2009年2月20日金曜日

「韓国との戦争準備はできている」とは「できていない」と読む


※写真はReutersサイトから転載

韓国との戦争準備はできている=北朝鮮

[ソウル 19日 ロイター] 北朝鮮は19日、韓国との戦争の準備はでき
ていると表明した。クリントン米国務長官はこの日韓国を訪問し、北朝鮮問題
を協議する。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信社(KCNA)によると、匿名の軍関係者は「裏切
り者である(韓国大統領の)グループは、(北朝鮮)人民軍が完全に全面対決
の準備ができていることを忘れてはならない」と述べた。
北朝鮮は長距離ミサイルの発射準備を進めているとみられているが、専門家は、
米国の新政権の関心を引き、韓国政府に圧力をかけることが狙いではないか、
との見方を示している。
アジア歴訪中のクリントン国務長官は17日、北朝鮮がミサイルを発射すれば、
非常にマイナスになるとの見方を示している。

(ロイター 2009/02/19)


寝言は寝て言え第二弾です。
しかし、北朝鮮の言う「韓国との戦争準備はできている」という言
葉は戦争準備が出来ていない、あるいは戦争はする気がないと読む
べきであるというのは、私の持論です。逆に、平和攻勢をかけてい
るのに反対給付を求めていない時の方がはるかに危険であるといえ
ます。くれくれ詐欺の常習犯である北朝鮮が見返りを求めない筈が
ないのです。

つまり、本気で戦争をする準備を進めている場合は、当然奇襲効果
を狙う訳で、相手油断させるべく平和攻勢をかけると考えられるの
です。北朝鮮は、朝鮮戦争を開始する際にも、開戦の約一ヶ月前か
ら平和攻勢をとっています。その点でも前科はある訳です。

逆に言えば、北朝鮮が、この手の戦争前夜的な発言をする時は自国
に弱みを抱えている時です。今年の場合は、勿論、オバマ政権が発
足したので、その関心を引き続け、米国との直接交渉に道を開きた
い思惑がありますが、もう一点、食料不足が深刻な割に、国際的な
援助が少ない点があげられます。この為、今年は1997年以来の
食料不足が予想されています。ここで、食糧援助を引き出すために、
緊張を演出しているという訳です。

いずれにせよ、北朝鮮の発言は、裏を読むべきであるというのは、
私の様な一般人にすら常識になっているのですが、そういう事が常
識になってしまっている非常識な国で、その国の中では、だれが政
権を世襲するかで暗闘が続いていると報じられている点、人間の業
の深さを感じてしまいます。



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2009年2月18日水曜日

原潜衝突 英仏の戦略原潜パトロール継続を示す



※写真上段はHMS Vangaurd。下段はLe Triomphant

英仏の原潜、大西洋で衝突 「放射能漏れない」

英仏の原子力潜水艦が今月初めに大西洋で衝突し、双方が破損していたことが
分かった。両国の当局が16日、衝突の事実を認めた。「放射能漏れはなかっ
た」と説明しているが、両原潜は核兵器を搭載していたとみられ、あわや大惨
事となるところだった。

英メディアによると、ぶつかったのは英国のバンガード級戦略原潜(水中排水
量約1万6千トン、長さ約150メートル)と、仏のル・トリオンファン級原
潜(水中排水量約1万4千トン、長さ約140メートル)で、ともに核弾道ミ
サイルを搭載していたとみられる。

仏国防省は当初、「2月6日に巡回から戻っていた原潜が、水中で物体(おそ
らくコンテナ船)とぶつかった。水中音波探知機(ソナー)が壊れたが、乗組
員らにけがはなく、原子力の安全も保たれていた」と報告していた。

ところが、英メディアが16日、衝突したのはコンテナ船ではなく英原潜だっ
たと報道。その後、英仏の国防省がともに事実関係を認めた。英海軍本部のジ
ョナサン・バンド第1武官は「両原潜は低い速度で接触した。負傷者は報告さ
れていない」と説明。英BBCによると、英原潜には大きなへこみと、こすっ
た跡が出来ていたという。

