2009年4月17日金曜日

今度は韓国が7月に人工衛星打ち上げ


※写真は、朝鮮日報サイトから転載

威容を現した韓国初の宇宙ロケット

韓国初の宇宙ロケットKSLV1号の地上検証用機体(GTV)が15日午前、全羅南道
高興郡蓬莱面曳内里の羅老宇宙センターで、初めて発射台に取り付けられた。
航空宇宙研究院は今年6月初めまでGTVを発射台に取り付け、燃料や酸化剤を注
入する試験など発射前の過程を点検する予定だ。KSLV1号は今年7月末、ロシア
が製作した1段目ブースターを利用し、地上170キロの高さまで打ち上げた後、
韓国が自主開発した2段目の固体燃料ブースターで科学技術衛星2号を高度300-
1500キロの楕円軌道に投入する。研究院は6月初めにロシアから本物の1段目を
受領し、韓国で製作された2段目と合わせロケットを組み立てる予定だ。

(朝鮮日報 2009/04/16)


テポドン発射騒ぎも記憶に新しい処ですが、北に続いて今度は南も
人工衛星の打ち上げです。
韓国は当初は、自前で液体燃料(液酸・ケロシン)エンジンのロケッ
トの開発をしていたのですが、開発に時間がかかりすぎる事から、
ロシアの技術を大幅に取り入れたロケット開発に変更しています。
日本も宇宙開発事業団系の実用衛星打上げロケットは、米国からの
全面的な技術導入を行っていますので、導入先は別ですが、それと
良く似たロケット開発方針であると言えます。

日本の場合は、米国からの技術導入は理想的といわれる程、協力的
でスムーズであったと言われますが、韓国の場合は、ロシア側から
技術移転にはかなり制約がついている様で、製造技術だけの輸出は
拒絶されているようです。当初はかなり早い段階で、韓国で一段目
を製造する計画でしたが、少なくとも一号機に関しては、ロシアか
らの輸入となり、打ち上げ計画も半年以上ずれ込んでいます。

写真は、そのKSLV1の地上検証用の機体で、地上設備を点検する為
のものです。燃料注入のテストなども行う為、本物と同様に作られ
ています。一段目は、幅が広い部分で全体33mの内、26m近くを占め
ており、液体燃料(液酸・ケロシン?)エンジンRD-151を使用してい
ます。二段目は、韓国が国内で製造した固体燃料ロケットが使用さ
れています。(固体燃料ロケット技術については国産技術という説
とロシアから導入したという両説があります。)
ロケット全体の重量は140トンで、地球低軌道に100kgの衛星を
投入可能となっています。
4月5日に北朝鮮が発射したロケット「銀河2号」は3段で重量
70トン以上(推定)、全長32メートル(推定)と言われていま
すが、全長は略同じですが、重量は約2倍となっており、より強力
なロケットであると言えます。

記事にもある通り、本物は、6月に搬入され、7月の衛星上げに向
け準備が進められます。
この初回打ち上げですが、韓国南岸の全羅南道に新設された羅老宇
宙センターから南に向けて打ち上げられる予定で、日本の沖縄上空
を通過するコースが発表されています。流石に、北朝鮮と違って日
本に対して上空通過許可依頼が出されており、安全対策の説明も行
われていると思われます。そうでなければ、コースが外れた場合に
備え迎撃準備が必要になる処ですね。


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2009年4月16日木曜日

テポドン発射時にロシアが電子戦機を派遣したのは当然の話



写真上段は、IL-20 Coot-A Globalsecurity.orgより転載
写真下段は産経新聞サイトからの転載

露軍機がMD網偵察 北が発射時に情報収集機飛行

北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射した際、ロシアの情報収集機が日米両国の
ミサイル防衛(MD)システムの運用を偵察していたことが15日、分かった。
北朝鮮からの発射時間帯の事前通報をもとに日本海で待機。日米のレーダー網
が実戦モードで照射した電波の周波数帯や、MD運用に伴う自衛隊各部隊の役
割分担に関する情報を集めたとみられる。日本海を舞台にした激しい情報戦の
一端が浮き彫りになった形だ。

偵察飛行を行っていたのは、ロシア空軍の電子情報収集機「IL20」。防衛
省によると、IL20はこれまでにも日本周辺への飛来が確認されている。先
月にも2度、日本海を偵察飛行しており、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(ス
クランブル)している。

北朝鮮のミサイル発射は今月5日午前11時半。IL20はその約30分前に
北海道沖から日本海を南下し、北朝鮮が設定したミサイルの1段目ブースター
(推進エンジン)の落下危険区域の上空を通過した。発射時には、さらに南下
したところで待機していた。

ミサイル発射を受け、探知・追尾のため、海上自衛隊のイージス艦3隻のSPY1、
地上に配備した空自の2基のFPS-5、4基のFPS-3改のレーダーが一
斉に照射。米軍も日本海と太平洋に2隻ずつ展開していたイージス艦、青森県
に配備しているXバンドレーダーを稼働させた。

