2009年1月23日金曜日

あたご衝突事故 軍隊への尊敬がない国の悲喜劇



※写真は毎日新聞サイトから転載

イージス艦「あたご」衝突事故 海自の組織的責任認める

海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故で、横浜地方
海難審判所(織戸孝治審判長)は22日、「あたご」の所属部隊の第3護衛隊
(京都府舞鶴市)に勧告を言い渡した。刑事裁判の判決に当たる「裁決」で、
海自の組織的責任を認めたことになる。

審判では、あたごの乗員らが内規を守らなかったり、十分な見張りを行ってい
なかったなどずさんな航行が明らかになった。その上で、理事官側は「あたご
が動静監視不十分で、清徳丸の針路を避けなかった」と指摘。指定海難関係人
とした前艦長、舩渡健1等海佐(53)ら4人とあたごの所属部隊の第3護衛
隊(京都府舞鶴市)の計5者に勧告を請求していた。

一方、海自側は「衝突の1分前に清徳丸が大きく右転し、事故が起きた」と主
張。事故後に再発防止策などを徹底したとして勧告は不要と述べた。

事故は平成20年2月19日午前4時5分ごろ、千葉県・野島崎沖で発生。清
徳丸に乗っていた吉清(きちせい)治夫さん=当時(58)=と長男の哲大
(てつひろ)さん=同(23)=が死亡認定された。第3管区海上保安本部
(横浜)は、監視と回避行動を怠ったとして、業務上過失致死容疑などで衝突
時と衝突前の当直責任者だった3佐2人を書類送検した。

(産経新聞 2009/01/22)

この衝突は、起きるべくして起きた事故であると私は考えます。
勿論、「あたご」側にも海難審判で指摘された見張り体制の問題が
あるのも事実です。しかしながら、最大の問題は、漁船側に自衛艦
を避けるつもりが全くなかったという事です。
海軍は、自国船舶を守る事がその存在の最大の目的の一つですが、
守られるべき船舶の側が守っている船に対する尊敬がなければ、守
られる資格がないと言えるかも知れません。

今回審判で認定された航跡図では、時速約20kmでゆっくりと直進す
る「あたご」に対して「清徳丸」が、その二倍のスピードで航路前
方を横切ろうとした事が判っています。確かに海上衝突予防法では、
相手を右に見る船が衝突を避ける事になっています。
しかしながら、「あたご」と「清徳丸」では、大きさが全く違いま
す。「あたご」が、一万トン級であるのに対し、「清徳丸」は数ト
ンしかありません。当然の事ながら、速度も運動性も全く異なりま
す。運動性の良い小型船の方が、障害物を避け易いのは明らかです。
しかも「清徳丸」の僚船が「あたご」に対してジグザグに航行した
事も判っており、衝突を避けようとすれば、進路を推定し易くする
為に、ゆっくりと直進するのが実務上は、適切という意見もあるの
です。

更に、「清徳丸」と衝突したのが、例えば、「あたご」と同程度の
大きさの中型の貨物船であった場合、あるいは、相手が海上保安庁
の巡視船であった場合、「清徳丸」は、衝突コースを漫然と維持し
たのか、また、海難審判所が今回と同じ判断をしたのかについては
疑問が残ります。

相手が護衛艦であったからこそ、「清徳丸」は直進したのではない
かと思えるのです。もし、「清徳丸」に護衛艦に対する尊敬や畏れ
の念があれば、「清徳丸」は、「あたご」に進路を譲っているに違
いありません。審判所の意見の中でも指摘されている様に、「清徳
丸」は、衝突を回避する協力を行っていませんでした。
その点に、護衛艦に対する甘えと傲慢さが見えるとすら言えます。

今回の事故は、まさに戦後日教組教育によって、自衛隊を敵視する
思想を植え付けられた漁民によって引き起こされた自業自得の事故
であると言える様に、私には思われてなりません。


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2009年1月22日木曜日

候補者から為政者へ変身したオバマ氏

※Reutersサイトから転載

封じた「CHANGE」 現実見据えた再生へ決意

米国の第44代大統領に就任したバラク・オバマ氏(47)は20日(日本時
間21日未明)の就任演説で、選挙戦で聴衆を高揚させた「変革(チェンジ)」
などの派手なキャッチフレーズを避け、国民の結束によって「米国の再生に取
り掛かる」と、重々しく呼びかけた。“肩透かし”に等しい地味な演説は、景
気後退など厳しい環境下で船出した政権の周辺から、虚飾や過剰な期待を排し
ておく政治判断によるようだ。

