2009年12月29日火曜日

首都圏空港アクセス問題の解決は正攻法で


※CGは、成田新高速鉄道の新スカイライナー

<羽田空港>新幹線乗り入れ 前原国交相がJR東海に打診

前原誠司国土交通相は27日、フジテレビの報道番組で「新幹線の基地が羽田
空港の近くにあるので、(新幹線の空港乗り入れについて)JR東海と話をし
ている」ことを明らかにした。東京-品川間から、羽田空港付近の大井車両基
地(東京都品川区八潮)に分岐する線路を「羽田新幹線」として活用。搭乗客
の利便性を向上させるのが狙いだ。

前原氏は、番組終了後、記者団に「国交相就任後にJR東海に話したが、品川、
東京駅のキャパシティーの問題を含め、現状では難しいという断りの返事だっ
た」と説明。同時に「羽田空港の本当に近くまで新幹線の路線が行っており、
もったいない、何とか使えないかという思いはずっと持っていた。まだあきら
めたわけではない」と述べ、JR東海と協議を続ける意向を示した。一方、
JR東海は「駅だけでなく、線路のキャパシティーもない」(広報)と消極的
で、「羽田新幹線」実現へのハードルは高そうだ。【大場伸也】

(毎日新聞 2009/12/27)

またまた、アイデアに飛びつくと言う前原国土交通相の悪い癖が出
てきました。今度は、羽田空港のアクセス改善に大井操車場まで来
ている新幹線の線路を延長できないかと言うものです。

確かに、近くまで、線路が来ているのであれば、それを使わない手
はないと言えます。しかしながら、何故、今まで、その単純なアイ
デアが実現できていないのかも考える必要があります。JR東海の
回答がある意味全てです。新幹線品川新駅をわざわざ作った理由は、
品川~東京間の線路を、東京~大井操車場を利用する列車と、品川
以西へ運転する列車が共用している事によるキャパシティ・ネック
を解消する為でした。品川新駅を設置する事によって、東京・品川
~大阪間の新幹線のキャパシティは、1時間当り11本から15本
に増加したのです。それが羽田新幹線ができた場合、東京~品川間
で、羽田新幹線用の列車が線路を共用する事で、再度、キャパシテ
ィが不足する事になってしまいます。

羽田空港へのアクセスについては、色々な問題があるのは事実です。
しかし、首都圏の空港問題を考える上で、羽田空港のアクセス問題
は、単体としては、それ程、緊急な問題ではありません。羽田空港
の新幹線によるアクセスを真剣に考えるべきであるのは、成田空港
~羽田空港間のアクセスを考える視点に立った場合です。

つまり、国内線主体の羽田空港と国際線主体と成田空港、更には、
東京、横浜、新宿といった都心部を高速鉄道で結ぶ事によって、首
都圏の空港問題を抜本的に改善すると言うものです。

この解決方法は、成田新幹線構想が、沿線自治体と市民運動によっ
て潰されて以降、首都圏空港問題が持ち上がると必ず、浮上しまし
た。一番最近のものは、羽田と成田の間をリニアモーターカーで15
分で結ぶ構想が、神奈川県から発表されています。しかし、建設費
等の問題で、より安価な、小手先の対応でお茶を濁されてきました。
成田新高速鉄道も、その代替策の一つですが、やはり当初の構想と
は大きく異なり、空港間アクセス問題を解消するものではありませ
んでした。

国交省の航空政策の検討を見ても、「羽田、成田両空港を一体的に
運用する」というお題目はいつも掲げられてはいますが、ハードウ
ェアとしてそれを実現するアクセス手段は、先送りされていると言
って過言ではありません。

これからの日本には、最早、空港問題について反対運動と遊んでい
る様な余裕はなくなってきています。成田空港問題は、すでに、わ
ずか二戸の反対農家の移転問題になっています。たった二戸の農家
の反対で、成田空港をいつまでも不十分な状態にしておく事が、国
益を毀損するのは明らかです。政府は、いつまでも、「橋の論理」
で、反対者の同意を待つのではなく、最大多数の最大幸福を最小コ
ストで実現すべく権力を行使すべきなのです。また、政治家は、そ
の権力を国民から委任されている事を忘れてはならないのです。
首都圏空港のアクセス問題も、同様に小手先の代替策などではなく、
骨太の解決策(羽田・成田新幹線やリニア新幹線の新設)で正面突破
を図る事が結果的に最小コストによる最短の解決策になる様に思わ
れるのです。


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2009年12月28日月曜日

飛行機も飛ばず、アクセスもない空港を何故開く

※CGは茨城空港Webサイトから転載
手前側が茨城空港、奥が自衛隊百里基地

<茨城空港>専用道、開港に間に合わず 進まぬ直通バス計画

来年3月11日予定の茨城空港開港に合わせ、鹿島鉄道の石岡駅(石岡市)-
常陸小川駅(小美玉市)間で両市が推進中のかしてつ跡地のバス専用道が、計
画の遅れにより、空港開港に間に合わないことが確実となった。あおりで、同
専用道を使った空港直通バスの運行計画も全く進まず。国内線の就航めどが立
たない同空港は、JRから空港へのアクセスでも出はなをくじかれ、見切り発
車を余儀なくされそうだ。【橋口正】

毎日新聞の取材に久保田健一郎石岡市長は、空港開港前のバス専用道開通は困
難との見方を示したうえで「市民の足としての期待が高いだけに、できる限り
早急に実現させたい」と語った。市長によると計画遅れは「交通安全対策で調
整に時間がかかっている」ことが最大の要因という。

先月11日に行われた「かしてつ沿線地域公共交通戦略会議」(座長・石田東
生筑波大大学院教授)の第4回協議会では、一般道との交差点に設けられるゲ
ートの運用や、専用道への歩行者侵入防止などで対策を求める慎重論が出され、
最終結論を出せなかった。

専用道の工事は、4地区に分けて工事しているが、橋が1カ所ある第1区では
18日に入札が行われ、建設業者が決まったばかり。市の都市整備課は「橋は
架け替える必要があり、最低でも3カ月はかかる。来年の『春』と呼ばれる時
期に、なんとか開通させたい」と話している。

こうした計画の遅れを受け、専用道を使って茨城空港への直行バス運行を検討
していた関東グリーンバスは、運行時期について「まだ検討の段階」としてお
り、具体的めどが立っていないというのが実情とみられる。

茨城空港開港に開通が間に合わない状況について久保田市長は「大変残念。し
かし空港の玄関口として整備していくことに変わりなく、機能を保持したい」
と話している。

(毎日新聞 2009/12/28)

茨城空港、国内線ゼロのまま開港へ

茨城空港(茨城県小美玉市)が国内線の定期便就航が決まらないまま、来年3
月11日の開港を迎える見通しとなった。

国内の航空会社に路線就航を働きかけてきたが、経営環境や経済情勢の悪化を
理由に断られ続けた。国土交通省は「開港時に国内線がない空港は聞いたこと
がない」としている。

開港時の就航路線は現在、韓国アシアナ航空のソウル(仁川(インチョン))便
(1日1往復)のみ。県幹部は読売新聞の取材に「路線の周知や航空券販売な
どを考慮して、路線の決定は開港3か月前がリミット」と述べ、開港時の国内
線就航を断念したことを明らかにした。

1999年の国の需要予測では、札幌、大阪、福岡、沖縄の国内4路線で年間
約81万人を想定していたが、ソウル便だけでは搭乗率75%と想定しても7
万7000人にとどまる。

県は国交省に路線誘致交渉への協力を再三求めているが、国交省は「国が就航
誘致をした例はない。茨城空港も地元が責任を持って誘致するという約束があ
る」との姿勢だ。ソウル便のほかは、台湾などへのチャーター便や、開港数か
月後にアシアナの釜山便開設が決まっているだけだ。

国営空港なので維持管理費は国が負担することになっているが、県の第3セク
ターが管理運営する空港ターミナルビルも、1日1往復では年間で最大1億円
の赤字になるとされ、県は利用者から空港使用料を徴収することも検討している。

◆茨城空港=航空自衛隊百里基地と共用の国営空港。既存滑走路に並行して、
同じ2700メートルの滑走路が新設された。本体事業費は約220億円で、
茨城県の負担額は約73億円。

(読売新聞 2009/12/16)


茨城空港と言っても、そんな空港聞いた事もないという方が多いの
ではないでしょうか?それでは、航空自衛隊百里基地と言えばどう
でしょうか?基地祭に行ったことがある方もいらっしゃるかも知れ
ませんね。

茨城空港は、首都圏で三番目の空港として、航空自衛隊百里基地を
民間共用化してできる空港です。国土交通省が事業主体となって、
主に民間航空機が使用する2700mの滑走路が現在の滑走路の西側に
新設され、駐機場やターミナルビルも自衛隊の基地とは反対側に整
備されます。開港は来年3月を予定していますが、場所を見れば判
るように、茨城県の中でも、必ずしも交通が便利とは言えない場所
にあります。

それでも、以前であれば、国内の航空会社の路線が設置され、国内
線に就航する飛行機が飛んだのかも知れませんが、昨年来の航空不
況で、国内航空会社には、赤字路線に飛行機を飛ばす余裕は、全く
失われています。今のところ、この空港に就航する定期便は、韓国
アシアナ航空の一日一便だけなのです。

それに輪をかけているのが、空港までのアクセスの悪さです。現時
点で最寄の高速道路は、東関東自動車道水戸線の茨城空港北ICで
すが、ここからも9km離れています。その為、最寄のJR石岡駅か
らのアクセスを整備しようとしているのが、上の記事という事にな
ります。但し、今、整備をしようとしているのは、旧鹿島電鉄の跡
地利用が可能な7kmの部分のバス専用道路化であり、そこから空港
までは更に5km以上の距離があるのです。

茨城空港は、主として、茨城県、栃木県の海外旅行ニーズの吸収を
狙っている様ですが、そうであれば、成田空港へ向かうよりも、仁
川空港での数時間の乗り継ぎ時間を考えても、茨城空港を使う利便
性が高くなければなりません。茨城県も、色々とアクセス整備を考
えてはいるものの、水戸からリムジンバスに乗れば、二時間程で、
成田空港にも、羽田空港にも到着可能なのです。

お膝元の水戸からでさえ、そうなのですから後は推して知るべしで
しょう。茨城空港を使いたいと言うニーズは、殆どないと考えるべ
きです。

茨城空港本体の建設には、約250億円、道路整備も含めた全体では
約500億円が費やされています。これ以上の出血は、早急に抑える
必要があります。その為には、開港そのものを中止する事が最適で
はないかと考えます。幸いにして、滑走路にしても、空港ビルにし
ても航空自衛隊がそのまま利用可能です。元々、空港ビルはボーデ
ィングブリッジもないという簡素なものです。自衛隊で使用する為
に改造した処で、それ程の費用を要する事はありません。
そうであれば、無駄に空港開港の為にジタバタすべきでも無い様に
思われてなりません。


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2009年12月25日金曜日

鳩山首相は14億円以上の贈与税脱税に成功!