IL20はMDでの各レーダーの電波の周波数帯、照射方法や探索パターン、
レーダー同士の任務分担などを確認したとみられる。周波数帯を把握されると、
妨害電波でレーダーが無力化される恐れがある。

MD任務の際、イージス艦はレーダーの機能をミサイル探知にシフトさせ、航
空機などを警戒する防空能力が手薄になる。航空機やほかの護衛艦のレーダー
で防空能力を補完するとされ、IL20は海・空自の部隊の連携などMDでの
「戦い方」を把握。海自のEP3、空自のYS11Eといった電子偵察機の情
報収集任務にも注目していた可能性が高い。

情報収集機が飛来した場合、訓練であればレーダーの照射を控える。だが、今
回は北朝鮮の発射に対処する実任務だったため、自衛隊はレーダー網をフル稼
働させざるを得なかった。空自戦闘機はスクランブルで警戒し、IL20は領
空侵犯はしていない。IL20は2、3時間にわたり、日本近海で偵察を続け、
隠岐の島(島根県)付近まで飛行した後、ロシアに戻っていった。

北朝鮮は発射当日、米中露3カ国に発射時間帯を事前に通報したとされ、ロシ
ア空軍は周到にIL20による偵察飛行の計画を立てたとみられている。

(産経新聞 2009/4/16)


ロシアのIL-20は、日本や米国が使用しているP-3Cと同じ様に、中
型のターボプロップ旅客機から軍用に転用された機体です。機体は、
P-3Cより多少大きいですが、略同程度の機体と考えて良いでしょう。

元々の旅客機型はIL-18 Cootと言い、対潜哨戒機はIL-38 May、
電子戦機はIL-20 Coot-Aといいます。
日本でもP-3Cを改造したEP-3Cという機体がありますが、同様の性
格の機体であると言えます。ターボプロップ機である為、速度は遅
めですが、長い滞空時間が得られる事が対潜哨戒機とニーズが一致
したものと言えます。

EP-3CがP-3Cに各種のレーダードームを追加した機体であるのと同
様、IL-20も胴体下部に一見、大型ミサイルにも見える長大なアレ
ーアンテナを装備しているのが特徴です。

今回の北朝鮮のミサイル実験は、日本や米国にとって、実戦同様の
素晴らしい訓練の機会を提供してくれましたが、記事にもある通り
ロシアにとっても、BMDを構成するSPY-1レーダー、Xバンドレ
ーダー、ガメラレーダー等が実戦モードで電波を発射した得がたい
機会であったのは間違いありません。勿論、今回だけの電子情報収
集で、対抗手段が講じられる訳ではありませし、レーダーの側も対
抗措置を取れるようになっていますが、今後、更に情報収集を行う
事で、北朝鮮や中国に対して、より完成度の高い電波妨害装置など
の売り込みを行う事は十分に考えられます。

現代戦では、実戦に至る前の段階で、平時から、今回の様な情報収
集戦が展開されており、今回、ロシアが電子情報収集(ESM)を行っ
た事で、今度は日米側が電子戦(ECM)能力をより高度なものに改善
する事が促がされ、それが更に、ロシアと北朝鮮による対電子戦
(ECCM)能力改善に繋がっていくという関係にあります。

その点、流石にロシアは抜かりなく手を打っていたと言えますが、
その一方で、もう一方の当事者である中国や北朝鮮がどの様な、
手を打っていたのか非常に興味深い処です。


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2009年4月15日水曜日

敵対国ロシアに利益を与える必要はない!


※写真はサハリン2。産経新聞サイトから転載。

サハリン1のLNG輸出、日本に支援要請 ロシア

ロシア政府が極東で建設を計画するパイプラインと液化天然ガス(LNG)輸
出基地について、日本に資金、技術両面で支援を求めていることが明らかにな
った。建設総額は5000億円規模と見込まれ、5月に訪日を予定するプーチン首
相が本格協議入りを打診する見込み。対ロ協力は資源調達先の多様化を目指す
日本のエネルギー政策と合致するが、北方領土問題を棚上げして経済協力が先
行することへの懸念も出そうだ。

日本外交筋によると、ロシアが支援を求めているのはサハリンとウラジオスト
クを結ぶパイプラインとウラジオ近郊でのLNG輸出基地の建設。日本のLNG
技術を導入し、米エクソンモービルや伊藤忠商事が出資する天然ガス・石油事
業の「サハリン1」が生産するガスをロシアが全量買い取って、大半を日本な
どに輸出する。ロシアはパイプラインとLNG基地の経営権も握る方向だ。

(NIKKEI NET 09/04/15)


このプロジェクトは、本来は、サハリンの天然ガスを中国や極東ロ
シアに移送できる様にする為のパイプラインを建設するものであり、
ウラジオストックにLNG基地を作る事で、更に、供給地の多角化
を可能とする事で中国に価格決定権を与えない様にしようと言うも
のです。サハリン2も接続できるので、現状、主に海路で搬出して
いるサハリン2の天然ガスもこのパイプラインで中国に輸出する事
も可能になります。