就任宣誓に続く20分足らずの演説で、選挙期間中にオバマ氏の代名詞ともな
った「変革」「希望」の使用頻度は、無関係の文脈まで含めても、それぞれ2
度だけにとどまった。

代わってオバマ氏が描いた米国の現状は、出口の見えないテロ組織との戦いや、
「一部の者の強欲と無責任」と厳しい決断の先送りが招いた「経済の激しい弱
体化」など、政権交代後もにわかに解決は難しい「本物の試練」だった。

オバマ政権の移行チーム関係者は、就任式典が近づいた先週末のあたりから、
演説が「責任と透明性」(ラム・エマニュエル新大統領首席補佐官、49歳)
を強調する地味で固い内容となることをメディアに根回ししてきた。オバマ氏
が敬愛するエイブラハム・リンカーン(1809~1865年)やジョン・F・
ケネディ(1917~1963年)ら、歴代大統領の名演説を「敢えて意識し
ない」とも伝えられた。

■「責任分担」明確に示す
就任演説は、大半の部分をオバマ氏自身がまず執筆し、その後、大統領選をと
もに戦い抜いた主任スピーチライターのジョン・ファブロー氏(27)と推敲
を重ねたとされる。だとすれば、就任演説への“期待値”を予め引き下げる広
報対応は、オバマ氏自身が「演説の名手」という評価に傷をつけてでも、厳し
い情勢認識や負担の大きな政策の方針をはっきり示し、国民に責任分担を求め
る必要があると決意した結果と読める。

オバマ氏が訴えようとしたのは、「家も職も失い、ビジネスは閉ざされた」と
いう灰色の現状から、国民が結束して「新しい責任の時代」に突き進むことで、
状況の好転を図るためのいわば道筋だ。

だが、政策に関する言及を見渡すと、「公的資金を管理する者は賢い使い方を
すべきだ」「監視システムがなければ、市場はコントロールを失う」など、オ
バマ政権のめざす政策は、国民や業界の間に痛みや不満が伴うものも多い。

安全保障についても、国際協調路線への転換を打ち出すのと同時に、現実のテ
ロの脅威には米国の武力で対処するという現実路線が盛り込まれた。就任演説
はオバマ氏の独自色ばかりに染めることのできない政権指導者としての苦衷が
色濃くにじんだようだ。(ワシントン 山本秀也)

(産経新聞 2009/01/22)

表題の割には、軽めの話題です。一昨日の夜、オバマ氏の就任演説
をライブで聴かれた方は恐らく少なかったのではないでしょうか。
かくいう私も、昨日勤めを終わってから、yahooの演説テキストを
見ながらABC提供動画で初めてオバマ氏の演説を聞いた次第です。
新聞各社から翻訳は出ていますが、英語でオバマ氏の魅力的な低音
の演説を聞いていると意外に、対位法を使ったり韻を踏んだりと言
った演出が多い事に気がついたりしました。

ただ、就任演説で一番気になったのは、オバマ氏が実に淡々と19分
のスピーチを終えた事です。National Mallに集まった200万人が期
待したフレーズ「Yes We Can !」という言葉が無いのは勿論の事、
フレーズの区切りでも、聴衆の歓声が沸きあがっている途中で、
その腰を折るような感じで、次のフレーズを始めてしまうと言った
具合です。

National Mallへの入場を許された人達は、大統領選挙で、オバマ
当選に貢献した民主党員が殆どです。寒風の中、大統領就任式を何
時間も待ち続けたのは、オバマ新大統領の演説を聞きながら、
「Yes We Can!」を連呼する事で、勝利に酔う事であったに違いあり
ません。オバマ氏も、それは良く承知していたに違いないのです。
そして、その期待に応える事は、全く容易な事であった筈です。
スピーチライターに、そう頼むだけで良かったのですし、民主党大
会での大統領候補受諾演説など、そういうスピーチは、今までも何
度も行っています。また、そういう機会に熱狂的な聴衆の反応を引
き出して来ているのがオバマ氏です。今回の演説でも、聴衆の熱狂
を引き出し、国民の一体感を形成するというオプションもあった筈
です。

今回、その様な草の根民主党員の期待を振り切って実に淡々とした
就任演説を行った事は、まさにオバマ氏が意図してその様なものに
したと明確に指摘できます。オバマ氏は大統領就任式にあがったの
でも、スピーチライターが悪かったのでもなく、寧ろ、候補者時代
の周囲の期待を切り捨てる様な演出をあえて行う事で、明白に為政
者としての役割に転換する事を意図したのではないかと思えるのです。

