2010年4月9日金曜日

ロシアのミストラル級取得は本当に日本向けなのか?

※写真はミストラル

日本の領土要求が購入理由

インタファクス通信などによると、ロシアのポポフキン国防次官は7日、フラ
ンスからのミストラル級強襲揚陸艦の購入が必要な理由として、北方四島に対
する日本の領土要求を挙げた。

同次官は「極東には、ロシアの視点では解決済みだが、日本の視点では未解決
の問題がある」と指摘。もしミストラルのような艦船がなければ、サハリンな
どに数千人規模の将兵を展開、維持する必要に迫られると述べた。

ロシアはフランスからミストラル4隻の購入について交渉中とされるが、同次
官は、1隻は完成艦としてフランスから引き渡しを受けるが、残りはフランス
の技術を導入して自国で建造する方針だと説明した。

ロシア側は最近、日本の領土要求がロシアにとって脅威になっていると表明し
ている。(共同)
(産経新聞 2010/04/07)


最初に結論を言ってしまえば、ミストラル級取得の本当の狙いは、
グルジア等のカフカス諸国やバルト3国、旧CIS諸国や東ヨーロ
ッパ諸国などへの軍事介入用と思われます。

日本との領土紛争に備える為にミストラル級を取得すると言うロシ
ア国防次官のコメントは、ロシアの自国への軍事介入に疑念を持つ
東ヨーロッパや旧CIS諸国、及び、ロシアの影響力拡大を懸念す
る欧米諸国を韜晦する為の発言に過ぎません。

日本が本気になれば、ミストラル級4隻をロシアが極東に集中配備
した処で、その存在が、日本の意図を挫くものにはなりませんし、
本当に紛争になった場合でも、日本にとってミストラル級を排除す
るのは、それ程、難しい事ではないと考えられるからです。
(それが理由かどうかは別にしても、ソ連は最後までこの種の強襲
揚陸艦を保有しませんでした。)

少し、詳しく書きますと、ミストラルは多用途強襲揚陸艦です。乗
員以外に900名の兵員の他、数十両の戦車、装甲車、自走砲等の戦
闘車輌を搭載でき、それを10機以上搭載している輸送ヘリコプター
や、艦内に収容している揚陸艇、または、エアクッション揚陸艇を
使用して、敵前上陸を行う事が可能となっています。

この様に書くと非常に立派な艦の様に聞こえますし、実際立派な艦
ですが、北方領土で、自衛隊の侵攻を迎え撃つのに整備するという
事になると少し首を傾(かし)げてしまいます。つまり、強襲揚陸
(敵が待ち構えている処に無理やり上陸する事)が得意な艦である訳
ですから、自衛隊が北方領土を先に占領するか、あるいはロシアが
北海道に揚陸するのでなければ、出番が無い事になります。

自衛隊が侵攻する前に、兵員を輸送するのであれば、平常通り、北
方領土の港湾施設が使えますので、通常の輸送船を使用した方が余
程効率が良い筈なのです。

つまり、強襲揚陸艦自身は、固有の兵装はそれ程強力ではありませ
ん。対空ミサイル発射機が二基と同じく30mmと12.7mmの機関砲が各
々二基、四基しかありません。つまり、個艦防御用兵器しかない訳
で、この艦で輸送する場合は、強力な護衛艦隊が必要となります。
つまり、トータルの輸送コストが高くついてしまう事になります。
また、護衛が必要ない状況で、この艦を輸送用に使うのであれば、
この艦の保有するヘリコプターや、揚陸艇用の設備は、輸送という
観点からは無駄と言う事になります。

北方領土で、日本との戦端が開かれた後に、この艦を使って、兵員
や戦闘車輌を運ぶ場合は、北方領土に近接した場所から、航空自衛
隊のF2支援戦闘機や海上自衛隊の艦艇によって、百発規模の巡航ミ
サイルによる飽和攻撃が数回は反復される可能性があります。その
為、余程、強力な護衛艦隊を編成しなければ、とても、その攻撃を
回避する事が難しいと思われるのです。まして、ミストラル級は、
割り切って言えばティッシュペーパの箱が海に浮かんでいる様なも
ので、非ステルス形状なので、巡航ミサイルの格好の標的と言えます。
(尤も、自衛隊の戦略としては、北方領土にロシアの大規模な兵力
を上陸させた上で、海空兵力で北方領土を封鎖してしまった方が効
率良いと思いますが...。)

勿論、日本は、憲法第九条によって、「武力の行使は、国際紛争を
解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」事になっていま
す。ロシアもこれを重々承知しています。
それに、もし、日本が通常兵器でロシアを圧倒しても、ロシアには、
核兵器による恫喝を行うという最後の手段が残されています。

