2009年10月29日木曜日

Hatoyama is not worth for supreme commander of JDF. 護衛艦衝突 鳩山首相に自衛隊最高指揮官としての資格なし

※内閣総理大臣旗 Wikipediaより転載

首相「日韓関係に配慮を」 護衛艦衝突事故、防衛相と会談

鳩山由紀夫首相は28日、国会内で北沢俊美防衛相と会い、海上自衛隊の護衛艦
と韓国船籍のコンテナ船の衝突事故に関する報告を受けた。韓国籍船が海上保
安庁の指示に従い航路を変更していたことを踏まえて首相は「日韓関係にいさ
さかでも差し障りがあるようなことにならないようなことが大事だ」と慎重な
対応を指示した。

海上保安庁は同日、事故が起きた関門海峡をレーダー監視している海上交通セ
ンターの管制官が、韓国籍船が前方の貨物船を追い越す際に護衛艦の航路に近
づく形で追い越すよう指示していたことを明らかにしている。

(日本経済新聞 2009/10/28)


鳩山首相は、自らが、自衛隊の最高指揮官であるとの自覚が全くな
いというのが、良く判る発言です。
勿論、海上保安庁の関係でも、最終的な責任は首相になるのでしょ
うが、海保の組織図を見ても、国交相や首相の名前は出てきません。
それに対し、自衛隊では、最高指揮官として、指揮官旗まで用意さ
れているという違いがあります。自衛隊は軍ではありませんが、国
の存否を左右する軍というものの性格が首相をその様に位置づけて
いると言えます。

この様な指揮官としての自覚は、恐らく、観閲式や観艦式で、自衛
官が自分に敬礼をしている事などを通じて、醸成されるものだと思
われますが、鳩山首相は、10/24に行われた殉職自衛隊員追悼式に
も、10/25に行われた観艦式にも参加しませんでした。これでは、
指揮官としての自覚が醸成できる訳もないのです。否、自覚の醸成
を自ら放棄しているとすら言えるのかも知れません。

今回の場合、首相がどういうつもりで、日韓関係に言及したのかは
知りませんが、自己の指揮下にある護衛艦が衝突され、且つ負傷者
が出ているにも係わらず、それに全く言及する事なく、日韓関係の
みに言及したのであれば、最高指揮官としても極めて問題であると
考えます。

更に、この発言は海難事件を所管する行政機関の長の発言としても
問題があります。いくら宇宙人であるとは言え、海上交通にはルー
ルがあり、海難事故は海難審判で事故の原因と責任が明らかにされ
る事は、鳩山首相も護衛艦「あたご」と漁船の衝突事故や、その後
の海難審判を通じて常識になっていなければなりません。つまり、
為政者として、その審判に影響を与える様な発言は、避けるべきで
ある事も常識でなければならないのです。

これは通常の刑事事件で、事実が明らかになっていない状態にも係
わらず、韓国人が犯人と目される事を理由に、検察官や裁判所に圧
力をかけている様なもの。つまり指揮権を発動しているのと同じ事
なのです。むしろ、裁判所が三権分立により行政府からの独立を保
障されているのに対し、海保が、行政府の一機関である事を考えれ
ば、首相の指揮権限はより強いと考えるべきなのです。

その様な視点から考えると、鳩山氏は、自衛隊の最高指揮官として
の自覚もなければ、行政府の長としての自覚も見識もない事がこの
事件を通じて明らかになったというべきであり、とりわけ、自分の
立場が判っていないというのは首相としては致命的ではないかと考
える次第です。(阪神淡路大震災での危機管理体制の不十分さを指
摘されて「何分初めての経験でもございます」と述べた村山首相に
通じる為政者としての当事者意識の無さを感じてしまいます。)


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2009年10月28日水曜日

護衛艦「くらま」衝突事故 韓国船の無謀な操船が原因?