就任演説の内容そのものの中にも、それを思わせるフレーズがあり
ます。最初に、現実の暗さを指摘し、演説の後半で国民の努力でそ
れを変えて行こう、努力を継続したと後世の人から言われる様にし
ようと促しています。まさに、就任時に華やかな雰囲気で出発する
のではなく、寧ろ低く暗く出発する事で、目的達成への努力を促し
政権を通じた盛り上がりに繋げようという意図があったのかも知れ
ません。

その点で、為政者としてのオバマ氏は、上院議員一期のみという、
その政治経験の乏しさにも係わらず、意外にしたたかな人物である
事を予想させたと言えるのかも知れません。


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2009年1月21日水曜日

オバマ政権 期待度は高いが、支持急落の可能性も高い?


※宣誓するオバマ新大統領。時事通信サイトより転載

オバマ新大統領が就任演説、国民に米国再生への協力促す

米民主党のバラク・オバマ前上院議員(47)は20日正午(日本時間21日午前2時)
過ぎ、ワシントンの連邦議会議事堂で宣誓後、就任演説し、米国の現状につい
て危機のまっただ中にあるがこれを克服し、将来も繁栄した強い国家であり続
けるとの決意を表明した。

新大統領はこの中で、米国は戦時下にあり、経済は弱体化し、短期間で解決出
来る問題ではないと国民の理解を求めた。その上でこれらの問題は必ず解決出
来るとして米国民に奮起を促し、米国再生へ共に取り組むよう呼び掛けた。

経済問題では、景気刺激のための大胆かつ迅速な行動が必要と強調。政府の活
動については、機能するかどうかが重要な問題であるとの認識を示した。

また、対テロ戦争の主戦場と位置付けるアフガニスタンの平和構築に全力を注
ぐと主張。多宗教を尊重し、相互利益や敬意に基づきイスラム社会との新たな
関係構築への希望を述べた。友人やかつての敵と協力しながら「核の脅威」の
ない国際社会を目指すとの考えも強調した。

イラク問題では、駐留米軍の撤退は責任ある形で進めるとも言明。地球温暖化
の進行を押しとどめる決意も述べた。

米国が直面する試練や打ち出す対応策は新しいものかも知れないとしながらも、
成功を生み出す勤勉、正直、勇気、忍耐、好奇心、忠誠や愛国心などの美徳は
昔ながらのものとし、真実でもあると強調。米国の歴史を通して進歩を生む源
の力にもなったとして、現在の試練に立ち向かうにはこの力が今こそ必要であ
ると国民に呼び掛けた。

(CNN.co.jp 2009/01/21)

オバマ氏の支持率は8割、就任時ではカーター氏以降最高

【ワシントン=本間圭一】オバマ次期米大統領の支持率が約8割に上ることが、
18日発表の各種世論調査の結果で分かった。就任時の支持率では、カーター
元大統領以降、最高となった。

18日付ワシントン・ポスト紙によると、カーター氏以降の大統領に関し、1
期目就任時の好感度を尋ねた調査で、オバマ氏は首位の79%。ブッシュ大統
領が62%、最下位はレーガン元大統領の58%。ニューヨーク・タイムズ紙
が18日発表した調査では、カーター氏以降の大統領の1期目就任時に「今後
4年間を楽観視する」と答えた人は、オバマ氏が首位で79%、ブッシュ大統
領が64%で最下位だった。
(読売新聞 2009/01/19)

世論調査では、オバマ氏は非常に高い支持率を得ていますが、この
支持率の高さは、期待度の高さとも言い換えられますので諸刃の剣
として働きます。つまり、オバマ政権の政策について、高率の支持
が得られる半面、期待を充足しない状況が続くと支持率が急低下す
る可能性が高いという訳です。政権発足時の支持率が非常に高かっ
たカーター政権は、イラン人質救出の失敗や人権外交で、支持率が
急低下した事が想起されます。

特にオバマ氏は、当初は、民主党でも、最もリベラルな上院議員と
いう評価を得ていました。ここでいう「最もリベラル」という言葉
は、必ずしも良い意味ではありません。最も左派的な議員という評
価である訳で、日本で言えば、社民党や共産党に相当する投票行動
を議会でとっていたと言う事です。