つまり、今回のコメントは、ロシアが日本をだしにコメントしても、
日本側から、それを理由に何らの軍事・外交的アクションが取られ
る事が無い事を見切った上での発言であったと考えられるのです。

以前は、日本が太平洋戦争で、徹底した抗戦を行った事から、多少
の遠慮やおっかなびっくりもあった様にも思われますが、昨今は、
中国、韓国同様、日本の外交的弱腰を見切った態度を取るのが、日
本に対する非友好諸国の流行(はや)りなのかも知れません。

現政権に至っては、そんな中で、安全保障面を頼っている米国との
関係を自ら破壊する事で、自国の足場をより不安定化させているの
ですから、なにおかいわんやですね。


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2010年4月8日木曜日

新発見の小惑星が地球に接近!

※NASAによる2010GA6の軌道分析。地球と殆ど重なりあっている。

最近は、地球に接近する小惑星の観測体制が整備されてきた事もあ
って、地球にニアミスする小惑星の正確な予報が出される様になり
ました。今回報じられた小惑星も、大きさは僅か22mに過ぎません。
これだけ小さいと流石に、最接近の間近にならないと発見できません。
今回も、良く発見できたと驚く程です。恐らくは、この程度の小惑
星でスペースガード他のネットワークで、捉えれられないものも多い
のだろうと想像する事ができます。

以下、今回の小惑星2010GA6のニアミスについてのspace.comの記事
を抄訳しました。


木曜日に新発見の小惑星が地球に接近する

新しく発見された小惑星が木曜日(4/08)に地球に最接近する。月の軌道の内側
を通過するが、幸いにも、地球への影響はなさそうである。

この小惑星は、2010GA6と呼ばれているが、長さ22mと比較的小さな岩石で、ア
リゾナ州ツーソンのカタリナ・スカイサーベイの天文学者によって発見された。
この宇宙岩が、地球に最接近する東部標準時4月8日19時06分(日本時間4月9日
8時06分)には、月軌道の内側を飛行する見込みであるが、NASAの天文学者によ
れば、地球に衝突する心配はなさそうである。

「月軌道の内側を地球近傍天体(NEO)が接近飛行するのは、数週間おきに起こ
っている事です」と、ジェット推進研究所内にあるNASAの地球近傍天体事務所
のドン・ヨーマンズは語っている。

地球に最も接近した時には、この小惑星2010GA6は、地球から35万9千キロ離れ
た場所を通過する。しかし、この小惑星が地球に接近飛行をする今年初めての
小惑星と言う訳ではない。

1月には、もっと小さな小惑星2010AL30が13万キロ以内を突進している。また、
他の宇宙の岩石も、それほどの接近軌道ではない、余り心配のいらない百万キ
ロ程度離れた場所を通り過ぎている。NASAは日常業務として、地球に接近する
可能性がある小惑星や彗星を、地上と宇宙にある望遠鏡のネットワークを使っ
て追跡している。

一般には「スペースガード」として知られているNASAの地球近傍天体計画は、
潜在的に危険な小惑星を発見し、地球に衝突する危険性の程度を決定する為に
それらの軌道を研究している。

12月に打ち上げられた、NASAの最新の宇宙望遠鏡であるWISE(広域赤外線探査)
衛星は、以前は、発見する事の出来なかった、赤外線領域でしか光を発してい
ない新しい小惑星を発見する事を役割の一つとしている。
これまで、WISE望遠鏡は、これまで知られていなかった小惑星を、毎日数十個
づつ、発見している。そして、これらの宇宙岩の内のいくつかは、地球にとっ
て潜在的な危険性がある為、より詳細な分析を行う為に、タグを付けられてい
る。

(SPACE.com 2010/04/06)


http://www.space.com/scienceastronomy/asteroid-earth-close-flyby-100406.html


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2010年4月7日水曜日

ボーイング787の飛行テストは順調に進行中

※主翼構造屈曲試験中の機体
Seattle Weekly Webサイトから転載

昨年12月に、初飛行を行ったもう一機の開発中の機体が、ボーイン
グ787です。こちらも開発が3年近く遅延し、お陰で昨年は50機も
の発注取り消しが出ていますが、それでも850機以上のオーダーを
抱えています。こちらはライバル機であるA350の開発で、これと言
った困難が報じられていないだけに、これ以上の開発遅延は許され
ない状況となっていました。また、飛行テスト計画も非常にタイト
であり、本当にその通り実施できるのか、専門家が疑問視する程の
ものとなっていました。

初飛行から三ヶ月、既に4機のテスト機による密度の高い飛行テス
トが実施されており、それに続き、5月と6月に各々一機のテスト
機が追加投入されテストは最高潮を迎える見込みです。そして、現
在までの処、テストそのものは順調に進行している様子です。