つまり、このプロジェクトはロシアの価格決定権や供給決定権を強
化するのみで日本にとって有利な事は全くないという事になります。

ロシアは、つい昨年までは、日本に求めるものは何もないと豪語し、
北方領土問題についても、突き放した態度を継続していた他、つい
先日の北朝鮮ミサイル問題でも、日本が要求していた国連決議の採
択に反対していた事は記憶に新しい所です。

その様な中で、今回の様な日本にとって利益がないプロジェクトに
巨額の経済援助を与える事は、ロシアが、日本を侮る事にお墨付き
を与える事になってしまいます。

つまり、ロシアは幾ら外交的に日本の利益をないがしろにしても、
日本からは何の報復もないし、ロシアが日本に対して外交的に譲歩
しなくても経済援助は得られることになってしまうのです。

このプロジェクトを推進しているのは経済産業省の官僚であると思
われますが、外交的に、最もやってはいけないとされる二元外交の
愚を犯している事になります。
対ロ対ソ関係では、日本は、過去、何度もこの二元外交によって外
交的な立場を切り崩されてきました。そして、その度に、煮え湯を
飲まされてきたのです。

もはや、外交的な愚策を繰り返すのは、終わりにして、日本の国益
を一元的に実現する体制を構築すべきであり、その為にも、今回の
プロジェクトは明確に拒絶すべきであると考えます。


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2009年4月14日火曜日

北朝鮮が六ヶ国協議に求めている条件とは何か?


「6カ国協議必要なくなった」=国連安保理声明に反発-北朝鮮

北朝鮮外務省は14日、国連安全保障理事会が北朝鮮の弾道ミサイル発射に関す
る議長声明の採択を非難するとともに、「6カ国協議はもう必要なくなった。
われわれの自衛的核抑止力を強化していく」と表明した。朝鮮通信(東京)が
朝鮮中央通信の報道として伝えた。
外務省声明は「実験用原子炉から抽出される使用済み燃料棒を再処理する」と
し、核活動を再開する方針を示した。 

(時事通信 2009/4/14)


例によって北朝鮮は、国連安全保障理事会が北朝鮮の弾道ミサイル
発射に関する議長声明を採択した事を受けて、六ヶ国協議を拒否す
る意向を表明してきました。いつもながらのストリップで、ミサイ
ル発射で注目を集めてから六ヶ国協議参加国に奉加帳を回してくる
のではないかと想像しています。そこで、北朝鮮は、何を目的に交
渉を行うのかについて考えてみました。

北朝鮮にとってのミニマムな勝利条件は以下の様なものなのではな
いかと思います。

1.北朝鮮が現在の支配体制(金体制での朝鮮労働党支配)を無期
  限に継続する事について各国の同意を得る。

2.主要国との正規の国交を開き、最大限の経済援助を各国(特に
  日本)から継続的に獲得する。

3.核施設を放棄する場合は、サラミ法を適用し可能な限り多くの
  代償を獲得する。しかし、実際には核弾頭は放棄せず査察も受
  け入れない。

4.ミサイル開発を放棄する場合は、可能な限り多くの代償を獲得
  する。しかし、実際には放棄せず、需要がある国への武器輸出
  を継続する。

5.偽札、偽タバコ、覚せい剤等の非合法輸出は、合法輸出の拡大
  により、不要となるまで継続する。


この内、3,4,5については、交渉の中で、北朝鮮は代償を取った上
で放棄を約束するでしょうが、過去、約束を守った事のない北朝鮮
がこの件についてだけ約束を守ると考えるのはナイーブ以外の何者
でもありません。協議参加国も、当然そういう前提で、形だけを整
え、そのコストを如何に少なく済ますかについて、長々と交渉する
事になるだろうと思います。勿論、資金を供給するのは、米国と日
本と韓国だけでしょう。

では、日本にとっての重要課題である拉致問題はどうなるのでしょ
うか。最終的には、日本側が一人当たり幾らか金を出して買い取る
事になるのかも知れません。

ただ、日本は六ヶ国協議の結論を拒否できます。私も可能な限り、
会議に参加し続けるべきとは思いますが、最後の最後に会議から離
脱する選択もあって良いのではないかと思われます。

上記の北朝鮮の勝利条件は日本にとって、何の意味もありません。
安全保障面では、北朝鮮の核は放棄されませんし、ミサイル開発も
停止される事は無いはずです。こんな無意味な合意に基づいて、日
本が巨額の資金を出す必要はないと思います。

米国は、事実上、核にしか興味がありませんが、北朝鮮が核を放棄
しない事も判っていますし、日本からの巨額の経済援助が実施され
れば、その多くが北朝鮮の武装強化に回るのは明らかですから、日
本の拒否を理由に会議から離脱する事すらあるかも知れません。

確かに時間が経てば経つほど、北朝鮮の核の武器庫は充実するかも
しれませんが、それ以上に北朝鮮の困窮は進むのです。
この際、会議を躍らせるだけ躍らせて、北朝鮮の困窮を進めるのが、
一番良い方法なのかもしれません。



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