※関門海峡航行参考図(部分) 衝突地点は●赤丸で表示

護衛艦衝突の韓国船長「別の船を追い越そうと…」

山口県下関市と北九州市の間の関門海峡で、海上自衛隊第2護衛隊(長崎県・
佐世保基地)所属の護衛艦「くらま」と、韓国籍の貨物船「カリナ・スター」
が衝突した事故で、同船の韓国人船長(44)が「前にいた別の船を追い越そ
うとして、対向してきた護衛艦に衝突した」などと説明していることが28日、
海上保安庁の調べで分かった。

第7管区海上保安部は同日、実況見分の予定を強制捜査に切り替え、業務上過
失往来危険容疑で、両艦船を現場検証する。事故当時の双方の位置関係や運航
状況について、説明に矛盾がないか、乗組員らから詳しく事情を聴き、事故原
因の解明を進める方針。

同海峡は右側通行が原則で、海上衝突予防法では、対向してくる船と接近した
場合は、原則として双方が右に舵を切って回避するルール。貨物船が対向して
きたくらまを回避するために右に舵を切った場合、左側面を損傷することになる。

しかし、防衛省によると、貨物船は右船首部分が大破しており、くらまは船首
が大きく損傷している。同保安部では、貨物船が左に舵を切った可能性や、く
らまが左に寄りすぎて航行していた可能性などを慎重に調べる。

一方、衝突事故による護衛艦の負傷者は、消火作業中の煙の吸い込みや脱水症
状を含め、3人増えて計6人となった。韓国船にけが人はなかった。いずれも
症状は軽いという。

事故現場では、政府が派遣した榛葉賀津也防衛副大臣は28日未明、北九州市
側の岸壁から護衛艦を視察。記者団に「目視した感じでは、おそらく5メート
ル以上えぐられたんじゃないか。まだ未確定の情報もあり、われわれなりに落
ち着いて情報を収集したい」と述べ、事実関係の確認に全力を挙げる方針を示
した。

(産経新聞 2009/10/28)


海難審判での結論が出るまではうかつな事は言えないのですが、上
の記事の通りであれば、今回の事故は、かなり明白な韓国船の無謀
操船が原因であると思われます。

そもそも関門航路内は、追い越しが禁止されているのに、むりやり
追い越そうとしたのが問題です。関門海峡の航路帯は可航帯の幅が
狭く、流速は早く、且つ、入り組んだ地形です。この為、事故が多
いので、厳格な航行ルールが決まっています。

今回の事故は、陸上に例えて言えば、狭い交通量の多い二車線道路
で追い越し禁止になっているにも係わらず、無理に追い越ししよう
として対向車線にはみだしたトラックが、折悪しく差し掛かった対
向車と正面衝突した様なものです。

但し、不幸中の幸いであるのは、この場所は、事故が多いので、海
上保安庁の海上交通センター(関門マーチス)の水上レーダーによっ
て監視、管制が行われていた事です。(韓国側では、韓国船は管制
指示に従った事で衝突したと主張している様です。)

海上自衛隊とは異なる政府機関である海上保安庁により、衝突した
双方の航海データが記録されている訳ですから、それに基づいた客
観的な海難審判を期待する事が出来ます。

私は見ていませんが、今朝のワイドショーでは、予想通り、海上自
衛隊を貶める為に、護衛艦乗員の緊張感の欠如を指弾するコメンテ
ーターや解説者が多かった様そうです。

いつもの事とは言え、国民に不正な予断を与える為にする議論は、
決して正しい解決を導かないと悟るべきでしょう。コメンテーター
と解説者は現時点での、自衛隊の最高指揮官は民主党の鳩山首相で
ある事を良く肝に銘じておくべきであると考えます。

あと、ネットの議論で、護衛艦側の脆さを指摘する声がありますが
海上で、船が衝突した場合、あの程度の損害は、大きなものではあ
りません。恐らく衝突した速度が低かった為でしょうが、コンテナ
船の右舷の損傷の度合いは大きなものではありません。もし、速度
が出ていたのなら、もっと深い傷がコンテナ船側に出来ていた筈です。
また、護衛艦とコンテナ船は、ほぼ同程度の大きさですが、コンテ
ナ船の船体の鋼材の厚さの方が、護衛艦に比べ2倍程度ある点も、
損害の違いになっているものと思われます。