その状況をAir Transport Worldが報じていますので、抄訳してみ
ました。

11月の1号機引渡しに向け787の飛行テストは順調

ボーイング社は、11月末の全日空への初引渡しを確実にする為に、787の飛行
テスト計画を強力に推進中である。
同社によれば、フラッタリング試験や主翼構造屈曲試験にパスした事で、787
の公式型式検査を今週中には取得出来ると期待している。公式型式検査は、
連邦航空局(FAA)による型式証明プロセスを公式に開始する事になる。

その一方、五番目のテスト機であり、初のGEnxー1Bエンジン搭載機となるZA005
号機は、初飛行に向けてエバレット飛行場の列線で調整を行っており、5/8に
は初飛行が行われる見込みとなっている。ドリームライナーの最後のテスト機
となるZA006号機は、6/4に初飛行の見込みであり、現在、777の生産ラインの
隣で、40-24ブロックの組み立てが行われている。

ボーイング社は、現在、初引渡しを予定通りに行う為、一週90時間の飛行テス
トを実施している。同社は、11月の終わりには、30機の引渡し可能なレベルの
機体を製造する事を計画している。

先週、エバレットの787製造ラインを見学した処、ロイヤル・エア・モロッコ
向けの一番機であるLN17号機、全日空向けのLN18号機、ロイヤル・エア・モロ
ッコ向けの二番機であるLN19号機を見る事が出来た。重量最適化対策を最初の
機体で日本航空向けの一番機でもあるLN20号機は、3月末から最終組み立てが
開始されている。

(Air Transport World 2010/04/07)


http://www.atwonline.com/news/story.html?storyID=19937


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2010年4月5日月曜日

韓国哨戒艦沈没 魚雷攻撃の可能性高まる。

哨戒艦沈没:高まる魚雷攻撃の可能性
北朝鮮、機雷を意図的に設置?


哨戒艦「天安」沈没の原因は、「外部からの衝撃」で固まりつつあり、またそ
の衝撃についても、地震波の大きさから見て、魚雷や機雷、爆雷など強力な爆
発物によるものと推定されている。金泰栄(キム・テヨン)国防長官による今
月2日の国会答弁で明らかになったように、韓国軍当局は機雷・爆雷よりは魚
雷の可能性を大きくみている。

■魚雷・機雷・爆雷、どう違うのか

魚雷・機雷・爆雷は、いずれも海の中で爆発する。少々乱暴に例えるならば、
魚雷はミサイル、機雷は地雷、爆雷は爆弾に該当する。魚雷と機雷は水の中で
水中の敵を狙い、爆雷は艦艇や航空機など水の上から水中の敵を狙う。魚雷は、
通常はスクリューなどを使って時速60-70キロ以上の高速で走り、数百メート
ル-数キロ離れた目標物を攻撃する。魚雷は、音を探知して攻撃する。敵艦艇
のスクリュー音を聞いて攻撃する受動型(パッシブ)ホーミング魚雷と、艦艇
に向け音を出し、その反響を追っていく能動型(アクティブ)魚雷、誘導され
ずに真っすぐ直進していく無誘導魚雷などがある。

これに対し機雷は、通常は推進装置を持たず、静かに水上を漂って艦艇と衝突
したり、または水中・海底に沈み、敵艦艇の音(スクリュー)、磁場・圧力の
変動によって動き出し、攻撃する。このため、射程距離は魚雷に比べはるかに
短い。爆雷は、魚雷・機雷に比べ、攻撃の方式や対象が制限される。水上艦艇
や航空機から落とされた後、水中数十-数百メートルの深さで、水圧によって
爆発する。

■軍はなぜ魚雷の可能性を大きくみるのか

韓国軍当局は、機雷や爆雷の可能性は低いとみている。まず、天安の船尾に積
まれていた爆雷の場合、爆発しても、船が中央から真っ二つになる結果にはな
り得ない。事故当時、天安の上空や海岸に疑わしい攻撃主体はいなかった、と
いう点から、外部の爆雷の可能性もない。

機雷は、流れてきて偶然天安にぶつかったケースと、天安を狙って設置したケ
ースという二つの可能性を推定できる。まず、韓国側が事件のあった水域に機
雷を設置したことはない、というのが韓国軍当局の説明だ。1950年の6・25戦
争(朝鮮戦争)当時に設置された機雷が海を60年間漂い、天安を真っ二つにし
た可能性は、言及する価値すらない。また1975年ごろ、ペンニョン島一帯に敵
の上陸を防ぐため機雷を設置したことがあったが、金泰栄国防長官は2日の国
会答弁で「電気式雷管が完全に除去された状態で、爆発の可能性はない」と語
った。北朝鮮の機雷が偶然流れてくることも、潮流の方向が南北逆さまなので、
可能性は薄いと分析されている。

