2008年12月5日金曜日

悪法成立!再改正の為の国民運動を!

改正国籍法が成立=違憲判決受け結婚要件削除

日本人の父と外国人の母の間に生まれた子の日本国籍取得の要件から父母の結
婚を削除した改正国籍法が、5日午前の参院本会議で、与党と民主党などの賛
成多数で可決、成立した。公布から20日以内に施行される。
採決では、国民新、新党日本両党などが反対。自民党の有村治子、衛藤晟一両
議員と山東昭子副議長(自民会派を離脱中)が棄権した。新党日本の田中康夫
代表は「DNA鑑定制度の導入と父親の扶養義務が明記されていない」と反対理
由を説明した。
最高裁の違憲判決を受けたもので、日本人の父の認知だけで国籍を取得できる
ようになる。改正法は、日本人男性に金銭を払うなどして虚偽の認知をしても
らい国籍を取得する「偽装認知」を防ぐため、偽装認知による届け出を行った
場合は1年以下の懲役または20万円以下の罰金を科す規定を新設した。 

(時事通信 2008/12/05)

はっきり言って、民主党の巣窟である参議院での否決は期待できな
かったので、今日の本会議可決に驚きはありません。まったく、日
本の政治家の頭のレベルと日本国をどう導こうとしているかその姿
勢が良く判る結果になったといえる様に思います。

感情的には如何ともし難いものを覚えますが、感情に任せばかりで
は芸がありません。その様な人間達を自分達の代表に選んだのは、
我々自身なのであり、いたずらに政治家”だけ”を批判するのは、
天に唾する行為になってしまいます。

改正国籍法は、20日後には有効になります。参議院での付帯決議
では、父親からの聞き取り調査、父子が写った写真の提出などの防
止措置や、施行後の状況の「半年ごとの法務委員会への報告」が要
請されており、この付帯決議が確実に実行されている事を、今後共
確認していく必要があります。

異常な数の国籍付与申請が提出された場合や、異常な数の認知が同
一人から提出されていないかチェックできる体制になっているかを
政治家を通してチェックする必要もあります。
法務省に対して行政手続きの開示を求める事もできます。そう言っ
た事実を積み上げていく事が、再改正の礎になります。

今回の国籍法の問題は、支持政党に関わらない超党派的な問題であ
ると考えます。問題意識を持った各々が、自分が支持する政治家を
通して、国籍法の厳格な運営と、DNA鑑定を導入する再改正に向け
て、長い戦いを行っていく必要があります。

その為にも、一歩後退に臆する事なく、再改正に向けた周囲に対す
る働きかけや、政治家に対する陳情を行っていきたいと思います。
我々一人、一人は、小さな小さな力しかもちませんが、その力を糾
合すれば、大きな力になっていきます。
心ある皆さん、頑張りましょう。

韓国の最新鋭潜水艦「鄭地」が就役



※写真は、中央日報サイトから転載

海軍最新鋭の214級潜水艦「鄭地」が就役

潜水艦「鄭地」(海軍作戦司令部提供)=2日、釜山(聯合)
【釜山2日聯合】海軍作戦司令部は2日、釜山基地で214級潜水艦「鄭地」(1800
トン級)の就役式を行った。
高麗時代に倭寇を撃退した鄭地将軍の名を取ったこの潜水艦は、純粋な国内技
術で建造された214級潜水艦としては「孫元一」に次いで2隻目となる。
全長65.3メートル、幅6.3メートル、最大速度は20ノットで、40人の搭乗が
可能だ。ハープーンミサイルや魚雷・機雷などの先端武器を搭載し、対艦・対
潜戦、攻撃機雷の敷設、敵基地封鎖・遮断能力を備える。現存するディーゼル
潜水艦のうち最も優れていると評価され、韓国海軍の水中戦力で中核となる。
長期間水中作戦が可能な非大気依存推進(AIP)装置も搭載している。

(YONHAP NEWS 2008/12/2)