大統領選挙を勝ち上がっている時には、こういう過去の投票行動は
問題にされませんし、逆に、イラク侵攻に反対した点が評価された
事もありました。また、オバマ氏自身が、そのラディカルな指向を
大統領選挙中には封印したいた事、マスコミもあえてそういう傾向
を取り上げなかった事もありますが、オバマ氏が大統領としてそう
いうカラーを出してきた時には、多くの中間層やオバマ・リパブリ
カンがそっぽを向く可能性はかなり高いのではないかと考えます。

どの評論家も指摘していますが、国民に不評な政策は、政権発足後
100日以内のハニームーン期間に、済ませて置くに越した事はあ
りません。つまり、中高所得層に対する増税です。これには、選挙
期間中にも提起されていましたので、共和党支持層にも一定の支持
があります。しかし、経済が危機的状況の中で、増税をするのは、
大恐慌中に財政均衡を図って失敗したフーバー大統領の二の舞にな
りかねません。また、オバマ政権の経済チームもそういった事はす
る筈もありません。という事は、最初の100日以降に増税を行わざ
るを得ず、それが政権に対する不安要因になる事が考えられます。

更に、イラクやアフガニスタンからの撤退についても、国民の多く
が望んでいる政策ですが、責任を持った撤退を行おうとしても、イ
ラクのマリキ政権もアフガニスタンのカルザイ政権も政権基盤は磐
石とはとても言えない状況であり、下手をすればオバマの在任期間
中にイスラム原理派による政権転覆も起こる可能性も捨て切れませ
ん。そうなった場合にはオバマ政権への批判は高まらざるを得ませ
ん。

また、オバマ政権では、財政赤字対策や新政策財源として、ブッシ
ュ時代に膨張した、内国安全保障予算を削減する事が課題になると
思われます。また、ブッシュ時代に「ならずもの国家」に指定され
ていたイラン、シリア、北朝鮮とも宥和的にアプローチすると思わ
れますが、それを実施した後で、米国内でテロが発生した場合には、
オバマ政権は、窮地に立つ可能性すら考えられるのです。

これらを勘案すれば、オバマ政権は、その期待度の高さと比べ、政
策の自由度はそう高い訳ではなく、特に、オバマ氏がそのラディカ
ル指向を表に出した場合は、政策が裏目に出る可能性が寧ろ高いの
ではないかと懸念する次第です。

唯一、救いのあるのは、オバマ氏が自らをエイブラハム・リンカー
ンになぞらえている事です。リンカーンは自省する事の多かった人
物としても知られています。オバマ氏が、リンカーンのひそみに倣
って、自省を繰り返した上で、後世の批判に耐える政策展開を行う
事を切に希望したいと思います。



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2009年1月20日火曜日

パンダ・ハガーがいても、日本は対米協調による国益確保を目指すのみ


※代表的パンダ・ハガー Wikipediaより転載

<オバマ新政権>多すぎる親中派「パンダ・ハガー」に日本がヤキモキ―米紙

2009年1月16日、米ブルームバーグニュースは「オバマ政権に多すぎる『パン
ダ・ハガー』が、日本の日米関係に対する危惧を増長させている」と題した記
事で、米次期政権の中国重視に不安を募らせる日本の姿を紹介した。19日付で
環球時報が伝えた。 

「パンダ・ハガー」(=パンダにハグする人の意)とは親中派の蔑称。記事は、
「首相がころころ変わる日本」の麻生太郎首相が、オバマ次期大統領に対する
当選祝いの電話で「米国との関係強化を外交政策の最重要項目」と強調するな
ど、米国の日本離れを食い止めることに心を砕く日本の姿を紹介した。また、
日本の新聞社が次期国務長官に任命されたヒラリー・クリントン氏を筆頭に
「オバマ政権には『パンダ・ハガー』が多い」と危機感をもって報じたことも
伝えた。 

記事はまた、「日本の必死なアピール」として法律を改正してまでソマリア沖
の海賊対策に艦隊を送ろうとしていると指摘。小泉元首相による靖国神社参拝
で冷え切った中国や韓国との関係改善を図ろうと、安部元首相が最初の訪問国
に中国、次に韓国を選んだことも取り上げた。 

だが、かつて国家安全保障会議アジア担当上級部長と大統領特別補佐官を務め
たケネス・リバソール氏は、「オバマ次期大統領の対日政策は気候温暖化や北
朝鮮の核問題など『実務』が中心になる」と指摘。記事は、河野太郎・外務委
員長も「日米の親密な関係が薄れてきているのは事実」と認めた上で米国の中
国重視姿勢に「多くの議員が懸念を示している」と語ったと伝えた。