今回の鳩山首相の記者会見の中で、鳩山首相の顧問弁護士は、鳩山
首相の生活費と政治活動費の合計が、概ね年間2億円である事をあ
きらかにしました。

これに対し、収入の方は、議員歳費は、22百万円程度しかありま
せん。これに加えて政治資金パーティがありますが、どの程度の収
入であったかは不明です。実際には、それ程多くなかったのではな
いかと考えられます。なぜなら今回明らかになった母親からの援助
が月間15百万円(年間1.8億円)に上っていたからであり、これ
と議員歳費を合わせれば概ね2億円となり、追加の収入は必要なか
ったからです。実際には、鳩山首相の財産であるブリジストン株の
配当等の追加収入や本当の個人献金もあったでしょうから、懐具合
は更に豊かであったと思われます。

鳩山首相は、今回の母親からの「子ども手当」の事を知らなかった
と強弁していますが、「子ども手当」は収入総額の約9割に相当す
る金額であり、大の大人が、それを知らないなど、なんとも理解し
難い事です。百歩譲って、どうしてそれを知らなかったを考えると
更に問題があるのが分かります。

つまり、鳩山総理が収入について心配しなかったのは、その政治活
動の最初期から、潤沢な資金供給があったからに他なりません。そ
うであれば、鳩山氏が特に意識しなかったという言葉が辛うじて理
解可能になってきます。しかしながら、その場合、更に問題なのは
非常に多額の贈与を極めて長期に亘って得ていながら贈与税の支払
いを怠っているという事です。

今回、鳩山首相は、2002年からの7年分の修正申告を行ない約6億
円の納税を行なうと報じられていますが、見落としてはならないの
は、鳩山首相の初当選は1986年であり、その年以降2001年までも同
様の資金援助が行われていただろうことが容易に推定できる事です。

1986年から2001年まで、あまり物価が変わっていなかった事、小選
挙区制が導入され区割りが小さくなった事で選挙費用が下がってい
る事。更には政党助成金が導入され、候補者の負担が軽減された事
を考えると、過去には、より多額の資金が、母親から鳩山首相に流
れていた事も想像されるのです。

しかしながら、それがいくらであったは、知る事はできなくなって
います。そこで、今回判明した月額15百万円を平均値として取る
と、この期間(1986~2001年)の贈与額の合計は、28.8億円
(年額1.8億円X16年)となり、税金として支払うべき金額は
14.4億円に達する
のです。しかし、実際には、鳩山首相は、
この税金を時効によって免れている訳であり、まさに巨額の脱税に
成功したと言える様に思うのです。


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鳩山首相は潔く議員バッジを外し、国民に信を問え!

※写真は読売新聞サイトより転載

鳩山首相には悪夢のイブ 軽い言動のツケ重く…

クリスマスイブの24日、鳩山由紀夫首相の2人の元公設秘書が「政治とカネ」
をめぐる問題で起訴された。現職首相の“身内”が刑事罰に問われるという事
態の重さに加え、首相本人の言動の軽さが、今後の政権運営への傷口を広げよ
うとしている。
「あの…。(私は)もらいすぎだと言われてますから…」
24日朝、首相は首相公邸から出勤する際、記者団に「サンタクロースから何
をもらいたいですか」と尋ねられ、戸惑い気味にこう答えた。

首相が返答に窮するのも無理はない。自らの政治資金管理団体をめぐる偽装献
金問題では、87歳になる実母側から62歳の長男である首相側に毎月1500
万円もの現金がわたっていたことが判明したからだ。

問題が事件へと化した同日夕の記者会見。首相は、疑惑の大筋を認めながらも、
自らの積極的な関与を否定する線で国民への説明責任を果たそうとした。

「親から大金を用立ててもらい、知らぬはずはないと思われるかもしれないが、
私は本当に全く承知していなかった」

ただ、就任後の首相は、米軍普天間飛行場の移設問題や衆院選マニフェスト
(政権公約)に関する政策判断にも見られるように、過去の発言に手足を縛ら
れ、立ち往生を余儀なくされる傾向が強い。この日の釈明会見もそうだった。

もともと首相は「政治とカネ」問題に厳しい姿勢を示す政治家として知られ、
たとえ秘書が起こした事件でも容赦なく政治家本人に批判の矛先を向けてきた。

「政治家と秘書は同罪」「秘書が自分のために行動してくれたことによる犯罪
で共同正犯だ」…。ライバル政党の議員秘書がカネの問題で逮捕される度、正
論をぶつけた。「もし鳩山由紀夫の秘書が同じことを行っていたとすれば、す
ぐに国会議員のバッジを外す」と公言したこともあった。

その言葉通りの事態に陥ったように見えるこの日の記者会見。首相は「過去の
発言に対して否定するつもりはない。逃げてはいかんと思っている」と言いつ
つも、「私腹を肥やしたり、不正な利益を得たということは一切ない」と、自
らが過去の追及した疑惑との違いを強調した。

だが、母親からの資金提供を「贈与」と申告せず、「(修正申告による)納税
額は概算でも6億円を超える」と自ら認めてしまったことは、またしても「私
腹を肥やしたことにあたらないのか」との批判にさらされることになるだろう。

くしくも24日は歴史的な政権交代を果たし、首相に就任して100日目にあ
たる。首相は記者団にこう感想を語った。
「国民の皆さんの辛抱強さと、しかし、じれったいなという思いは感じます」
新政権の多少の失態に世論が目をつぶってくれる「ハネムーン期間」は終わっ
た。首相にその自覚はあるのだろうか。(船津寛)

(産経新聞 2009/12/24)


鳩山首相は、その無能故に首相を辞任すべきですが、それ以外にも
引用した記事の指摘の諸点で、首相を辞任の上、潔く議員バッジを
外すべきです。

昨日の会見でも、そうですが、鳩山首相の発言は、言葉の下痢の様
で、自身の政治資金問題であったり、自身の脱税問題であるにも関
わらず、全く主体性がありませんし、反省もありません。鳩山首相
は「親から大金を用立ててもらい、知らぬはずはないと思われるか
もしれないが、私は本当に全く承知していなかった」と述べていま
すが、この様に、自身の収支決算について責任を持てないし、責任
を持つ気もないと言うことは、準禁治産者に相当します。準禁治産
者は、法律行為を行なう事もできません。鳩山首相は、この点から
見て即座に政治活動を停止すべきです。

第二点ですが、脱税に関して、「私腹を肥やした訳ではない」と述
べている点ですが、贈与税は、贈与で得た金の使途に関しては問う
ていません。親であっても他人から不労所得を得れば贈与になりま
す。そして、それによった得た金で政治活動を行ない、その結果、
首相の地位と権力を得たのですから、立派に私腹を肥やした事にな
ります。目的が良ければ手段を選ばないというのは、日本国では認
められない論理です。この様な論理で、脱税を正当化しようとする
人物が首相の地位についている事は、コンプライアンス上も大きな
問題です。その点からも、鳩山氏は首相でいるべきではありません。

第三点です。首相は、かって、自民党の加藤紘一氏の政治資金疑惑
に対して、「政治家と秘書は同罪」「秘書が自分のために行動して
くれたことによる犯罪で共同正犯だ」…。と述べ、「もし鳩山由紀
夫の秘書が同じことを行っていたとすれば、すぐに国会議員のバッ
ジを外す」と公言しました。まさに、それが現実となったにも関わ
らず、それを実行しない事は、二枚舌のそしりを免れません。
一般的な倫理上も、社会正義の実現の上からも、鳩山首相は、即座
に退陣し、議員バッチを外すべきでしょう。

第四点です。鳩山首相は、「国民の皆さんの辛抱強さと、しかし、
じれったいなという思いは感じます」が、「反省すべきは反省する。
だが、政権交代をしろと多くの国民の方の支持があったので辛くと
も、総理の職を投げ出さずに続けさせていただきたい」と述べてい
ます。しかし、国民は選挙前には、ここまで無能で杜撰とは承知し
ていません。従って、国民の期待が、引き続き、鳩山氏と民主党の
上にあるとは限りません。マスコミの世論調査で引き続き世論の支
持があると強弁されるかも知れませんが、麻生政権、鳩山政権に対
する非難を比べるとマスコミは明らかに鳩山政権の側にあり、マス
コミの世論調査そのものが世論操作の可能性すらあります。従って、
鳩山民主党は速やかに衆議院を解散し、国民に再度、信を問うべき
であると考えます。


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2009年12月24日木曜日

全日空787空を飛ぶ


※写真は、Boeing社サイトから転載

この間、初飛行を行ったばかりなのに、もう全日空引渡し用の機体
ができたのかと驚かれた方も、多いのではないでしょうか?
残念ですが、この機体は、二番目の試験飛行用の機体(ZA002)です。
12月15日の初飛行の際の際に使われた機体がBoeing社の特別塗装で
あったのに対し、この機体は全日空の実機用の塗装スキームで仕上
げられています。全日空にとっては、無料の宣伝になる訳で、こう
いう部分にもキックオフカストマーになったメリットが出ています。

全日空あるいはANAの名前は、既に充分有名ですから、いまさら
無料広告でもないかも知れませんが、新型機の試験機に塗装される
のですから、先進性をアピールするには、有効ではないかと思いま
す。但し、全日空がその機会を上手く使っているかどうかについて
は疑問です。今の処(12/24)、プレスリリースは行われていないよ
うです。尤も、地上での姿は、CMに使った様ですから、飛行中の
映像もその内、CMで流れるかも知れません。

試験機2号機の初飛行ですが、前回同様、悪天候の中、約二時間に
亘って行われ、1号機の初飛行同様、エバレットのパイン飛行場を
離陸しシアトルのボーイング飛行場に着陸するコースで行われまし
た。飛行高度は13000ft。飛行速度は、200ktでした。

前回も感じた事ですが、本来は、悪天候をおして、初飛行を行なう
のは避けたい筈です。それを強行している処に、これ以上、スケジ
ュールの遅延が許されなくなっているボーイング社の787のテス
ト飛行スケジュールに対する危機感が感じられる様に思われてなり
ません。


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2009年12月22日火曜日

ISSへの人員輸送はソユーズの独占になる?