両国が衝突の詳細を調べているが、英紙サンは両原潜ともソナーを備えていた
が、敵に居場所を探知できなくさせる技術のために互いに分からなかったので
はないか、と指摘。BBCは原潜同士の衝突を「大西洋の広さを考えると百万
分の一の確率で、とても信じられないことが起きた」と報じている。

反核団体「核軍縮キャンペーン」(CND、本部・ロンドン)は「平時に原潜
を海に放つことの危険さを浮き彫りにした。核兵器は我々の安全に何の役にも
立たない」と批判した。

(朝日新聞 2009/2/17)


1991年にソ連が崩壊してから、既に、17年が経過したにも係わらず、
英仏という二線級核保有国ですら戦略ミサイル原潜によるパトロー
ルを継続している事が、今回の事故によってはからずも明らかにな
りました。世界は緊張感を決して緩めていないようです。

旧ソ連が崩壊し、核保有国としての地位はロシアが継承しています
が、既に体制の違いがない(?)にも係わらず、英仏は決してロシア
に心を許していない事を示していると言えます。

ソ連崩壊以降、戦略原潜によるパトロールの停止であるとか再開と
いうニュースが流れた事を私は寡聞にして知りません。という事は
G8でロシアを西側体制に取り込んだにも係わらず、完全な武装解
除も同盟関係の構築も行われなかった点で、根本的な処では信頼し
ていなかったと言う事になります。近年、プーチン政権下でロシア
の全体主義的独裁制構築が進んでいるように思えますので、この点
での英仏の正しさが伺えるようにも思えます。

勿論、英仏の事ですから、ロシアが抗議した場合に備え、照準は定
めていなかった位の事は言いそうですが、原潜パトロールが、核抑
止力の根幹になっている事を考えれば具体的な抑止対象を指定して
いないとは考え難いですし、技術的にも一隻当たり、96(仏)~224
(英)近い目標設定を発射する都度行うとも考えられません。
(恐らく目標セットを複数もっており適宜交換可能になっていると
思われます。)
その点からも、具体的な目標としてロシアの大都市を照準していた
と考えるべきでしょう。勿論、これはロシアも同様の意思はあった
と思われます。(現実には、経済状況によっては原潜パトロールを
継続できていたかどうか疑問がありますが、実施できる状況では実
施していた筈です。)

もう一つ、今回の件でわかった事は、両原潜の低速での静粛度が恐
るべき水準に達している事です。潜水艦は、海中での音波探知装置
としては理想的であり、戦略ミサイル原潜はパトロール中、聞き耳
を立てる事が唯一の任務と言える程です。

原子力潜水艦の場合は、海中に停止している時でも、原子炉の冷却
水を循環させる必要があり、冷却水循環ポンプを常時動かしておか
ねばならず、加圧水型原子炉ではこのポンプが大きな騒音発生源と
なっていると言われてきました。また、高速回転する蒸気タービン
で低回転のスクリューを回すため、減速ギヤを介在させる必要があ
り、この減速ギヤも大きな騒音発生源になっていると言われてきま
した。そうであるにも係わらず両原潜共に衝突まで相手側の推進音
を探知する事ができませんでした。

通常動力潜水艦にAIP機関が装備される様になり、静粛度で勝る通
常動力潜水艦が少しは原潜に近づいたと思わせる様になりましたが、
原潜の側も弱点克服を着実に実施していた事を示すものと言える様
に思います。



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2009年2月17日火曜日

北朝鮮 誤解をさけたいなら情報公開が一番


※北朝鮮のプロパガンダポスター

北朝鮮、ミサイル発射準備を否定 「人工衛星」打ち上げと

北朝鮮は16日、ミサイル試射準備を進めているとの観測を否定し、人工衛星の
打ち上げを準備していると主張した。韓国の聯合ニュースが伝えた。

米高官は先週CNNに対し、米偵察衛星が撮影した北朝鮮の画像に、ミサイル発
射準備とみられる動きが写っていたと述べた。撮影地点は以前、長距離弾道ミ
サイル「テポドン2」が発射された場所。

聯合ニュースは16日、北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)の報道内容として、
北朝鮮が「宇宙開発」を実施すると計画だと伝えた。北朝鮮は「何を打ち上げ
るかは後で分かる」と述べ、ミサイル試射計画を否定。宇宙開発が北朝鮮の権
利であるとしたうえで、海外の報道が、北朝鮮の主権で行われている活動を阻
止しようとする「悪意ある策略」だと批判した。

