。ただ、そうなった時に、それを追い風にし
て例えば、参議院選挙で大勝するかと言われれば、谷垣氏を大将に
頂いて自民党が疾駆する姿は想像しがたいと言わざるを得ないのです。

ただ一つ言える事は、今後数年に亘り、靖国神社を訪れる与野党党
首の姿はないと言う事であり、これは、自民党総裁が河野氏であっ
ても同じであったろうという事であり、私の様な保守派にとっては
冬の時代が相当に長く続く事を予見させるものでもあります。

誠に不謹慎ですが「売家と唐様で書く三代目」という言葉に如何に
も谷垣氏が良くお似合いと感じましたが、さて、谷垣禎一氏は、内
閣総理大臣になれるのでしょうか?


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