なお、「くらま」の損害で一番大きそうなのは、艦首バウソナーです。
艦首部の損傷状態を見ると、水線下にも損傷は及んでいると考える
べきでしょう。「くらま」のバウソナーはOQS-101という長距離探知
性能に優れたバウソナーですが、既に30年物になっています。
今更、この旧型ソナーを新造するのは無理があります。
「しらね」のCIC火災時に退役した「はるな」の設備を流用しましたが、
「はるな」はFRAM改装時にバウソナーを新型のOQS-6に変更しています。
「しらね」は、退役後、舞鶴に係留されていると思われますので、
「しらね」の時と同様、「くらま」にバウソナーを流用する事が可能で
あると思われ、また、それが修復費用の軽減と修復期間を短縮する
上で、望ましいと思われます。

いづれにせよ、「くらま」の一日も早い艦隊復帰を願わずにはいられ
ません。


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2009年10月26日月曜日

Japanese Venus Climate Orbiter named AKATUKI(Dawn). 金星大気の謎を探る「あかつき」

※CGはJAXAプロジェクトサイトから転載

金星探査機は「あかつき」=搭載メッセージを公募-宇宙機構

2010年度にH2Aロケットで打ち上げ予定の金星探査機「プラネットC」について、
宇宙航空研究開発機構は23日、「あかつき」と命名したと発表した。また、あ
かつきに搭載するプレートに書き込むメッセージの一般公募を始めた。

あかつきは日本初の金星探査機で、打ち上げから約半年かけて金星周回軌道に
到達。460度という高温で、濃い二酸化炭素と硫酸の雲に覆われた金星大気の
謎を調べる。

宇宙機構は、金星探査機の開発に携わるプロジェクトチーム内で、名称を検討。
「明けの明星」として金星が輝く時間帯を示す「あかつき(暁)」がふさわし
いと判断した。
メッセージはあかつきに搭載するアルミプレートに微細な文字で刻印される予
定で、23日から宇宙宙機構のホームページ(http://www.jaxa.jp/event/akatsuki/index_j.html
で受け付ける。

(時事通信 2009/10/23)


今回、愛称が「あかつき」に決まった金星探査機PLANET-Cは、ISAS
(宇宙開発研究所。現宇宙開発研究本部)の正当な惑星探査機の系譜
を受け継いだ最新の惑星探査機です。

ちなみに、PLANET-Aは、ハレー彗星探査機「すいせい」であり、
PLANET-Bは、苦難の運命を辿った火星探査機「のぞみ」のコードネー
ムでした。なお、小惑星イトカワの探査に成功した小惑星探査機
「はやぶさ」は、MUSES-Cという工学実験探査機としてのコードが付
いています。
ちなみに、「のぞみ」「はやぶさ」「あかつき」は、打上げ時重量が
約500kgと略同じ大きさです。

ISASの衛星ですから、「あかつき」も計画時にはM-Vでの打上げを予
定していましたが、M-Vの退役により、H-IIAでの打上げに変更され
ました。その為、打上げ重量に余裕が出た為、「あかつき」の打上げ
時には、小型ソーラー電力セイル実証機IKAROSや複数のピギーパ
ック衛星が同時に打ち上げられる事になっています。

金星は地球の双子惑星と呼ばれ、地球に一番近い惑星であり、大き
さも略同じですが、厚い雲に覆われ、容易にその素顔が明らかにな
りませんでした。1960年代以降、ソ連と米国の探査機により、二酸
化炭素による究極の温暖化が進行した世界である事が判ってきました。
ちなみに金星大気は、96%が二酸化炭素からなっています。

今回愛称が決まった「あかつき」は、主として、金星の雲の様子を解
析する事を目標に五種類のタイプのカメラで、金星の雲の高度の違
いによる動きの違いを三次元的に同時解析する事を目指しており、
金星の風の動きに同期をとった金星周回軌道に投入される事になっ
ています。

なお、現在、金星には、ESA(欧州宇宙機関)が打ち上げたVenus
Expressが周回軌道上で金星の観測を継続していますが、こちらは
主として金星大気の化学的分析を主要なミッションとしており、
これに「あかつき」の金星大気の気候的分析が加わる事で、金星大気
の一層の立体的な分析が可能になると期待されています。

なお、「あかつき」は来年夏に打上げが予定されています。


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