※写真は、ソユーズの打ち上げ。読売新聞サイトから転載

野口さん、2度目の宇宙へ ソユーズ 期待と不安

■露の伝統技術学ぶ/不安定な一極支配 

ロシアの宇宙船「ソユーズ」に搭乗する野口聡一さん(44)の2度目の飛行
は、日本人の宇宙長期滞在の本格化と「ソユーズ時代」の幕開けを告げるもの
となった。日本にとってはロシアの伝統的な宇宙技術を学ぶ好機となる一方、
ロシアは再び宇宙開発の主導権獲得に意欲をみせ、有人船の“一極支配”は多
くの懸念材料を抱えている。

国際宇宙ステーション(ISS)計画は大型物資も運べる米スペースシャトル
と、飛行士だけが乗るソユーズを両輪に進んできた。しかし、シャトルはISS
が完成する来年で退役することがすでに決まっており、各国の長期滞在飛行士
は今後、すべてソユーズに乗り込むことになる。

1960年代に開発されたソユーズは構造が単純で信頼性の高さにも定評がある。
多機能でハイテクを駆使したシャトルとは対照的に、昔ながらの“ローテク”
を使った質実剛健さが特徴だ。

宇宙航空研究開発機構は現在、日本独自の有人船の開発構想を検討し、ソユー
ズに似た機体が候補に挙がっている。日本の宇宙開発は米国を手本に発展して
きたが、今後は多くの飛行士がロシア流の発想や文化に触れ、その経験は有人
船開発にも役立つとみられる。

一方、ISSと地球の往復という基幹を担うロシアは来年、火星や他の惑星へ
の有人飛行を視野に、原子力を動力源とする宇宙船の研究に着手する見通しだ。
総額200億ルーブル(約600億円)をかけて9年後には完成させる意向だ
が、事故時の被害の大きさを懸念する声も聞かれる。

さらに、日米などでは、ソユーズの運用が何らかのトラブルで中断した場合、
ISS計画が停止に追い込まれることへの根強い警戒論もある。

ISSの建設では、大型物資の輸送をシャトルに頼っていたため、相次ぐシャ
トル事故が計画の遅れに直結した。同様にソユーズだけが生命線になれば、運
用リスクの増大を招きかねない。米国の新宇宙政策が不透明な中で、ISS計
画は危うさをはらんだ終末期を迎えつつある。

(産経新聞 2009/12/22)

今までも、ロシアのソユーズ宇宙機はISSへの人員輸送を行って
はいたのですが、人員輸送の多くは、シャトルが担っていました。
そのシャトルですが、現在の予定では、来年に退役が予定されてい
ます。

もともとは、アレス1が、2012年には、供用が開始される事になっ
ていたので、有人飛行ができない期間は、2年間程度に留まる筈で
した。しかし、最新の見積もりでは、アレス1の完成は、2017年に
なる事が予想され、米国の有人飛行ギャップはこのままでは、7年
に達する見込みです。

米国も手を拱(こまね)いている訳ではありませんが、新しいロケッ
ト開発には時間と費用がかかります。元の目論見では、この費用を
シャトルとISSの早期退役から捻出しようと考えていたのです。
そして、米国がISSへ人員を輸送できない間は、短期間ソユーズ
に依存するのも仕方のない事と考えていた訳です。

しかし、ロシアもさるもので、ISSへの観光旅行用には10億円か
ら15億円で契約していたと言いますが、NASAへは宇宙飛行士一人当
り50億円を請求していると言うのです。シャトルの飛行には、一回
500億円を要しますが、一回の飛行で7人の宇宙飛行士を運べる上、
物資輸送も行なう事ができます。シャトルで人員と貨物を運ぶ値段
が、ソユーズと無人輸送機の合計の値段とあまり変わらないのであ
れば、シャトルを退役させる理由の一つはなくなります。大統領諮
問委員会は、ISSの完成までシャトルの退役を一年遅らせる事を
提案しています。

もう一つの理由であるロケットの開発費用の捻出ですが、こちらは、
アレス1の開発を中止し、商業輸送サービスを利用する事ができな
きかというのが、大統領諮問委員会の目論見です。実際、NASAから
ISSへの物資輸送を請け負ったSpaceX社は、ドラゴン輸送機を当
初から有人カプセル化する事を考慮に入れて設計しています。こち
らは、宇宙飛行士一人当りの打ち上げ費用は20億円程度での実現を
目指しています。こうなるとロシアの方も50億円とは言えなくなる
ので、SpaceX社に近い値段で有人打ち上げを提供せざるを得なくな
る事が予想されます。

SpaceX社は、発注があれば3年で実現できるとしていますが、いつ
有人飛行が可能になるかで、米国のソユーズ依存の期間は、大幅に
縮小すると予想されているのです。問題は、SpaceX社の大型打ち上
げロケットであるFalcon9ロケットが、未だ実験機の打ち上げすら
行われていない事です。今までの処、開発は順調ですが、信頼性を
確保する為には、打ち上げ回数を上げる事しかありません。Falcon9
ロケットは、小型打ち上げロケットであるFalcon1ロケットとMerlin
1cエンジンを共有しています。同じエンジンを使う事で、初期故障
を早期に検出し、生産数を上げる事で、一定の工作精度を早期に実
現できます。その反面、エンジンの一つの欠陥が二種類のロケット
の打ち上げを停止させるリスクもあります。
SpaceX社はこのリスクも勘案しても、開発リスクと費用削減のメリ
ットを取ったと言える様に思います。

米国の宇宙開発に大きな影響を与え、ソユーズの今後にも大きく影
響を与えるSpaceX社のFalcon9ロケットの初打ち上げは、来年2010年
2月2日が予定されています。打ち上げまで、あと一ヶ月固唾を飲ん
で、打ち上げを見守りたいと思います。


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2009年12月18日金曜日

ミサイル防衛能力強化を謳いながらミサイル防衛予算を削った鳩山政権

「日米の安保協力深化」 10年度防衛予算の基本方針を決定

政府は17日の閣議で、2010年度防衛予算の基本方針を決定し、日米同盟につい
て「日米間の安全保障面での協力深化」を明記した。北朝鮮の核・ミサイル問
題は「深刻」との認識を示し、ミサイル防衛能力強化の必要性を打ち出した。

地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)は限定的な配備にとどめ、自
衛官の増員要求は見送る。
基本方針は今年末に予定していた「防衛計画の大綱」改定と中期防衛力整備計
画の策定を1年先送りしたことを受け、防衛力整備の暫定的な方針として取り
まとめた。「現防衛大綱の考え方に基づき防衛力を整備する」としながらも、
連立政権の一角を占める社民党や、行政刷新会議の「事業仕分け」の結果を踏
まえ、防衛予算の縮減に取り組む姿勢を打ち出した。
軍備増強を続ける中国を念頭に「周辺諸国の軍事力の近代化、活動の活発化が
みられる」と指摘。一方で国連平和維持活動(PKO)など国際貢献活動に自
衛隊が積極的に参加する姿勢も打ち出している。

(日本経済新聞 2009/12/17)


防衛予算 玉虫色決着に 社民に配慮

政府は17日の閣議で、10年度防衛予算の編成方針を決めた。現行の「防衛
計画の大綱」(防衛大綱)に基づく整備を進めるとし、ミサイル防衛(MD)
システムの地上配備型迎撃ミサイル(PAC3)の追加配備は先送りした。
しかし、実質的には追加配備と同等の改修は進める玉虫色の決着となった。

今回の編成方針は、防衛大綱改定と「中期防衛力整備計画」(中期防)策定が
1年先送りされたことに伴う、1年限りのもの。方針ではPAC3追加配備に
ついて「現有機能の維持に必要な改修」とのみ記載している。しかし実際には、
現行のPAC2をレーダーや射撃管制装置、無線中継装置など根幹の部分まで
改修し、後は発射機さえ改修すればPAC3になる状態にする。空自幹部は
「もう8割以上はPAC3」と指摘する。北沢俊美防衛相もこうしたことを念
頭にPAC3について記者団に「少し微妙」と説明した。

背景には連立を組む社民党の福島瑞穂消費者・少子化担当相が「無駄を省く方
向で検討してほしい」と注文をつけていることなどが影響している。そもそも
防衛大綱の改定が先送りされたのも社民党に配慮し、政権の考え方をまとめら
れないためだ。PAC3のような重要な装備も、おのずと扱いがあいまいにな
らざるをえない。

防衛省は今年4月の北朝鮮の弾道ミサイル発射をうけ、PAC3を10年度予
算で6個高射群まで拡大する要求をしていた。

(毎日新聞 2009/12/18)


社民党が何を狙ったかは、誰もが簡単に理解できます。社民党は北
朝鮮の日本に対する攻撃力がミサイル防衛により削減されたのを嫌
ったのであり、それ以外の理由があるのなら、はっきりと明らかに
すべきです。パトリオットPAC-3には、ミサイル防衛能力以外の特
徴はなく、航空機用としては、旧型のPAC-2ほどの射程もありません。

防衛用に特化した戦力と言えば、これ以上のものはありません。ま
さに他国に脅威を与える事のない専守防御用の防衛兵器そのものと
言えます。

日本がミサイル防衛用の戦力整備を行なう事に反対しているのは、
北朝鮮、中国、ロシアですが、これらの国は日本に対して弾道ミサ
イルを照準しています。日本を攻撃目標としているからこそ、日本
がミサイル防衛を行う事に反対するのです。そうでなければ反対す
る理由がないのです。

北朝鮮が、二回目の日本列島上空を通過するミサイル実験と二回目
の核実験を行ったのは、今年の4月と5月の事なのです。今年度ま
での予算には、当然ながら、この事実に基づく予算措置はされてい
ません。ですから、来年度予算には、日本国と国民を守る意思があ
るのなら、必ずその対応を行わなくてはならない筈だったのです。

毎日新聞の記事を読むと、民主党は、一見、ミサイル防衛の整備を
推進しているかの様に書いています。しかし、実際には、先送りさ
れたのは、PAC-3のミサイル本体の購入なのですから、来年度予算
だけでは、防衛力はなんら向上する訳ではないのです。ミサイルが
落ちてくるのが良く見える様になるだけで、落ちてくるミサイルを
打ち落すミサイルはないのです。

つまり、ミサイル防衛の強化は行わないというのが、民主党の決定
と言う訳です。民主党は、朝鮮労働党の友党である、社民党の求め
に応じ、ミサイル防衛を強化しない事にしたと言う訳です。これを
日本を北朝鮮に売ったという言葉以外で表現するのは詭弁で
あると考えます。

民主党に投票した皆さん、これが皆さんの意思であると私は解釈し
ます。皆さんは、ご自分の死刑執行令状にサインされただけでなく、
北朝鮮の核ミサイルが日本に着弾し爆発した場合の責任を全てとら
ないといけない事になりました。マスコミを非難してはいけません。
騙された馬鹿が悪いのです。誠におめでとうございます。