北朝鮮や仮想の敵が天安を狙って意図的に機雷を設置した可能性もまた、あま
りにも「偶然に偶然を期待する作戦」であって、確率は小さいと分析されてい
る。天安が沈没した場所は、「天安がこれまで15回通ったことがある」という
程度で、それほど頻繁に行き来していた場所ではなく、むしろ一般漁船の通行
の方が多い。漁船を避け天安だけを狙おうとすれば、天安特有のスクリュー音
にだけ反応するようにした音響感応型機雷が必要だが、北朝鮮がそれほどの先
端情報や技術を持っているかについて、情報当局は懐疑的だ。

このため韓国軍当局は、魚雷攻撃の可能性が大きいと見ているわけだ。北朝鮮
が魚雷攻撃を行ったなら、アクティブ型・パッシブ型ホーミング魚雷などのう
ち、どれを使ったのか、魚雷攻撃を行ったのは小型潜水艦・潜水艇・半潜水艇
のうちどれなのか-といった点は、現段階では断定できない。ある消息通が伝
えたところによると、攻撃の正確さを向上させるため、魚雷発射直後は潜水艇
などから誘導し、目標物に2-3キロまで接近した後は、魚雷自体のソナー(音
響探知装置)を稼働させ攻撃した可能性が大きいという。

事件現場で魚雷の破片が回収されたとしても、攻撃手段の確認はまた別の次元
の問題だ。

韓国政府や軍当局は、「先月24日から27日にかけ、北朝鮮の潜水艇2隻が“行
方不明”になっていたが、今回の事件との直接的な関連性はまだ確認されてい
ない」という立場だ。

(朝鮮日報 2010/04/05)


一時、船体切断面がきれいな直線になっているという潜水士の話を
元に、老朽化による疲労破壊の可能性が高いとする説がありました
が、実際には切断面が、直線ではなくC字型になっていた事もあっ
て、急速にこの説を押す声は少なくなってきています。

実際、疲労破壊を起こした例として上げられるタンカーの例では、
船体延長工事の際に、溶接に不手際があった部分が、船首が波に乗
上げ浮力が増加した際に、切断しています。事故後の調査で、延長
工事の際、納期に迫られ雇用した臨時工主体の溶接が、全く基準を
満たしていなかった事が判っています。そして、それでも、そのタ
ンカーは工事後、13年たって、著しく悪化した海象に遭遇した結
果、船首切断事故に至ったのです。

今回、哨戒艦沈没事故が発生した状況は、波高4mと伝えられてい
ます。この波高は韓国海軍が認めた活動限界に近いのですが、厳し
くはあっても非常に危険な気象条件ではありませんでした。また、
破断した部位は、煙突の後部であり、これも、サギング(船体前後
が大きな波の山で支えられた状態)やボギング(船体中央が、波の山
に持ち上げられ他の支えがない状態)が発生した時しか考えられな
い部分です。しかし、沈没箇所の水深が40mと伝えられている処か
ら、その様な浅海で、太平洋で発生する様な疲労破壊を起こす大き
な三角波が発生するとは考えにくいのです。

哨戒艦の生存者の話では、爆発と思われる衝撃の後、下から10cm~
15cm程突き上げられたと言い、これは、通常の疲労破壊時の状況と
は異なる事が明らかです。

従って、残る可能性は外部衝撃説しかありえず、外部衝撃の原因と
しては、それが魚雷によるものであっても、機雷によるものであっ
ても北朝鮮の関与を疑わざるを得ないのです。

前回のエントリーでも述べていますが、韓国でも、外部衝撃説が有
力になっているにも拘わらず、マスコミや悪名高いネチズンの非難
の矛先は、あろう事か、適切な哨戒艦の救助が行えなかったとして、
被害者である海軍に向いており、加害者である北朝鮮を非難するも
のが誰もいないという状況です。特に、ネチズンの間では、左翼特
有の陰謀論が有力な意見となっており、それが、また、野党民主党
の北朝鮮擁護の主張と一致し、更に、それが、G20を前に事を荒
立てたくない李明博政権の姿勢とも一致するという誠に奇妙な構図
になっているのです。

現状を率直に評価すれば、哨戒艦「天安」の亡くなった将兵と家族
には、誠に申し訳ないのですが、「死に損」という表現が一番適当
である様に思われます。もし、このまま、韓国が北朝鮮に対し、な
んらの行動を起こさないのであれば、韓国海軍は、その士気に大き
な禍根を残す事になるのではと、他人事ながら気になってしまいま
した。


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