2007年6月に進水し、以降、艤装と公試を行ってきた、韓国の最新
鋭潜水艦「鄭地(ジョン・ジ)」が就役しました。

「鄭地」は、韓国がKSS-II計画の元に整備を進めている「孫元一
(ソン・ウォンイル)」級の二番艦で、現時点で9隻が計画され、
内6隻が予算化されています。三番艦「安重根」も建造中で、全て
が、完成すれば、韓国の潜水艦保有数は、「張保皐(チャン・ボコ)」
級9隻と合わせ18隻となり、日本と並ぶ、世界でも有数の新鋭艦
を揃えた有力な潜水艦隊が出現する事となります。

「鄭地」を含む、「孫元一」級は、ドイツHDW社の最新の212A
型潜水艦の輸出用である214型潜水艦であり、現代重工業がノッ
クダウン生産を行っています。

最初に建造された、214級は、ギリシア海軍向けの「パパニコリス」
でしたが、ギリシア海軍による公試中に、以下の様なトラブルに見
舞われた事から、ギリシア海軍は引き取りを拒否しました。
・予想以上のスクリューのキャビテーション
・AIP推進機関用燃料電池セルの異常加熱
・悪天候時に海上航走した時のローリング過大
 (50度に達したという報道もあります。)

ただ、2008年5月現在これらのトラブルも修理され、修理後の公試
で、トラブルの解消が確認できた所から、近日中にギリシア海軍が
引き取りを行う見込みです。

韓国でも「孫元一」の公試時にスクリューキャビテーションの大き
さが問題視され、推進軸を交換するという報道もありましたが、現
時点では、大きな問題になっていませんので、トラブルは解決され
たと見られます。

214型潜水艦は、212型の様な非磁性鋼やX字舵を使っていま
せんが、その分、安価であり、統合型ソナーやAIP、自動化戦闘
システム装備は、最新のものが使用されています。212型と比べ
れば安価ですが、それでも一隻、300億円を超える水準であり、
運用する上での保守技術も高度になっている関係で、今の所、採用
を決めたのは、ギリシア、韓国、トルコと言った、先進国あるいは、
その一歩手前の、ある程度の技術力を保有する諸国に留まります。

ただ、その分、戦力化できた時には、相当の実力が発揮可能であり、
自衛隊の最新鋭潜水艦と比べても、船体が小さい事による行動期間
の潜在的な短さはあっても、それ以外は勝るとも劣らない有力艦と
見込まれています。

韓国海軍は近年、イージス艦の整備を始め、急速にその戦力を向上
しつつありますが、海上自衛隊と比較すると、主力水上艦艇の少な
さは否めない所があります。しかしながら、現在の海軍では、水上
艦艇よりも潜水艦の方が真の戦力であると言える面もあり、その点
では質量共に、海上自衛隊には、有力なライバルが出現したと言え
そうです。

2008年12月4日木曜日

問題大使が、またプチ家出!? いつ帰って貰っても困らないのだが...




※写真は、権大使。朝鮮日報サイトから転載

“問題発言”駐日大使が帰国希望? 韓国メディア憶測

韓国の権哲賢駐日大使が先月下旬、「個人的な事情」のため一時帰国していた
ことが明らかになり、韓国メディアなどで、与党ハンナラ党の国会議員出身の
権大使が国内政界への復帰を希望しているとの観測が出ている。

1日付の有力紙、朝鮮日報は「特別の理由なく帰国するのは異例」とし、大統
領府関係者と会ったと指摘。今年7月の新学習指導要領解説書への竹島(韓国
名・独島)記述問題で外交官生活に懐疑心を抱き、最近は周辺に「ソウルで仕
事をする機会が与えられるなら、やぶさかではない」と漏らしていると伝えた。

権大使は7月、竹島問題での日本政府の対応に抗議して一時帰国した際「信頼
関係が崩れた」「日本には帰りたくない」などと発言。ハンナラ党内の会議で、
日本には「島国が持つ特異な傾向がある」と述べ、物議を醸した。(共同)