蛇足ですが、以下が現在の対空ミサイルの配備状況です。今回配備
が見送られ、ミサイル防衛能力がないままとなったのは、第2、第
5、第6の各高射群です。

第1高射群 埼玉県入間  PAC-2/3
第2高射群 福岡県春日  PAC-2
第3高射群 北海道千歳  PAC-2/3
第4高射群 岐阜県各務原 PAC-2/3
第5高射群 沖縄県那覇  PAC-2
第6高射群 青森県三沢  PAC-2


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2009年12月17日木曜日

ソマリア沖から帰還した護衛艦部隊を無視した民主党政権

※帰港するソマリア沖海賊対策派遣部隊。産経新聞サイトより転載

ソマリア沖派遣部隊が帰港 248隻の民間商船警護

ソマリア沖の海賊対策に第2次部隊として派遣されていた海上自衛隊の護衛艦
「はるさめ」(4550トン)と「あまぎり」(3500トン)が29日、神
奈川県の横須賀基地と京都府の舞鶴基地にそれぞれ帰港した。

第2次部隊は7月、自衛隊法の海上警備行動を根拠に出港。海賊対処法が施行
されてからは根拠を同法に切り替え、7月28日から11月2日までに34回、
計248隻の民間商船を警護した。

派遣部隊指揮官の在原政夫1等海佐は横須賀基地での帰港行事で「隊員は厳し
い環境をものともせず、日ごろの訓練の成果を十二分に発揮して任務を果たし
てくれた」とあいさつした。

10月には護衛艦の「たかなみ」(4650トン)と「はまぎり」(3550
トン)が、政権交代後初めて派遣された。

(産経新聞 2009/11/29)


旧聞にぞくしますが、先月末に、ソマリア沖海賊対策の第二次部隊
として派遣されていた「はるさめ」と「あまぎり」が帰港しました。
上記の記事にもある通り、約3ヶ月の間に34回、計238隻の商
船をエスコートし、海賊の被害から守るという実績を上げました。
エスコート対象は、海賊対処法で日本関係船舶という制限が外れま
したので、全部が全部日本関係ではありませんが、238隻という
数は、約3000隻と言われる、この航路を使用している日本関係船舶
全体の数と比べても小さな割合ではありません。護衛艦部隊は立派
な成果を上げたと言えます。

ところが、この部隊が帰港した時、派遣した政府から一言の労
(ねぎら)いもなかったのです。
それは、以下のブログで知る事ができます。

小泉進次郎ブログ
2009-11-29 護衛艦はるさめ帰国
「ところで、今日の帰国式で疑問に思ったことがありました。それは、政府か
ら誰も出席していなかったこと、その上電報もメッセージもなかったことです。」

http://ameblo.jp/koizumi-shinjiro/page-27.html#main

小泉進次郎氏は、横須賀市を選挙区に含む神奈川11区選出の衆議院
議員です。父、小泉純一郎氏の後を継いだ世襲議員として批判を受
けた事もあります。しかしながら、護衛艦部隊の帰国式にちゃんと
出席していた事は、評価できます。

それに対して政府からは、誰も出席せず、祝電すら送られなかった
というのは、部隊を派遣した政府として一体どういう神経をしてい
るのかと思わずにはいられません。確かに、部隊がインド洋で行動
している間に、政権は交代しましたが、政局絡みの動きで最後の海
賊対処法の採決には反対したものの、もともと発案したのは民主党
であり、日本関係船舶を海賊の脅威から守る事の必要性については
理解していた筈です。現在の自衛隊の最高指揮官は鳩山首相であり、
護衛艦部隊は、その命令により現在も派遣されているのです。

鳩山首相がいくら、ダチョウの様に、軍事や安全保障関係の問題は
無視する事にしているとは言え、厳しい条件下で働いてきた自衛隊
員に対し無事の帰還を祝う祝電一つ打てないというのでは、指揮官
としての資格も自覚も欠如していると言わざるを得ません。
さらに、
悲しむべき事は、防衛省内に、政務三役となった民主党の政治家に
対して、帰国式への出席を直言する勇気のある官僚がいなかった様
に見える事です。

これでは内局のシビリアンがいくら威張った処で、制服組がついて
いくとはとても思えないのです。


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2009年12月16日水曜日

787が遂に飛んだ!

※写真は、ボーイング社サイトより転載

米ボーイング、最新鋭中型機「787」の初試験飛行を無事終了

米航空機大手ボーイングは15日、当初の予定から2年以上遅れで、最新鋭中
型機「787」(通称ドリームライナー)の初試験飛行を実施した。
悪天候により飛行時間は短縮されたが、ドリームライナーは、多くのボーイン
グ従業員や業界関係者、航空ファンが見守る中、無事に試験飛行を終え着陸した。
ドリームライナーの開発・試験飛行をめぐっては、パーツ不足やデザインの欠
陥、2カ月に及ぶストライキなどが原因となって、延期が度重なっていた。
ドリームライナーは新素材を使った軽量機体が特徴で、ボーイングは同機によ
り、数百万ドル規模の燃料・維持費の削減が可能だと主張している。
超長距離飛行が可能な約250人乗りの中型機、というコンセプトが航空会社
の支持を集め、ボーイングはこれまで840機(約1400億ドル相当)を受
注している。
ただ、ボーイングがドリームライナーの開発によってどれくらいの利益を上げ
られるのかは不透明。アナリストによると、ボーイングは同機の開発に100
億ドル以上を投じており、これに加え延期に伴う顧客への何らかの賠償義務も
発生する見通し。 
ボーイングは、最初のドリームライナーを、全日本空輸に来年第4・四半期に
納入する予定としている。

(ロイター 2009/12/16)


開発延期を繰り返しているボーイング787ですが、漸く、初飛行
に辿り着きました。

787の初飛行はワシントン州エバレットのパイン飛行場を離陸し、
同じワシントン州シアトルのボーイング飛行場に着陸するというコ
ースで行われ、悪天候の中、一時間程、早めに切り上げられ、約3
時間の飛行時間となりました。飛行高度は、15000ft。初飛行で、
脚下げ状態での飛行であった為、速度は180ktという比較的ゆっく
りとしたものでした。通常の初飛行と異なり、悪天候下の飛行であ
った為、乱気流やアイシング状態にも遭遇しています。

787はボーイング社の新世代の旅客機で、既存のボーイング757
や767を置き換える機体です。日本の企業も深く関与しており、
全日空は、キックオフカストマーとして一号機を受け取りますし、
生産面でも、三菱重工、川崎重工、IHIがリクス・シャアリング・
パートナーとして全体の35%の製造と開発を行っています。

787は、機体重量の約50%が炭素繊維の様な軽量の複合材で出来
ています。今まで、複合材は、軍用機や民間機の機体で一部で使わ
れてきましたが、ここまで大規模に民間旅客機に使われた例はあり
ません。FAA(連邦航空局)の耐空証明を得るのに、今後6機のテス
ト機により集中的なテスト飛行が、9ヶ月に亘って行われる予定に
なっています。

787で何がよくなるかですが、乗客にとっては、機内の気圧が従
来の機体よりも高くなっており、また、窓がより大きくなり、照明
も改善されて快適性が高くなっています。とはいうものの、従来の
機体とそれ程、大きな違いはありません。787の魅力は、その経
済性にあります。エンジンには、新開発のロールスロイス社のトレ
ント1000、または、ジェネラルエレクトリック社のGEnxエンジンが
使用され、燃費は従来の同規模の機体に比べ20%も向上しており、
騒音も改善しています。

機体を大きな部分に分割して下請けメーカーで完成させ、それをボ
ーイング社のエバレット工場に運び込んで結合し、完成させるとい
う新生産方式も、初の試みです。開発中は、この新生産方式に起因
する問題点が噴出しましたが、これが、一度軌道に乗れば、画期的
な生産方式と言われる様になるのは、まず確実です。ただ、その分、
産みの苦しみも大きかったと言えます。

当初は、2007年中の引渡しを目指しましたが、上記の大幅な生産方
式の変更も影響し、5回に亘って引渡しは延期され、現時点での引
渡し予定は2010年の第四四半期となってしまいました。一番最近の
問題点は、主翼の胴体への接合部の強度不足でしたが、これは僅か
二週間前に修理が漸く完了したばかりです。

労働組合問題も開発遅延に影響しました。昨年の八週間の技術者の
ストライキの影響は深刻で、この結果、ボーイング社は組合を作る
必要のないサウスカロライナ州のノースチャールストンに二番目の
最終組み立て工場を建設する決定を行っています。

初飛行は果たしたというものの、787が2010年に引渡しできるか
どうかは、テスト飛行が順調に進むかどうかにかかっています。
これからの200日、ボーイング社によれば、24時間、全世界の空を
股にかけたテスト飛行が予定されています。
次回のテスト飛行は、来週行われる予定となっています。


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2009年12月15日火曜日

日本がどちらの側に立つべきか一目瞭然


※上は、天皇に挨拶をするオバマ米大統領。下は、天皇と握手をする習近平。
読売新聞サイトより転載

「忙しい中、深く感謝」=天皇陛下と会見-習近平中国副主席・皇居

天皇陛下は15日午前、皇居・宮殿「竹の間」で、来日中の中国の習近平国家副
主席と会見された。習副主席は「お忙しい中、わざわざ会見の機会をつくって
いただき、深く感謝します」と述べた。

陛下が中国の政府要人と会うのは、2008年5月に国賓として来日した胡錦濤主
席以来。会見は午前11時から約25分間行われた。宮内庁によると、会見で天皇
陛下は「今回の訪日によって両国間の理解と友好関係が一層増進されることを
希望しています。胡錦濤主席はお元気でしょうか」と述べた。習副主席は「元
気です。現在ちょうど中央アジアを訪問しているところです」と答えた。

中国で大きな被害を出した四川大地震について、陛下が「大変だったと思いま
す」と述べ、その後の状況を尋ねたのに対し、習副主席は「復興は順調に進ん
でいます。日本の政府と人々の支援に感謝します」と話したという。

習副主席は予定より10分ほど早く、午前10時35分ごろ宮殿に到着。玄関では肥
塚隆式部副長と笑顔で握手し宮殿に入った。
国家元首の場合は陛下が出迎えるのが通例。今回は河村武和式部官長が迎える
予定だったが、到着が早まり準備が間に合わなかったという。

会見は、日中関係を重視する首相官邸側が宮内庁に要請し実現した。陛下と外
国要人との会見については、1カ月前までに申請するとした「1カ月ルール」に
反していたため、同庁の羽毛田信吾長官が「天皇の政治利用」に対する懸念を
表明。小沢一郎民主党幹事長が同長官を厳しく批判する異例の事態となった。 