(Record China 2009/01/19)

バブルの時の日本がそうだったように、中国は今、自国のポジショ
ンに過大な自信を抱いているようです。
こういった米国通信社の配信記事を細かく伝える事によって、国民
にナショナリズム的高揚感を与えているとも言えます。勿論、政権
に対しては、支持増加要素になると言えるでしょう。
ところで、パンダ・ハガーがオバマ政権内に増えると、それが日本
にとっては、即悪なのでしょうか。私は必ずしもそうではないと考
えます。

米国にとって日本は経済面では競争相手であっても、安全保障面で
は、長年に亘る同盟国です。一方の中国は、安全保障面でライバル
であると同時に経済面でも、台頭してきたライバル国という事にな
ります。しかも、米国の議会制民主主義や人権規範とは、潜在的に
相容れない一党独裁体制、人権抑圧体制を引き続き堅持しています。

勿論、一党独裁体制、人権抑圧体制の国が米国と協調できない訳で
はありません。シンガポールの様に、中国とは実質的には異ならな
い国とも米国は協調していますし、米国は第二次大戦時には、ソ連
や中国と言った独裁国家を同盟国とし、それらより民主主義の度合
いの進んだ日本を敵とした事もある訳です。

しかしながら、米国にとって中国と日本、どちらが将来の米国にと
って脅威であるかを現時点で問えば、それは中国である事に殆どの
米国の政治家が同意するだろうと思われます。

米国の政治家がかってのソ連に対するのと同様に潜在敵国である中
国を重視する事はあっても、現時点でのナチュラル・アライは、日
本ある事は明白であり、それは、パンダ・ハガーであっても同様の
認識であると思われるのです。但し、そういう認識は、長年に亘る
行為の蓄積の所以であって、自然に放置してそうなる訳でない事は
言うまでもありません。米国で反日宣伝を行おうとする者にとって
日米の過去は、宣伝材料に事欠くものでない事を充分に認識してお
く必要があります。

マスコミの論調とは大いに異なりますが、私は米国の政治的経済的
に唯一の超大国としての地位は、予見できる将来に置いても、変わ
る事はなく、日本にとって協調する甲斐のある民主主義法治国家で
あると考えます。勿論、米国の100%が善である訳ではありませんが
同様のスコープで中国やロシアがヘゲモニーを取ったケースを比較
しても、米国が悪である、その度合いは、中ロに比べましであると
言えると思います。

日本としては、中国が、現体制が維持されるよりも、和平演変の結
果、人権を重視する民主主義法治国家へ体制が変化してくれる事が
望ましい訳であり、米国がその様な戦略性を持って中国の変化を促
すのであれば、それに越した事はないと言えます。私は、その結果
として、日本が米国のアジアにおける第二の同盟国になっても、そ
れはそれで歓迎できる事であるいと思います。

日本として絶対に避けるべきは、日本が米国と利害調整に失敗し、
あるいは、中国や第三国の反日キャンペーンに敗れる形で米国を敵
に回す事であると思います。その意味で、クリントン政権における
ジャパン・バッシャーの発生は、反面教師として、再び、その様な
議論が出て来ない様、注視する必要があると言えます。
昭和天皇は、英米を敵に回した松岡洋右を最後まで許す事がなかっ
たと言いますが、我々が最も警戒すべきは、左右何れの側からであ
っても対米協調を破壊する意図を持ったアジア主義者であると考え
る次第です。その意味で、福沢諭吉の脱亜論は今日的価値を引き続
き持っていると考えます。

それにしても、日本で代表的なパンダ・ハガーである河野太郎が「
日米の親密な関係が薄れてきているのは事実」と発言しているのは
問題であると思います。


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2009年1月19日月曜日

ガス供給再開するも敗者はロシア


※写真は、ロイターサイトからの転載

「19日にもガス供給」EUは不信感 露・ウクライナ

【モスクワ=佐藤貴生】ロシアがウクライナと欧州への天然ガス供給を停止し
た問題で、ウクライナのティモシェンコ首相は18日未明、「19日にも欧州
向けのガス供給が再開される」との見通しを語った。インタファクス通信が伝
えた。モスクワで首相と会談したプーチン露首相も同様の趣旨を述べた。ただ、
パイプラインの再稼働に必要なガスの費用をだれが支出するかなどは明らかで
はなく、欧州連合(EU)は両国の動きを慎重に見守る姿勢を崩していない。