(産経新聞 2008/12/01)

【社説】駐日大使は軽い気持ちで務められる地位ではない

権哲賢(クォン・チョルヒョン)駐日韓国大使が最近周囲に対し、「ソウルで
仕事する機会が与えられれば断る理由はない」「ここは自分がいるべき場所で
はない」などと口にしている事実が報じられた。権大使は先週、「個人的な事
情」のために一時帰国し、大統領府や外交通商部の関係者に会ったという。与
党の内外からは、国会議員に3回当選したことのある権大使は次の閣僚人事で
長官の地位を臨んでいるとか、あるいは2010年5月に行われる釜山市長選挙に
出馬する問題について調整しているとの話も聞かれる。

権大使は今年4月の総選挙でハンナラ党の公認を受けることができず、結果的
に出馬できなかった人物だ。その権大使が長官の地位や政治活動の再開を臨ん
でいるとかいう話は、あくまで本人の問題のため、周りがどうこう言えること
ではない。問題はそのような考えを外部に漏らすような人物が、大使としての
職務に集中できるのかという点だ。

米国発の経済危機が世界に影響を及ぼしている今の時期、韓日関係は以前にも
増して重要な問題となっている。日本の外貨準備高は10月現在で9959億ドル
(約93兆円)を記録し、中国に続いて世界第2位だ。今年7月に日本の歴史教
科書歪曲(わいきょく)問題が起こった時に韓国政府が問題を早期に収拾させ
たことや、日本との通貨スワップ協定を締結するために力を注いでいるのも、
すべてが日本の経済力に注目しているからだ。つまり今は日本の政界や財界の
人物に会うのに1分1秒も無駄にしている時ではないのだ。そのような役割を先
頭に立って果たすべき駐日大使が、「自分はここにいるべき人間ではない」な
どと言って回るとすれば、日本側はどのように考えるだろうか。

権大使は今年7月に一時帰国した際にも、公開の席で「(教科書問題の原因の
一つは)日本の島国根性だ」などと、およそ外交官とは思えないような発言を
行い、問題となった。このようなことが重なったことで、権大使に対する日本
側の態度も目に見えて冷たくなっているという。権大使が駐日大使としての仕
事に集中できない状況にあるのなら、代わりの人物を送るのを遅らせるべきで
はない。

(朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2008/12/02)


少し、物事が自分の思う通りにならないと感情的になる経営者って
いますよね。大体何不自由なく育って社長になった二代目経営者に
多いのですが、この権大使もそういうタイプの方である様です。
だれもが知っているこのタイプの人物の特徴は辛抱が出来ない事です。

元々、李明博大統領の側近の一人で、政治家なのですが、前回の総
選挙でハンナラ党の公認を得る事ができず、とは言え、李大統領実
現に力を尽くしていた事から、論功行賞として、日本大使に政治任
命された人物です。米国の駐日大使でも、マンスフィールド駐日大
使の様に、長年上院議員を務めた人物が議員から大使に転出し成功
した例もありますから、あながち政治任命が悪いとは思いませんが、
権大使の場合は、大いにハズレであった様です。

別の朝鮮日報の記事では、今年7月の中学校社会科の学習指導要領
解説書に竹島領有権が盛り込まれた際、権大使は精一杯の努力をし
たがそれが報われなかったので、日本と外交官生活が嫌になったと
かかれていました。しかし、そもそも領土問題は両国の主張が対立
しているのであり、それを簡単に取り下げさせる事ができると考え
る事自体が常識では考え難い話です。元々無理筋の話と認識してい
れば、努力が報われなくとも諦めもつく話ですが、権大使が本当に
失望したとすれば筑波大への留学経験もある知日派という割には、
日本の事を全く知らず、また赴任国の政府の立場も理解できないと
いう外交官不適格者としかいえなくなります。