(時事通信 2009/12/15)


習近平もそうですが、何故か中国人は日本にくると傲慢にふるまう
のがお好きな様です。江沢民もそうでしたが、中国の軍事力が多少
日本を上回ったりすると、すぐにこういう態度を取るのが癖になっ
ている様に思います。(日清戦争の前にも同じ様に傲慢に振舞った
事があります。)

また、中国人は、自国に対する外国の態度に対しては敏感ですが、
自国の無作法に対しては、鈍感です。今回の天皇陛下への会見申し
入れの遅延についてもそうですが、上記の記事の到着が速すぎた件
についても、別に天皇への訪問でなくとも、訪問者としての礼に適
(かな)ったものとはとても言えないのは誰にでもわかる事です。

さらに習近平の背が高いのが理由かも知れませんが、現存する世界
で、ただ一人の皇帝陛下に対する礼を彼は知らない様です。握手す
る際に、小腰をかがめる位の礼式は弁えるべきですが、中華共産帝
国の皇太子殿下は、そういう常識すら知らなかったものと思われます。

逆に、オバマ大統領は、天皇に対して、へり下り過ぎとも言える様
な深いお辞儀をしていますが、世界最高の権力者である米国大統領
から、ここまでの礼をして貰えれば天皇・皇后両陛下を初め、殆ど
の日本国民は、悪い感情を抱く筈もありません。

鳩山首相を初めとする民主党は、日米中で正三角形の外交関係を築
くのを目標と考えているようですが、日本にとってナチュラル・ア
ライ(自然な同盟者)が、どの国であるか、上記の写真を一目見るだ
けで小学生でもわかる様に思います。


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党利党略による天皇の政治利用を懸念する

天皇陛下ご訪韓に賛意 懸念される政治利用

韓国訪問中の民主党の小沢一郎幹事長(67)は12日午後、ソウル市内のホ
テルで記者団に対し、天皇陛下の韓国ご訪問について「韓国の皆さんが受け入
れ、歓迎してくださるなら結構なことだ」と語った。韓国の李明博(イ・ミョ
ンバク)大統領(67)は1910(明治43)年の日本の韓国併合から100
年となる来年中のご訪韓を希望しており、“謝罪”を目的とした「天皇の政治
利用」が懸念される。

■陛下の謝罪を期待

李大統領は9月、共同通信との会見で「どのような姿勢で訪問するかというこ
とも非常に重要だ」と述べ、陛下の謝罪を期待した。84(昭和59)年に全
斗煥(チョン・ドファン)大統領が来日した際、昭和天皇が「今世紀の一時期
において、両国の間に不幸な過去が存したことは誠に遺憾」と述べられている
が、さらに踏み込んだ表現を求めている可能性もある。

韓国メディアには、来年にご訪韓が実現した場合、「過去をどう謝罪させるか」
と関心を示す報道も見られる。

ご訪韓について日本政府はこれまで、歴史問題に政治利用されることへの懸念
などから断ってきた経緯がある。宮内庁の羽毛田信吾長官は9月24日の記者
会見で「一般論として、両陛下の外国ご訪問は国際間の懸案事項や政治的課題
を解決するためではない」と述べ、慎重な見解を示した。

天皇陛下の外国ご訪問をめぐっては1992(平成4)年、「天皇の政治利用
だ」とする保守派の反対論の中で政府が中国ご訪問を決めたが、韓国併合100
年のご訪韓にも強い反対が予想される。

天皇の政治利用をめぐっては、政府がルールを曲げて天皇陛下と中国の習近平
国家副主席とのご会見を決めたことが明らかになったばかりだ。

■「政府の姿勢示す」

小沢氏は12日、ソウル市内の国民大学で講演し、日本の朝鮮統治について
「現代史の中で不幸な時代があった。日本国、日本国民として謝罪しなければ
ならない歴史的事実だ」と謝罪。

また、永住外国人に地方参政権(選挙権)を付与する法案について「日本政府
の姿勢を示す意味でも、政府提案として出すべきだ。鳩山由紀夫首相も同じよ
うに考えていると思う。来年の通常国会でそれが現実になるのではないか」と
述べ、来年1月召集の通常国会に政府が法案を提出し、成立させる見通しを表
明し。「日韓に存在するいくつかの問題を解決しなければならない。日本が積
極的に解決策を提示しなければならない立場にある」と語った。

小沢氏はこの日夕から、韓国大統領府で李大統領との非公式な夕食会に臨んだ。
ご訪韓や参政権問題について意見交換したとみられる。韓国大統領府によると、
来年を「友好の100年の出発点」として交流を推進することで一致したという。


(産経新聞 2009/12/13)


これこそ党利党略そのものと言った感のある問題です。小沢氏は、
天皇陛下の訪韓に積極的な姿勢を見せていますが、一体何の為に、
来年、天皇陛下が訪韓しなければならないのでしょうか。民主党は
長期永住者の地方参政権を容認していますが、それと連動した動き
としか見えないのです。つまり、民主党の弱みである市町村議会で
の勢力を拡大する為に、外国人の地方参政権を容認した上で、その
多くを占める、韓国・朝鮮人の支持を繋ぎとめようとする動きに他
ならないように思うのです。

そもそも日韓併合百年の機に天皇陛下が訪問すれば、それは、まさ
に謝罪の旅にならざるをえなくなります。日本国民としては、一方
的な謝罪を前提とした「友好の100年の出発点」は、とても受け
入れる事はできません。韓国との友好の100年の出発点を考える
のであれば、日韓基本条約成立を起点と考えるべきです。韓国はこ
の条約が成立するまでは、竹島侵略や李承晩ラインでの日本漁船漁
民の拿捕、殺傷を繰り返しており、反日国家以外の何者でもありま
せんでした。

これまでも、日本は、韓国に対し、これが最後と言いながら謝罪の
言葉をエスカレートさせてきました。金大中来日時の天皇の謝罪の
言葉が、非常に重いものであり、それと同じ謝罪を求めた江沢民の
期待に答えなかった事が、訪日を失敗に導き、結果として、中国内
での反日教育に油を注ぐ結果になった事を考えても、一方的な謝罪
のエスカレートは、決して外交的にも好ましいものではないのです。

更に、日本に謝罪を求める国が、そうしない国より多くを得られる
なら、謝罪を求める国は、それを止める事はありえない事になり、
逆に、これまで、日本に謝罪を求めない国も、謝罪を求める誘引に
なってしまいます。つまり、ここで、謝罪をエスカレートさせる事
は、明確に国益に反すると言わざるをえないのです。

それに加え、日本国民の感情を無視した小沢氏の政治的ゴリ押しも
いつもの事ながら問題です。小沢氏は、過去にも、この手のゴリ押
しを政治手法としてきましたが、結果的には、「国民福祉税」構想
にしても、湾岸戦争へのATM外交にしても、政策として成功とはと
ても言えなかったと思われます。その点でも、将来に禍根を残し、
天皇陛下の政治利用を容認する訳にはいかないのです。


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2009年12月14日月曜日

A400M初飛行に成功。C-Xもそれに続く事ができるか?

※写真は離陸するA400M。AP通信サイトから転載

最先端の軍用輸送機が初飛行=エアバスA400M、欧州航空界の悲願

欧州の航空機大手エアバスの子会社エアバス・ミリタリーが中心となり、各国
共同で開発してきた最先端軍用輸送機エアバス「A400M」の初の試験飛行が11
日午前から、最終組立工場のあるスペイン南西部セビリアで3時間50分にわた
って行われた。
欧州航空業界の悲願だった同機の開発は大幅に遅れていたが、試験飛行は順調
だった。2013年にも各国への納入が始まりそうだ。
A400Mは冷戦後の1990年代、軍事目的よりも平和維持・人道支援活動の物資空
輸に使う目的で開発することが決まった。しかし英仏独など7カ国の共同開発
は調整が難航。03年の試作機生産開始後も技術的問題が生じていた。 

(時事通信 2009/12/11)


一時期は、日本のC-Xよりも、完成が遅れるのではと懸念されてい
たA400Mですが、なんとか2009年中の初飛行という目標をクリアし
ました。同じ目標は、もう一つの大遅延プロジェクトであるBoeing
787も掲げており、こちらは、現地の12/15に実施される事になって
います。ちなみに、C-Xについても、今年度中の初飛行が噂されて
いますが、残念ながらそれが正式なものになっているかどうかは不
明です。

A400Mの初飛行の様子は、以下のURLで動画を参照する事ができます。
http://www.airbus.com/en/A400M/

ご覧になれば分かりますが、A400Mの飛行中の姿は、地上滑走時の
動画の写真以上に、機体規模が大きく感じられます。A400MとC-Xは、
ほぼ同じ大きさですから、この規模の機体を開発するには、それな
りの難しさがあるのは、当然である様な気がします。しかも、C-X
の設計目標は、今までにも同規模の機体を開発してきた実績のある
AirbusやBoeing製の機体と比べても、勝とも劣らないものであり、
しかもプライムの川崎重工は、姉妹機とも言えるP-1哨戒機も開発
中なのですから、C-Xの遅延も宜(むべ)なるかなと言う気がします。

ただし、もともとそういう条件で開発する事になっていた訳ですか
ら、それがC-Xの開発遅延を合理化する理由にならないのは勿論の
事ですし、開発が失敗すれば、壮大な国費の無駄遣いにもなります。
今回こそ民主党の仕分けの対象にはなりませんでしたが、来年度予
算の本査定や来年度予算の査定で、開発の継続が認めれるかどうか
は分かりません。開発の状況すら公にされていないのであれば、国
民からの支援が得られる可能性も乏しいと言わざるを得ないのです。

その意味で、A400Mの初飛行成功によって、C-Xと同規模の機体を入
手が可能になった事で、開発に替る代替手段が提供される事になっ
た訳で、C-Xの開発には、ますます、風圧が増したと言えるのかも
知れません。


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2009年12月11日金曜日

習近平氏の天皇陛下との会見に賛成する

習近平国家副主席が陛下と会見へ

14日から来日する中国の習近平国家副主席が天皇陛下との会見を行うことが
11日決まった。政府関係者が明らかにした。

(産経新聞 2009/12/11)


特例で天皇会見を要請 副主席訪日で中国政府

中国政府が14日に訪日予定の習近平国家副主席と天皇陛下との特例的な会見
を日本側に求めていたことが11日、複数の政府関係者の話で明らかになった。
平野博文官房長官は午前の記者会見で、「日中関係は政治的に重要なので(宮
内庁に)お願いした」と述べ、応じる方向で調整していることを認めた。