聯合ニュースは、今週予定されているヒラリー・クリントン米国務長官の訪韓
に先立ち、北朝鮮が米政府にメッセージを送った可能性があると指摘した。

北朝鮮は1998年にミサイル「テポドン1」を発射した際にも、人工衛星を打ち
上げたと発表した。韓国は宇宙開発の権利をめぐる北朝鮮の主張を受け入れな
い姿勢にある。聯合ニュースによると、柳明桓外交通商相は16日の議会審議で
「ミサイルであれ人工衛星であれ、打ち上げは(核開発とミサイル実験の中止
を盛り込んだ)国連安全保障理事会決議第1718号に違反する」と述べた。

(CNN.co.jp 2009/2/17)


一瞬、寝言は寝て言えと言いそうになりましたが、北朝鮮が本気で
人工衛星を打ち上げようというのであれば、北朝鮮が技術輸出した
イランが見事に衛星打上に成功したのですから、技術的な基盤はあ
ると考えて良いと思われます。今であれば、独自のロケットで人工
衛星を打ち上げた10番目の国という事になり、韓国を凌ぐ事が可
能です。これは、北朝鮮にとって、今や殆ど実現不可能になった北
が南を凌駕する得がたい機会であると言えます。
(尤も、北朝鮮では1988年に人工衛星の打ち上げに成功した事にな
っているんですが....)

少なく共、核開発の様な、ご禁制の技術開発ではない、まっとうな
技術開発と言い張れるのです。勿論、ミサイル開発とのデュアルユ
ーズである事は、世界中が判っています。であるからこそ、世界に
信頼されない国である北朝鮮が何を言った処で、「ミサイル発射準
備」という情報が世界を駆け巡る事になります。

そこで、北朝鮮にお勧めなのが、イラン程度には、情報公開を行う
事です。今回に関しても、もし、本当に人工衛星を打ち上げ様とい
うのであれば、ごくまっとうに、発射日時と燃焼が終了した落下物
の予想落下位置等の情報、衛星本体や、打ち上げロケットや打ち上
げ施設の写真などを公開すれば良いのです。

勿論、公表すれば、技術水準が判ってしまうという欠点もあります。
あまりにお粗末で恥ずかしいのが、秘匿する理由である事も判りま
す。それでも、少なくとも、世界は、北朝鮮が人工衛星を打ち上げ
ようとしている事に対し疑念を抱く必要はなくなります。

1988年に北朝鮮が発射したのが、本当に人工衛星であり、それが事
前に公表されたものであったのなら、日本のMD体制がこれ程急速
に整備される事はなかったと言えます。それが、北朝鮮が情報を事
前に公開にしなかった事により、日本向けのミサイル開発と受け取
られた事から、一般の日本人が予想できなかったスピードで整備が
進んだのです。これは、北朝鮮にとっては、日本への影響力の切り
札が封じられた事になり、明らかに国益にマイナスの影響を与えま
した。

情報秘匿は、必ずしも、国防力強化に役立たないという好例ですが、
「何を打ち上げるかは後で分かる」などという寝言ではなく、適切
な情報を公開する事が、北朝鮮が「普通の国」になる上でも重要な
行動である様に思われてなりません。

まあ、それができないから北朝鮮なんでしょうね。


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2009年2月16日月曜日

CRH2C型車輌に見る中国独自技術のレベル


旧聞に属する話ですが、以前に関連するエントリーを書きましたの
で、後日談という事で取り上げます。

中国は、北京・天津高速鉄道の開通に合わせ、JR東日本のE2系をベ
ースとし、中国独自技術で完成させたとするCRH2C型を投入しました。
シーメンスICE3をベースとするCRH3型と共に、2008年8月1日から
世界最高速、350km/hでの営業運転を開始したのです。