そういえば、あの時に、日本に対する当て付けで帰国(召還にあら
ず)した際に反日問題発言を連発し、日本サイドからの顰蹙をかっ
ていましたが、韓国サイドでも必ずしも良い発言とは思われていな
かった様です。この点は、多少不思議にも思いますが流石に駐日大
使が侮日発言ばかりしているのは大使としては問題ありと李明博も
考えたのでしょうか。

今回の帰国に関しても、朝鮮日報が社説に取り上げてしまったので
すから、かわいそうですが、権大使の政治家としての生命は事実上
終わったのではないかと思います。また、日本の外務省も権大使の
本国での立場が弱くなっている事を知ったのですから、権大使に儀
礼以上の対応を取る事もなさそうです。権大使が具体的な成果をあ
げる機会はますます少なくなったと考えるべきでしょう。

でも、この人は、反省という言葉には縁がなさそうですから、多分
日本を逆恨みしてるんでしょうね。今後、盧武鉉の様な反日ストー
カーにならないか心配です。

2008年12月3日水曜日

アレスI ロケットが開発中止になった時




※写真はアレスIロケットのCG。Wikipediaより転載

オバマ政権移行チーム、「アレスI」ロケットの開発中止を検討

オバマ米次期大統領の政権移行チームがNASAが開発を進めているスペースシャ
トルに代わる有人ロケット開発のためのコンステレーション計画(Constellation 
Program)の計画縮小を策定していることが米宇宙開発専門誌「スペース・ドッ
ト・コム」の報道により28日までに明らかとなった。

政権移行チームでは既にNASA幹部に対してコンステレーション計画実現に必要
な具体的な予算規模などのインタビューを実施。その上で、最小の予算で計画
実現が計れる方策として有人宇宙船打ち上げ専用ロケットの「Ares I(アレスI)」
に関しては開発中止とする方向で検討入りした模様だ。

政権移行チームでは「アレスI」の代りに有人専用ロケットとしては重量級貨
物専用ロケットとして開発が進められている「Ares V(アレスV)」の規模を
縮小したものを、もしくは衛星打ち上げ用ロケットして既に実績がある
「Delta IV(デルタIV)」ロケットを利用するとしている。

政権移行チームではまた、有人ロケットの選択肢として開発中の有人宇宙船
「Orion(オリオン)」をスケールダウンすることにより、ESAの「Arian V
(アリアンV)」ロケットや日本の「H2A」ロケットによる打ち上げを行うこと
なども検討している模様だ。

(Technobahn 2008/11/30)

アレスIは、米国のコンステレーション計画の一環として現在、鋭
意開発が進められているシャトル後継有人宇宙船打ち上げロケット
です。今回の報道は、オバマ政権移行チームが、このアレスIロケ
ットの開発を取り止める方向で検討に入ったというものです。

しかしながら、実は、アレスIは、有人宇宙船打ち上げロケットと
しては、米国唯一のものであり、この記事が代替案として、書いて
いるアレスVロケットの縮小型や、Delta IVロケットでは、今でも
就役の遅れが取り沙汰されるコンステレーション計画を更に遅らせ
る事になりかねません。その一方で、喜ぶのは、Deltaロケットの
製造メーカーであるボーイング社だけです。その意味で、この記事
はボーイング関係者が流したガセネタである可能性が強いとも考え
られます。

コンステレーション計画では、アレスIとアレスVという二種類のロ
ケットを開発していますが、アレスIが有人宇宙船打ち上げ専用で
あるのに対し、アレスVは、無人を前提にしています。

有人用と無人用では、ロケットの信頼性についての要求で桁が一つ
違ってしまいます。つまり有人宇宙船打ち上げ用のロケットを開発
する事は、無人用のロケットを開発するのに比べ、開発費用が上昇
する事になり、ロケット自体も高度の冗長構成を取った安全設計を
行う為、コスト高になりがちです。