習氏は胡錦濤国家主席の有力後継候補とされている。中国は陛下との会見に向
けた所定の手続きをとっていないが、会見を実現できなければ習氏の体面を傷
つけ責任を問われかねないと判断、働き掛けを強めている。

外国要人と陛下との会見については、1カ月前までの文書での正式申請が前提。
関係者によると、中国側からの申請は11月下旬だったが、鳩山由紀夫首相は
民主党の小沢一郎幹事長らの働き掛けを受けて、9日に平野氏に会見が実現で
きないか検討を指示したとされる。

平野氏は「要人が来るので、お会いできないかと(陛下に)お願いするのは政
治利用でも何でもない」と強調。宮内庁幹部は「ルール違反であり、天皇陛下
の負担軽減の問題もある」と指摘しながらも、首相官邸の意向に配慮する考え
を示した。

(共同通信 2009/12/11)


習近平氏の天皇陛下との会見について、通常の陛下の会見ルールに
則って行われていないという事で反対の方が多いと思いますが、
私は、陛下の健康問題や他のスケジュールとの問題がなければ、習
近平氏との会見に応じるべきであると考えます。

共同通信の記事では、習近平氏は、胡錦濤国家主席の有力後継候補
とありますが、実際には余程の事がなければ、確実に国家主席に就
任する事が確実な、中国の次代の指導者です。バックグラウンドが
太子党なので、中国国内でも、あまり人気はありませんし、胡錦濤
主席からすれば、習氏の対抗馬であった同じ団派の李克強第一副首
相を望ましいと思っているとも一時は伝えられましたが、現在では、
胡錦濤主席-温家宝首相体制の次は、習近平主席-李克強首相の体
制という事で衆目が一致しています。(ちなみに李克強氏は若い頃
に訪日経験があり、その時、小沢一郎氏宅に三日間ホームステイを
したそうです。)

そういう中国の次世代の指導者を、天皇陛下のお人柄に触れさせる
事は、早ければ早い程良いと思うのです。勿論、習近平氏が、陛下
との会見で、江沢民の様に何も感じないという事もありえますし、
前回の陛下の訪中が、天安門事件に対する欧米諸国の制裁破りに使
われた様に露骨な政治目的であれば、拒否すべきであるのは勿論で
すが、少なくとも今回、それには該当しないのです。

天皇陛下との会見をアレンジするのが、日本国としての最大限のも
てなしならば、ここでそれを出し惜しみする意味はありません。
逆に、ここで会見を拒否して相手のメンツを潰せば、日本に批判的
な中国指導者をわざわざ作り上げる事になってしまいます。
そうであれば、民主党政権は、この機会をせいぜい高く売りつける
事で、中国から幾許かでも外交的ポイントを獲得すべきだと思われ
るのです。


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小沢氏の"人民解放軍司令官"発言を失言と報じないマスコミ

小沢氏「私は人民解放軍の野戦軍司令官」

民主党の小沢一郎幹事長を名誉団長とする同党訪中団は10日午後、北京に到
着した。小沢氏は同日夕、北京市内の人民大会堂で胡錦涛(こきんとう)中国
国家主席と会談し、日中関係の強化や民主党と中国共産党の政党間交流の促進
を協議した。小沢氏と胡氏の会談は政権交代後は初めて。昨年5月の胡氏来日
時に続き4回目となる。会談は約30分間で、輿石東参院議員会長と山岡賢次
国対委員長が同席した。

訪中団は、民主党国会議員約140人を含む総勢600人超が参加する異例の
訪問団となった。小沢氏のライフワークである日中交流事業の「長城計画」と
民主党と中国共産党の「交流協議機構」の行事を兼ねており、航空機5便に分
かれて北京入りした。小沢氏は到着後、中国側が用意した巨大な黒塗りのリム
ジン車に乗り込むと、添乗員の掲げる旗に従った同行議員らが、チャーターし
たマイクロバスで長い車列をつくって市中心街に向かった。

「140人以上の国会議員が参りまして、(胡氏が)大変お忙しい中、それぞ
れの議員とツーショットを撮っていただき本当にみんな喜んでいます。友好発
展のため、ご理解いただきたい」

冒頭、小沢氏は笑顔でこう語りかけた。会談に先立ち、訪中団は、胡氏ら中国
要人との恒例の記念撮影を行っていた。

胡氏は「小沢氏は中国人民の古くからの友人で、中日関係発展のため数多くの
貢献をしてきた。今日は新しい友人がいっぱい生まれるだろう。それを日中関
係に役立てたい」と語った。

小沢氏は来夏の参院選について、「こちらのお国(中国)にたとえれば、解放
の戦いはまだ済んでいない。来年7月に最後の決戦がある。私は人民解放軍の
野戦軍司令官として頑張っている」と語った。

自民党との戦いに言及した小沢氏は、両国の「最高実力者」同士の顔合わせだ
ったにもかかわらず、東シナ海のガス田問題など懸案をめぐる突っ込んだ議論
は避けた。理由は、「政治的課題を議論しにきたわけではない」(小沢氏)と
いうものだった。

小沢氏は11日に韓国・ソウルへ単独で移動し、12日に李明博(イミョンバ
ク)大統領と非公式夕食会に臨み、13日に帰国する。

自民党の谷垣禎一総裁は10日の会見で「これだけ大勢の国会議員が国を留守
にするというのは異例だ。自民党だったらこういう発想はしない」と語った。

(産経新聞 2009/12/10)


日本の政治家は、海外に出ると訪問国にリップサービスをしたくな
る様で、小沢幹事長もその例外ではありません。過去にも北朝鮮を
訪れた際、恒例のマスゲームを見せられて、「日本もこんな国にし
たい」と述べています。ある意味、それは、本気だった様で、前国
会で、鳩山首相の所信表明演説に対し、民主党議員全員にスタンデ
ィングオーベーションをさせ自民党をして、ヒトラーユーゲントの
様だと言わしめています。

その例からすれば、今回の「人民解放軍の野戦軍司令官として頑張
っている」という言葉も、半ばは、中国の為に、あるいは、中国の
野戦軍司令官になったつもりで、日本の体制を中国の様な独裁制に
導きたいという本音が現れたと言えなくもないのかも知れません。

言わずもがなの説明になりますが、人民解放軍は中国共産党の軍隊
であって、中国という国家の軍隊ではありません。いうなれば、共
産党の私兵に過ぎません。さらに、小沢氏は、民主党幹事長として
自衛隊の最高指揮官である鳩山首相につぐ最高権力者の一人です。
その小沢氏には、自衛隊の最高指揮官としていつでも振る舞える見
識と矜持を求めたいのですが、ご本人は中国共産党の私兵の一司令
官という自己認識しかないとは非常に残念と言わざるをえないのです。

小沢幹事長は、ある意味、鳩山首相以上の独裁的な力を持つ権力者
です。党の運営を牛耳る事で、政府そのものをその権力の下に置く
というやり方は、共産党独裁の手法と相通じるものがあります。与
党の質問を認めなかったり、議員立法を否定するのも同じ文脈と考
えると良く理解できます。その強権的手法は、スターリン的政治家
と言えるかも知れません。共産党以上の共産主義者である日教組代
表身の輿石参議院議員会長が小沢氏に違和感なくべったり張り付い
ているのも、その共産主義的体質が、小沢氏のスターリン的体質と
一致しているからとすれば、納得ができます。

非常に残念な事は、この様な、政治の素人でさえ感じる、小沢氏の
共産党独裁的政治手法や、その指向を匂わせる様な失言に対し、多
くのマスコミが批判的に報道せず、逆に、小沢氏に対し、極めて迎
合的な報道に終始している事です。

日本のマスコミ人は、社会主義的性向を持つこと衆目の一致する処
ですが、独裁主義的権力に対して迎合的であり過ぎる点でも、戦前
戦後を通じて、反省がないと思われてなりません。自民党の様に様
に、民主主義的ルールに従って、権力を制限的に運用しようとする
勢力に対してはマスコミは居丈高に振る舞いますが、小沢氏の様な
独裁的権力者には、擦り寄って利権のおこぼれに預かろうとします。
田中角栄、金丸信両氏の全盛期に如何にマスコミが平身低頭してい
たか覚えている方も多いと思いますが、小沢氏に対して、マスコミ
は自民党幹事長時代に続いて二回目の平身低頭ぶりを示している様
に思います。

この、他のマスコミが批判を避けて通る独裁主義的権力に批判の矢
を投じ続けている一点だけをとっても、産経新聞のリベラリズムの
存在意義と貴重さを感じるのです。


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2009年12月10日木曜日

民主党大訪中団にせまる中国最大の諜報工作「長城計画」

過去最大の訪中団

「一度にこれだけの国会議員が外国を訪問するのは聞いたことがない。中国に
限らず過去最多だろう」

外務省関係者が異口同音に語る一大イベントが10日、北京で幕を開ける。民
主党と中国共産党の定期交流事業と、小沢が自民党時代から手掛けてきた草の
根交流「長城計画」の合同プログラムだ。

今年は民主党国会議員143人が参加する。各議員が募った後援会関係者や秘
書を含めれば626人が厳冬の北京に赴く。

先の衆院選で初当選した約140人の小沢チルドレンのうち約80人も参加す
るが、内実は「ただの物見遊山」(党関係者)。党内からも「米国を軽視して
中国に傾斜しすぎているのではないか」(若手議員)といった声が出るほどだ。
民主党政権が米国から聞こえる声を突き放し、中国からの声ばかりに耳を傾け
ようとしている姿。だが、そこに明確な理念や政策は見えず、漠然としたアジ
ア重視があるだけだ。

新・民主党解剖 第2部覇者の憂鬱(3)日米同盟より中国重視より抜粋

(産経新聞 2009/12/10)


民主党小沢幹事長の権力を誇示する600人以上という訪中団の規
模以外は、中身は、あまり注目されない日中交流プログラム「長城
計画」ですが、中国共産党が何故、積極的にこのプログラムを推進
しているのでしょうか。

記事にも書かれている様に、小沢幹事長と胡錦濤主席の会談を除け
ば、内実は「ただの物見遊山」とされています。
勿論、中国側要人と参加者が親しく交流する機会もあるでしょうし、
躍進する中国経済のダイナミズムをプログラム参加者に実感させる
という本当の交流目的もあるでしょう。

しかし、そんな形而上学的な親善交流を中国共産党が目指している
と本気で信じているは、国際関係にウブな日本人だけかも知れません。

私は、民主党いや、日本の次代を担う、エリート層を大量に中国に
連れてくる事それ自体が中国側の目的だと解釈しています。つまり、
理由はどうであれ、中国に滞在させる事が目的なのです。