プーチン首相は会談後、ウクライナ側がガスの通過料を昨年同様に抑えること
を条件に、「今年のウクライナ向けガス価格を、欧州向けのマイナス20%と
する」ことで合意したと述べた。ティモシェンコ首相は、ロシアとウクライナ
が19日、新たな合意文書に署名した後、供給が再開されるとしている。

ガスの欧州向け価格は1000立方メートル当たり450ドル前後とされるが、
両国が合意した今年の具体的な価格は明かされていない。また、ウクライナが
ロシアに対して6億5000万ドルに上るガス料金を未払いのままにしている
問題もあり、両国の対立がすべて解消されるかは不透明だ。

モスクワでは17日、EU関係者を招いて問題を協議する会議が開かれた。メ
ドべージェフ大統領は欧州の主要ガス企業でコンソーシアムを結成し、ウクラ
イナ国内のパイプライン維持に必要なガスを購入することなどを提案した。

しかし、EUは議長国チェコの閣僚らを会議に派遣するにとどめ、ロシア側と
距離を置く姿勢を示した。ロシアとウクライナによって何度か調停案を覆され
てきたEUの不信感はかなり根深いとみられる。EUは最近、早急に事態が打
開されない場合、「両国との関係を見直す」との厳しい姿勢を打ち出している。

(産経新聞 2009/01/19)

今回のロシアのヨーロッパに対するガス供給停止問題に絡んで、ロ
シアとウクライナの確執であるとか、料金の不払いであるという要
素を抜きにしても、ロシアは、そういった問題と無関係のヨーロッ
パ諸国に対し、供給責任を果たさなかったという事実は残ります。

元々、今回の欧州へのガス供給停止は、ウクライナのガス抜き取り
に対抗するというロシア流の大義名分がありましたが、その内容た
るや、ウクライナが抜き取ったとされた量を通常の供給量から削減
するという乱暴なものであり、ウクライナが、そこから、自国の必
要量を取得すれば、ヨーロッパ諸国への供給はますます削減される
しかない点で、ヨーロッパ諸国に共同でウクライナに外交圧力をか
けないとガス供給を停止するというロシアからの恫喝以外の何者で
もありませんでした。そして、その結果として二週間以上に亘り実
際にガス供給が停止してしまった訳です。

この様に、露骨にウクライナへの圧力をかけるという目的でロシア
は天然ガス供給を政治的武器として使用しました。これは2006
年に続いて二回目の事です。一回だけなら誤射かもしれませんが、
二回目ともなれば、どの国であっても、ロシアにガス依存度を深め
るとそれを梃子に圧力がある事を前提に外交を考えないといけません。
つまり、今後共、ロシアのガス供給に依存する事を選ぶ国は、基本
的にロシアの地域ヘゲモニーに従う事を積極的に選択した国と言う
事になります。

逆に言えば、ロシアの政治的圧力を嫌う国は、ロシアの天然ガスに
対する依存度を低下させる必要が出てきます。具体的には、天然ガ
ス供給国を多角化する事です。それによって、ロシアからの供給を
備蓄目的用にしてしまえば、供給ストップとなっても通常使用分は
影響を受けない事になります。また、エネルギー源としての天然ガ
スへの依存を低下させる必要も出てきます。この為には、一部の国
で既に始まった様に停止原発の再稼動や原発の新設まどが対策とし
て考えられます。
その一方で、ロシアが進めようとしているウクライナを経由しない
ノースストリームやサウスストリームと呼ばれるガスパイプライン
については、ロシアへの依存度を下げたいと思っている国は、現状
以上に建設に消極的になる筈です。

ロシアは、昨年12月に「ガス輸出国フォーラム」(GECF)を
開きOPECにならったガス供給に関する価格生産量調整用の国際
機関を作ろうとしましたが、今の処、国際金融危機もあって、創設
への動きは鈍いと言えます。また、天然ガスを高価格にすると、海
中に眠っているメタンハイドレードの開発を加速させる事にもなっ
てきます。

これらを勘案すると、今回のガス供給を梃子にしたプーチン外交は、
発動するタイミングとしては、必ずしも良いものではなく、逆に、
ロシアが更なるガス戦略を発動する事を前提とした欧州諸国の対抗
処置を招き、結果的にロシアの戦略オプションの幅を狭め、ガス輸
出量を低下させる悪手であると言える様に思います。


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