アポロ計画では、サターンV型ロケットで有人宇宙船を打ち上げま
したが、アレスでは、有人部分と、無人部分を分け、前者をアレスI
で、後者をアレスVで打ち上げ、軌道上で、両者をドッキングさせ
る事で全体コストの引き下げを図ったと言えます。開発費用の削減
の為の施策は、それ以外にも、新規開発を極力絞った設計である事
にも伺えます。

アレスIで言えば、第一段固体燃料ロケットは、スペースシャトル
のSRBを改良したものを使用しています。また、第二段も、サター
ンVの第二段と第三段に使用されていたJ-2エンジンを改良した、
J-2Xエンジンを使用します。両者ともに有人宇宙船打ち上げ用に使
われた実績のあるコンポーネントですが、こういった実績のあるコ
ンポーネントを使用しても開発が、2015年までかかるのです。

これに対し、代替策であるDeltaIVロケットの有利な点は、ペイロ
ードニーズを満足する無人用ロケットの完成品があるという一点だ
けです。これを有人用に転換するには、基本設計にまで戻った改設
計が必要です。(日本のH-IIA,Bを有人宇宙船打ち上げ用とする場合
も同じプロセスが必要です。)
勿論、Deltaロケットも実績のあるロケットですから、極端な性能
要求を行わなければ、スクラッチから開発するのと比べ、短い期間
で実現できる点は間違いありません。しかしながら、それがアレスI
と比べ、早いかどうかと言えば、疑問とせざるを得ないのです。

もう一つの代替案であるアレスV縮小型ですが、アレスVは、元々無
人機打ち上げ用ロケットです。しかも、第二段はアレスIと同じJ-2X
ロケットを使用します。違いは、第一段ですが、これはDeltaロケ
ットと同じRS-68エンジンを使用するのですから、これを有人宇宙
船打ち上げ用に変更するには、アレスI以上の時間がかかるのは確
実と言えます。

ついでに言えば、記事の一番下の段にある、オリオンカプセルを縮
小して、アリアンVやH-IIAで打ち上げる案については、アリアンV
は元々有人宇宙船ヘルメスを打ち上げる想定で設計されていたので、
可能性はあるでしょうが、H-IIAについては、無人前提で設計され
ているので、Deltaと殆ど変わらない時間とコストが必要になるの
で代替案にはなりません。

もし、オバマ政権移行チームが本気で、こんな事を考えているので
あれば、米国は近い将来、宇宙へのアクセス手段を失う事になり、
それだけでオバマ氏は偉大な大統領と言えなくなる様に思います。

2008年12月2日火曜日

軽量ジェット機メーカー エクリプス社が倒産


※写真は、エクリプス500。Wikipediaサイトから転載

小型ジェット機開発のエクリプス社が破産

小型ジェット機エクリプス500型機の開発、製造ならびに販売を手掛けるエ
クリプス社(Eclipse Aviation Corporation、本社:ニューメキシコ州アルバ
カーキ)が11月25日付けで米国において連邦破産法第11章の適用申請を行なっ
た。負債総額は投資家に対して約5億7,700万ドル、ベンダーやサプライヤーに
対して約1億3,500万ドルの計7億1,200万ドル(約676億4,000万円)が見込まれる。

エクリプス社は、元マイクロソフト社重役のレイバーン(Vern Raburn)氏が
設立した新進の航空機会社。小型ジェット機「エクリプス500」の開発を行なっ
ていた。新技術の適用と大量生産により低価格を実現し注目されていた。

この破産により、11月27日、主翼を納入していた富士重工業が売掛債権 2,480
万ドル(23億5,500万円)、出資金 500万ドル(4億7,500万円)、棚卸資産 65
億8,400万円の債権の取立不能または取立遅延および資産の毀損のおそれを発
表した。

(九州企業特報 2008/11/27)