中国に一度でも行かれた方は、良くご存知と思いますが、外出先か
らホテルの部屋に戻るとすぐに電話が鳴り、マッサージ等を理由と
したお誘いが女性からかかってきます。通常の旅行者の場合は、本
当のマッサージもありますが、大抵はただの売春婦です。しかし、
ここで重要なのは、中国の場合、ホテルの部屋には、カメラがまず
確実に仕掛けられており。電話も盗聴されていると言う事です。通
常のビジネス客や旅行者であれば、盗撮、盗聴されていた所で問題
にもなりませんが、「長城計画」で連れていかれたエリート層にと
っては、将来、大きな問題に発展する可能性が出てきます。

つまり、そうした機会に相方になった相手が、ある日突然、日本に
赴任してきたり、あるいは、中国の関係者から証拠をたてに協力を
強制されたりという事が発生する訳です。これが諜報工作で言うハ
ニートラップです。

中国のこの種のハニートラップ工作については、事前に諜報工作に
ついて教育を受けている職業外交官ですら、簡単に落とし込まれる
程高度なものです。その為、元々その種の免疫のない、政治家の卵
が落ち込むのは、寧ろ、当然と考えられます。実際、小沢幹事長自
身の周辺にも、中国の工作員がいる事が噂されていますし、故橋本
首相の秘書兼愛人が中国共産党の工作員であった事も有名です。

また、要人ではありませんが、上海総領事館の電信担当者がこの工
作のターゲットになり、外交暗号の漏洩を強制されたケースや、海
上自衛隊の隊員が、内部情報の漏洩を強制されたケースも明らかに
なっています。(いずれも当事者は自殺)

つまり、この一見無害な日中交流プログラム「長城計画」は、日本
の将来の指導者層を大量に中国製のハニーポットに落とし込む罠で
ある可能性が極めて高いと思われるのです。そして、これにより、
中国は金額に換算できない程、貴重な諜報工作ルートを大量かつ継
続的に確保できるという訳です。

民主党の小沢幹事長が、意図的にその計画に加担しているとは思い
ませんが、結果として訪中団員を、その様な危険に晒し、間接的に
かも知れませんが、売国的行為に加担している事にどの様な所感を
持っているのか是非、聞いてみたいものだと思わるのです。


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2009年12月9日水曜日

中国は、鳩山朝貢外交の弱腰を見切っている

ガス田「白樺」中国が掘削施設完成…海自確認

日中両政府が共同開発で合意した東シナ海のガス田「白樺」(中国名・春暁)で、
中国が天然ガスの掘削施設を完成させていたことが、海上自衛隊のP3C哨戒
機の監視活動で、8日までに確認された。

防衛省では「いつでも採掘できる状態」としている。

中国は今年7月、突然、白樺施設に建設資材などを搬入した。日本政府の問い
合わせに対し、中国は「施設の維持管理のため」などと回答したが、その後も
施設建設を続けていた。

防衛省は連日、P3C哨戒機で監視しているが、すでに高さ100メートルを
超す掘削櫓(やぐら)などが造られている。建設は10月末に終了、食料など物
資の搬入も済ませ、12月からは、それまでの倍以上の十数人の作業員の活動
が確認されている。

白樺は東シナ海の大陸棚の境界として日本が主張する「日中中間線」に隣接す
るガス田で、昨夏、中国が開発中の白樺に、日本が出資し、共同開発すること
で合意した。しかし、具体策は協議されておらず、中国は今年5月、大陸棚の
延伸を「沖縄トラフ(海溝)」まで求める文書を国連に提出、日本の主張を拒否す
る姿勢を明確にしている。

白樺で進む施設建設に対し、鳩山首相は就任直後、中国の温家宝首相に「憂慮
している」と懸念を示したが、抗議はしていない。

防衛大学校の村井友秀教授(国際政治)は「中国は日米関係の悪化をにらみな
がら、掘削を始める可能性もある。日本はガス田に加え、尖閣諸島のパトロー
ル活動など実効支配を強化する必要がある」と話す。

(読売新聞 2009/12/09)

この記事によれば、中国によるガス田掘削施設の建設が本格化した
のは、今年の7月ですから、衆議院選挙で民主党が圧勝しそうだと
いう評価が有力になってきた時期です。
勿論、建築資材の準備は、それ以前から行われてきたでしょうが、
現地への運び込みは、日本政府が、選挙戦に忙殺されているのを見
透かした様なタイミングで行われており、その後は、民主党政権が、
中止に向けた実力行使を行なう事がない点を見切った上で、建設を
本格化させたと言わざるをえません。

それにしても、この手の情報は防衛省だけでなく、首相官邸や外務
省、国土交通省にも、定期的に報告されていた筈であり、鳩山首相
を初め、岡田外相、前原国交相といった政権幹部も、それを全く無
視していた事になります。そして、これと、中国の民主党内閣が何
の行動も取らない事を見透かした行動を考え合わせると、両者の間
に、何らかのコミュニケーションがあった事すら邪推したくなるの
です。

しかも、中国に、この様な火事場泥棒的な仕打ちをされても、民主
党の小沢幹事長は、政治家や財界人等、合計600人以上を引き連
れて、わざわざ、中国に頭を下げにいくというのですから、あきれ
果ててしまいます。この何の役にもたたない中国訪問の為に、国会
の会期延長期間が短縮され、その結果、北朝鮮に対する追加制裁法
案が廃案になってしまったのですから、既に本末が転倒しています。

鳩山内閣が国益を守る気がない点は、もともとそういう人物であり、
そういう政党であると思っていますので、大きな失望はありません
が、それにしても、政権発足後、わずか100日で、日米同盟を動
揺させ、中国にEEZ内のガス田を黙って譲り渡すなど、これから民
主党が政権を維持し続ける四年間で、どれだけの日本の国益が流出
し、日本の存在基盤が破壊されるのか、薄ら寒く感じざるを得ない
のです。

このままで行けば、遠からず、日本という国は、独立国として存続
しなくなるか、あるいは影響力を全く失った国際的サンドバックま
たはスケープゴーツとしてのみ存続を許される国になってしまうの
ではないかと懸念されてならないのです。


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2009年12月8日火曜日

普天間処理で米国に不信感を与える鳩山首相の愚

<スコープ>首相 外相 意見対立 深刻に

米軍普天間飛行場の移設問題をめぐり、鳩山由紀夫首相と岡田克也外相の意見
対立が深刻になった。首相は、連立相手の意向を踏まえ、沖縄県外への移設に
傾斜。対する岡田氏は、対米関係を維持するには、現行移設計画で年内決着を
図るほかないと思い詰める。政府方針を決める最終段階で、政権は抜き差しな
らない局面を迎えた。

首相は七日、近く政府方針をまとめ、米国に伝える考えを記者団に示した。二
〇〇六年の日米合意に基づき沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿
岸部に移設する現行計画については「米国からそういう要求は来ている」と述
べた。

その上で、沖縄県民の県外移設への期待感、社民、国民新両党との連立の重要
性を指摘し、辺野古移転は「簡単ではない」と二度繰り返した。米国の要求に
屈しない「対等な日米関係」を探る姿勢を示す思惑もある。

首相の周辺では、米国の反発を覚悟の上で、時間をかけて交渉すべきだとの意
見が強まりつつある。平野博文官房長官は記者会見で「辺野古だけではなくほ
かもないのか、今までの(日米合意の)検証作業をみたときにどうなのかとい
う考え方を、首相自身が出すのではないか」と説明した。

一方、米国との交渉当事者として「圧力」を直接受ける岡田氏は先週末の沖縄
訪問時、自ら提案した米軍嘉手納基地統合案について「非常に難しい」と地元
メディアに断念を表明。記者会見では「合意が実現できないときに(日米の)
信頼関係がどれだけ維持されるのか。日米関係の現状に非常に強い危機感を持
っている」と述べた。

外交の責任者が、日米関係が危機的状況にあると認めるのは異例だ。それほど
岡田氏は追い詰められ、現行計画以外に選択肢は残されていないとの苦悩をに
じませる。六日午後に首相を公邸に訪ね、一時間余り会談した際には、首相の
説得を試みたとみられる。

ただ、政府・与党に岡田氏を後押しする声はなく、孤立感が深まっている。
「岡田氏はなぜ米国や外務省の言いなりになっているのか、ということだ」
首相に近い中堅議員は首相の内心をこう代弁してみせた。

(東京新聞 2009/12/08)


この記事を読むと、岡田外相は馬鹿は馬鹿なりに、真剣に職責を果
たそうとしている事が分かります。少なくとも、日米同盟体制と言
う日本外交の基軸を揺るがせにしないように動いていると言う事です。
それに対して、鳩山首相は、普天間問題で日米に不協和音が出ても
日米同盟体制は揺るがないという楽観論を持っているか、日米同盟
が揺らいでも構わないと考えている様に見えます。

ただ、そうであれば、オバマ大統領との会談で「Trust me」と言っ
た言葉や、あるいは新聞報道に惑わされないでくれと私信を託した
りしたのはどういう意味だったのかと言う事になります。
オバマ大統領にしてみれば、鳩山首相を信用した挙句に、ハシゴを
外され、米軍再配置という米国の世界的な政策展開に大きな齟齬を
生じそうになっています。

元々、鳩山首相は米国から見て、信頼に足る実績がなく、民主党が
選挙に勝利して以降も、米国との「対等な関係」という不適切なメ
ッセージの発信や、あるいは、「米国抜きの東アジア共同体の提案」
と言った、反米的な行為が目立っていた訳です。その上で、既存の
日米合意を無視する様な行動をとっているのですから、その人間を
信頼する方が馬鹿と言う事になってしまいます。最近では鳩山盧武
鉉説が、ワシントンのコンセンサスとなりつつあるという報道が流
れていますが、そう言われても仕方なしと言わざるを得ないのです。

今更ながらですが、普天間問題に関する日米合意は、そもそも日本
側から持ち出したものです。そして、普天間からの飛行場施設の県
内移設を前提として、海兵隊のグアム移転が計画されたのです。
グアムに移転する海兵隊は8000人で、沖縄に駐留する在日米軍の約
四分の一に相当します。従って、実現すれば、沖縄の負担軽減に大
きく役立つ事は言うまでもない話なのです。そうであるからこそ、
海兵隊のグアム移転費用の約6割を日本側で負担する事にもなって
いるのです。