北京・天津高速鉄道は、当初から350km/hでの運転が予定されてお
り、CRH3はその為に導入されたタイプであったのに対し、CRH2C型
は、日本においては270km/hの営業運転しか行っておらず、設計速
度すら315km/hでしかなかった処から、いくらポテンシャルがある
車体でM/T比を変更したとは言え、、日本国内でも実現していない
350km営業運転をあっさりと実現した点、驚嘆したものでした。
(4M4T→6M2T、「はやて」は8M2T)

しかしながら、この列車について、朝日新聞GLOBEが2009/2/4付け
で、興味深い事実を報じました。

-前略

京津線を走る和諧号には2種類ある。一つは日本の川崎重工業が造る東北新幹
線「はやて」型。もう一つはドイツのシーメンス型だ。日独メーカーは一部車
両を完成車で輸出したものの、中国の国産政策にもとづいて、その多くは日独
の部品供給を受けて中国メーカーが生産している。
実はこの「はやて」型を巡って、技術協力した日本側と中国との間でひと悶着
(もんちゃく)あった。はやては東北新幹線では時速275キロで走っており、
12年末に時速320キロを達成するため現在、車両を開発中だ。川崎重工は「設
計上の安全走行の上限は時速275キロ」と中国側に伝え、運行技術を教えたJR
東日本の協力条件は「時速200キロまでの走行」だった。

にもかかわらず中国鉄道省は、試験走行で時速350キロ超を出せたことから、
能力いっぱいでの営業運転に踏み切った。五輪観光の目玉の一つにという思惑
もあったのかもしれない。
収まらなかったのが日本側だ。川崎重工幹部は開業の4日後、中国鉄道省の幹
部を訪ねて、抗議した。JR東日本首脳は「もし事故が起きても、これでは責
任は取れない」とカンカン。中国側から「責任は求めない」と確認する文書を
取った。
結局、京津線は2月までにすべて独型車両に置き換えることになった。はやて
型は時速250キロまでしか出さない他路線に移すという。

-後略
(朝日新聞GLOBE 2009/02/4)

http://globe.asahi.com/feature/090202/03_2.html

つまり、この高速運転は、JR東日本の協力範囲を超えた速度である
こと、また、車体製造業者である川崎重工重の設計上の最高速度を
も大幅に超えていることから、両者が中国側に抗議し「責任は求め
ない」という念書を取った様です。このため、2009年2月から、この
路線はすべてCRH3型を使用する事となり、それまでにこれらの車両
は最高時速250km/hの他線区に転属することとなったという訳です。

ここには、どこにも、中国独自の付加技術という要素が入っていま
せん。CRH2Cは、E2系と同じ先頭車両デザインだったCRH2と比べ、
ヘッドライトの位置や、パンタグラフカバーの他、車内デザインも
変更されていると伝えられており、最高速度が変わっているのです
から当然車台にも手が入っていると予想されていたのです。

ですが、実は根本的な処には全く手が入っていない事が判ったので
す。ここからは想像になりますが、中国は恐らく試験走行中にCRH2
で300km/hを優に超える速度がだせた事から、M/T比を変更すれば、
350km/hに達すると計算したのだと思います。そして、実際にCRH2C
を作るとあっさりと350km/hを達成し、恐らくは、400km/hに近いス
ピードが達成されたのだと思います。そこで、350km/hの営業運転
でも問題ないと考えたのでしょう。しかし、それは、試験運転の結
果でしかありません。そこには安全な運行への計算が、全く、入っ
ていませんでした。

一回こっきりの試験運転では、問題が発生しなくても長期間設計速
度以上の運転を行っていれば、車体の殆どの部分に設計以上の加重
がかかります。その結果として、金属疲労により、車台、車輪、構
造部材にすらクラックや破損が生じ、それが、大事故を齎す可能性
のある事は素人にすらわかります。

それをあっさりと無視した中国鉄道当局者はどういう技術的バック
グラウンドを持った人達だったのか、非常に興味があります。

今回は幸いに、大事故が発生する前に技術供与国からチェックが入
りました。しかし、こういったチェックがいつも入るかどうかには、
疑問が残ります。

最近、中国が、原子力空母を建造すると、同じ朝日新聞が報じてい
ましたが、原子力潜水艦と同じ程度の意識で水上艦用の原子炉を考
えているのであれば、近い将来、本当の「チャイナシンドローム」
が発生するのではないかと懸念する処です。


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