軽量ジェット機(Very Light Jet)のパイオニアであるエクリプス社
が11/25に米国破産法第11章の適用を申請し事実上倒産しました。
同社は、従来のビジネスジェットの常識を破る、小型軽量安価なジ
ェット機であるエクリプス500型機で主として個人向け及びエア
タクシー市場を創設し、実に2300機以上の受注を集めていました。
型式証明は2007年6月になりましたが、2007年中に104機を生産し、
ジェネラルアビエーション(GA)カテゴリーの機体としては、最速の
スピードで100機の製造を達成しました。

ただ、丁度この時期に、サブプライム問題が浮上し、米国経済全体
に一気に不透明感が広がりました。個人用にせよ、エアタクシーに
せよエクリプスが売れる為には、個人が利便の為に、今までより多
くを支出しなくてはなりませんが、それをバックアップする資金の
多くを、実は不動産価格の上昇に負っていたのです。今や、不動産
価格は下落に転じましたが、これがエクリプスを直撃する事になり
ます。会社側は、明らかにしませんが、2300機以上獲得していた受
注の多くがキャンセルされたのは間違いありません。エクリプス社
は生産継続
の為の資金に事欠く事になります。それでも、2008年に130機を製
造しましたが、年央には、生産継続の為の資金が不足し、生産中止
の已む無きに至りました。また、より安価な単発軽量ジェットであ
るエクリプス400型機も開発されましたが、この機体は形式証明
を得る事ができませんでした。

話は前後しますが、この様な経済情勢の変化を受けた資金難もあり、
創業者でありCEOであったVarn Raburn氏は、2008/7に会社を離れ、
最大の出資者であったETRIC(European Technology and Investment 
Research Center )の会長Roel Pieper氏がCEOに就任しました。

ETRICは、投資会社ですから、Roel Pieper氏に期待されたのは、エ
クリプス500の生産を継続する為の資金を引き出す事でしたが、
エクリプス社を更なる不幸が襲います。9/19にエクリプス500の
最大(1430機)の発注者であるエアタクシー業者であるDayjet社が航
空業務の停止を発表したのです。

当然の事ながら、これだけの大量の発注が消えると価格面への影響
が出てきます。当初は1.35百万ドルであった機体価格は2.5百万ドル
に上昇し、これによって更に、キャンセルが出た事は間違いありま
せん。その結果、エクリプス社は、レイオフと事業縮小の負のスパ
イラルに入り、今回の倒産に至ったという訳です。

記事にもありますが、エクリプス500型機の主翼は、富士重工が
製造しており、出資金も合わせると富士重工はエクリプス関連で実
に93億円の負債を負うことになります。最大の出資者であるETRIC
は103億円を出資していましたので、負債額は僅かしか替わりま
せんが、ETRICが、CEOの地位を占め、自分の持分を有利に転売しよ
うとしているのに対し、富士重工は、あまりに無策である様に見え
ます。日本企業が、サイレントパートナーとして軽視または無視さ
れるのは、日本企業の悪しき伝統になっていますが、富士重工が今
回の経験を今後に生かす事が求められていると言える様に思います。

今回の経済危機は航空機製造分野全体に大きな影響を与えています
が、特にVLJカテゴリーは、大きな後退を余儀なくされる事になり
ます。新規の機体開発は殆ど停止される事になります。その中には
HondaJetも含まれる事になると思われます。Hondaは製造ライン、
販売経路の構築に資金を投入している最中でしたが、今後、計画を
続行するか否かの岐路に立つ事になります。恐らくは、計画を断念
する事になると思われます。HondaJetはユニークな機体であり、航
空ファンとしては、その成功を祈っていましたが、今回は残念なが
ら時に利がありません。HondaJetの技術を温存し、是非北米市場で
リベンジを図って貰いたいと思います。

2008年12月1日月曜日

H-IIBロケット試験機完成!





※上の写真はH-IIBロケット試験機とH-IIA15号機。毎日新聞サイトより転載
下はH-IIBロケット説明図。JAXAサイトより転載

三菱重工 H2Bロケット初公開 来年度に試験機 名古屋

三菱重工業は26日、09年1月に種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)
から打ち上げる予定のH2Aロケット15号機と、次期国産大型ロケットの
「H2B」を、名古屋航空宇宙システム製作所飛島工場(愛知県飛島村)で報
道陣に公開した。H2Bを公開したのは初めて。

H2Bロケットは、三菱重工業と宇宙航空研究開発機構が開発を進めている。
H2Aより直径が1.2メートル大きく、エンジンを2基搭載しているため、
約2倍の重量を打ち上げる能力があるという。直径5.2メートル、全長56
メートル。09年度中に試験機を打ち上げた後、国際宇宙ステーションへの輸
送手段として補給機などを乗せて打ち上げることが計画されている。

一方、H2A15号機は、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)
や、雷観測衛星など小型衛星7基を搭載して、09年1月21日午後0時54
分に打ち上げられる予定。今月29日に同工場から船で種子島に輸送され、打
ち上げに備えて種子島宇宙センターで組み立てられる。いぶきは、地球温暖化
の原因とされる二酸化炭素やメタンなどの濃度分布や、地域ごとの吸収・排出
量を観測し、温暖化防止に向けた取り組みに貢献することを目指す。
【米川直己】

(毎日新聞 2008/11/27)

記事にもある通り、H-IIBは、国際宇宙ステーション(ISS)への補給
機であるHTVを打ち上げる為に計画されたロケットです。
一番の違いは、一段目で、H-IIAがLE-7Aエンジンを一基使用するの
に対し、H-IIBは二基使用します。同じエンジンを並列に束ねる事
をクラスター化と言い、米国やロシアでは、長い伝統がありますし、
日本でも、補助固体ロケットを複数同時に点火していますので、必
ずしもクラスター化の経験が無い訳ではありませんが、液体燃料エ
ンジンをクラスター化するのは始めてです。

メインエンジンを並列に装備する上での、エンジン同士の干渉を防
ぐ事と、消費する燃料の増加から、一段目の直径は、5.2mとH-IIA
に比べて、1.2m大きくなりました。直径が大きくなった事で、
H-IIAに比べ、1.7倍の燃料を確保しています。
二段目は、H-IIAで装備しているLE-5Aエンジンと略同じ、LE-5Bエ
ンジンを装備しています。

これにより、H-IIBは、静止軌道(GTO)に8tの、また、地球低軌道
(LEO)には16.5tの衛星を打ち上げる事ができます。
H-IIAは、最もペイロードの大きい構成にしても、地球低軌道(LEO)
へ12tしか打ち上げる事ができませんでしたので、HTVをISSに届け
る為には、H-IIBの開発が必須となっていました。

HTVはISSへの補給を行いますが、与圧部と非与圧部からできていま
す。与圧部は、空気が充填してありますので、生き物が、乗ってい
ても問題ありません。その生き物は人間であっても良いのです。
ただ、HTVは、ISSへの補給が終わった後は、ISSからの廃棄物を載
せ大気中で燃やす事になっていますので、別の方法で地球に帰還す
る以外帰り道はありません。

勿論、H-IIBは有人宇宙船を打ち上げるだけの安全率は取ってあり
ませんので、HTVに人間を乗せて打ち上げる訳にはいきませんが、
それでも、H-IIBの信頼性向上と非常脱出ロケット、再突入カプセ
ルを開発する事で、有人宇宙船が、そこそこの開発コストで実現す
る事も事実です。

いつになるかは判りませんが、昨今の米国の状況を見ていると、以
外に早い段階で、H-IIBを使った有人宇宙船が国際宇宙ステーショ
ンへの足として実現する可能性がある様に思います。予算枠に厳し
い制約がある日本では、必ずしもそれが、日本の宇宙開発にとって、
プラスとばかり言えないのですが、私の目の黒い内に、日の丸有人
宇宙船の発射を是非、見てみたいと思います。

H-IIBロケット

HTV

新たな展開を迎える日本の宇宙輸送