もし、鳩山首相が、この合意を破棄して、再度、沖縄駐留米軍の削
減を米国と交渉をするのであれば、筋を通して行うべきです。通常
のビジネスプラクティスで考えても、一度合意した内容が状況の変
化等で履行できなくなるのは、良くある話です。契約の内容にもよ
りますが、それをどの様に変更するかは、誠心誠意を尽くした交渉
によるべきであって、騙し討ちによるべきではないのは当然の話で
す。正しく、鳩山首相が国民に信を問うた上で、オバマ大統領に筋
を通して申し入れを行うべき話と思われます。鳩山首相が、米国と
の「対等の関係」を希望するのであれば、不信を根拠にするのでは
なく、信頼を根拠として行うべきであり、閣内不統一、国論不統一
のままになし崩し的に合意を破棄に至らしめるのは日米関係にとっ
ても最悪の結果であると言わざるを得ないのです。


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2009年12月7日月曜日

岡田外相の外交センスの無さを悼む

日米協議「もう限界」 岡田外相、普天間解決に危機感

岡田克也外相は5日、那覇市で地元紙の沖縄タイムス社の岸本正男社長らと会
談し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題をめぐる日米協議につ
いて「2カ月間みっちりやってきた。もう限界だ」と述べた。鳩山内閣は年内
決着を見送ったが、同県名護市辺野古に移設する日米合意の履行を求める米側
の反発は強く、辺野古以外にこだわれば移設そのものが困難になるとの厳しい
認識を示したものだ。

同席者によると、岡田氏は岸本氏との会談で、これまで模索してきた嘉手納基
地への統合について「難しい」と表明。「(現行計画は)日米間で煮詰まって
いた話。元に戻って議論とはならない」「選択肢はもうない」などと、辺野古
移設を受け入れるしかないとの考えを示した。

岡田氏はこの後の記者会見で、「合意が実現できない時に(日米間の)信頼関
係がどれだけ維持されるのか。日米関係の現状に、非常に強い危機感を持って
いる」と語った。また、問題の先送りは解決につながらないとも強調。「外相
として打開しなければいけないと思っている。打開につながる決断が何か、首
相を含めて協議している」と語り、ぎりぎりの妥協策を探りたい意向だ。

ただ、鳩山政権は、辺野古移設を決断すれば、社民党を含めた連立政権がもた
ないと判断している。新たな策を見つけるのは極めて困難な情勢で、対米交渉
上、新たな移設先の検討の余地がないなら、移設問題は暗礁に乗り上げる可能
性が高い。

日米作業部会に出席した米政府当局者らと4日に会った民主党関係者によると、
当局者らは移設が進まなければ普天間飛行場の老朽化した施設を更新する予算
措置を取る可能性を伝えた。岡田氏の発言の背景には、こうした措置が取られ
れば、現状の固定化につながるとの危機感があると見られる。

(朝日新聞 2009/12/6)



この記事を読んで、今更ながら岡田外相の外交センスを疑ってしま
いました。彼はどうも、本気で、辺野古沖ではない解決策があると
考えていたようであり、日本が強くでれば、米国は折れると考えて
いた様なのです。一体どういう根拠で、そう考えていたのか定かで
はありませんが、岡田外相は民主党の中では真面目で勉強家との評
判もあったにも関わらず、その程度の事すら理解していないという
事であれば、民主党有力議員の勉強ぶりが心配になってしまいます。

まあ、鳩山内閣のロールモデルである韓国の盧武鉉政権の当時の外
相が国連の事務総長をやっているのですから、徹底した反米をやれ
ば、それに溜飲を下げる内外勢力があるのでしょうから、将来、国
連で何かポストにありつけるかも知れません。ただ、今の事務総長
は、就任以前にも「うなぎ」のあだ名で呼ばれていた程のしたたか
な外交官でしたから、岡田外相には、外交素人の米国駐日大使に怒
られたからと言って、首相官邸に駆け込んだり、憔悴してしまうの
ではなく、しっかり日米密約を暴いた上で、非核三原則とやらの
「現実的な適用」を、中国、ロシア相手にもやる位のタフさを見せ
て欲しいものだと思います。

勿論、領海侵犯したり、海峡を潜水して通過する中露潜水艦は核兵
器を装備していない筈もありませんし、非核三原則を徹底するので
あれば、強制的に核搭載艦艇を排除する必要があるのですが、岡田
外相が、同盟国に甘えるだけでなく、その辺の強制排除方法の勉強
をしてくれているものと是非期待したいと思います。

それにしても、岡田外相にしても、鳩山首相にしても、どちらもそ
の職を全うできていない訳で、それでも支持率60%内外を維持して
いる事が不思議でなりません。鳩山内閣支持者は、頭を土の中に突
っ込んで見たくないものを見ない行動をとるダチョウか、あるいは、
あれは馬かと皇帝に問われて、鹿と答えた秦の高官と同じだと言っ
ておきましょう。


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2009年12月4日金曜日

North Korea denomination will crash civilian economy? 北朝鮮のデノミ 市民経済には破滅的効果?

北朝鮮デノミ:後遺症深刻、物価が10倍以上急騰

北朝鮮が2日午前から一人当たり最大10-15万ウォンの旧貨幣を1000-1500ウ
ォンの新貨幣に交換する作業を開始した、と北朝鮮内部の消息筋が伝えた。貨
幣交換は6日まで朝鮮中央銀行の各支店で行われ、7日から新券が流通するとい
う。今回のデノミネーション(デノミ、通貨呼称単位の変更)が完了すれば、
北朝鮮の「市場勢力(市場商取引で富を蓄積した人々)」は、自分が保有する
現金のうち10万-15万ウォンを除いた残り全部を、事実上、奪われることになる。

脱北者団体の北韓民主化ネットワークなどによると、北朝鮮の中間層は通常、
1世帯で100万ウォンほど保有しているという。商売で金を稼ぐ人の中には数百
万-数千万ウォンを家で保管する場合も多いという。北朝鮮で10万ウォンは4
人家族が2カ月ほど生活できる金額だ。10万ウォンを市場の闇ドル商で交換す
ると、35-40ドル(約3000-3500円)ほどになる。北朝鮮の住民は4000ウォン
-1万ウォン水準の月給のほか、商売などを通じて足りない生活費を補てんする。

北朝鮮内部の消息筋などによると、北朝鮮当局は一人当たりの交換限度額を超
える金は銀行に貯蓄するよう指示している。しかし、貯蓄額も30万-300万ウ
ォンまでに制限されている上に、北朝鮮の銀行は預金者が自由に金を下ろせな
い「強制貯金所」のため、住民の不満が急激に高まっているという。1992年の
貨幣改革時は、一人当たり2万ウォンまで貯蓄できたが、後で手にすることが
できたのは数千ウォンにすぎなかったとのことだ。1ウォンも帰ってこなかっ
た住民も多いという。北朝鮮専門メディアのデーリーNKは同日、「10万ウォン
までは100対1で交換するが、それ以上は1000対1で交換するか、銀行に無制限
で貯蓄できるようにした」と報じた。ある北朝鮮内部消息筋は「貯蓄額が多け
れば保衛部がその出所を調べるのに、誰が全額貯金するだろうか」と語った。
現在、北朝鮮当局が物価を100対1のデノミ比率に合わせて強制的に引き下げる
のか、為替レートも調整するのかについては確認されていない。

このように経済の不確実性が高まるや、北朝鮮の市場物価は従来の10-20倍に
上昇していることが分かった。1キロ2000ウォン水準だったコメの価格は4万ウ
ォン(韓国ウォンで約2万ウォン=約1500円)に上昇した。咸境北道会寧市の
市場で500ウォンだった豆腐1丁も1万ウォン(韓国ウォンで約5000ウォン=約
380円)で売られているという。保衛部要員の取り締まりが大幅に強化された
にもかかわらず、北朝鮮の住民は公然と怒りをあらわにしていると、内部消息
筋は伝えた。主要都市の市場では、不特定の人に向かって暴言を吐く人が増え
ているという話も聞かれた。

北朝鮮政権が今回のデノミを通じて事実上「宣戦布告」した闇市場では、取引
が違法とされている軍需物資・石炭・石油・機械なども売られているという。
食糧も2005年10月に専売制が実施されて以降売買が禁止されたが、市場では最
も活発に売買されているという。工業製品の価格は決められているが、それを
守る商店はない。

市場関連の新用語も生まれた。商品を市場に出す人を「跳躍人」、小規模の行
商人を「走り人」、機関の車を利用した卸売業者を「車仕入れ人」、バスに乗
る商売人を集める人を「運び人」と呼ぶ。ある消息筋は「韓国製品は北朝鮮市
場で高級ブランドとして扱われている」と語った。

(朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2009/12/3)


流石は北朝鮮と言った感じです。資本主義国であれば、到底できな
い事をバッサ、バッサとやってくれます。勿論、経済的な効果は破
壊的なのですが、それでも良いと割り切っている処が怖いですね。

デノミというのは本来は、通貨の表示変更ですから、経済成長や物
価に対しては中立的であるとされています。しかし、通常は、今回
の北朝鮮のデノミもそうですが、大きな旧通貨表示を小さな新通貨
表示にします。その際、値段を切り上げて丸める事が横行する事に
なるので、インフレ傾向を助長する事になると言われています。

今回の北朝鮮では、実はデノミとは別の効果を狙っています。それ
は、富の再配分です。デノミとは言っても、旧通貨から新通貨への
転換は金額によって交換レートが変わっています。一人当たり10万
~15万ウォン迄は1000~1500新ウォンにすると言う通常の百分の一
デノミなのですが、それ以上の場合は千分の一の交換レートでしか
新通貨に変更できないのです。

この変更の結果、新通貨への交換前にも係わらず物価が10から20倍
に跳ね上がったと記事には書かれていますが、これは当然の事です。
売る様なものを持っている人は、小金持ちでしょうから、新通貨へ
の交換レートは千分の一になります。従って、今売る場合の価格は
10倍にしないと合わない事になります。その上、今の内にお金では
なく物に変える事で、損失を抑えたいというニーズも発生しますか
ら、新通貨への交換が行われるまでは、インフレは更に亢進し、20
倍にもなることがあると言う訳です。

一人当たりの限度額以上にお金を持っている人は、一夜にして、自
分の貯蓄の価値が十分の一になった事になり、更にインフレに痛め
つけられる事になります。こうして、貯蓄を人民元や米ドルやユー
ロで持つこ事ができる朝鮮労働党関係者以外の金持ちは、資産を一
気に搾取された事になります。

では、貯蓄が、限度額内である人はどうでしょうか。社会全体の通
貨供給量が概ね財の量と釣り合っていると考えると、今回の処置で、
通貨供給量が大幅に減少したのですから、単位通貨量当たりの財の
量は増加した事になります。
つまり、旧通貨では、従来の10倍のインフレですが、新通貨では、
デフレになる事になります。つまり、交換後の新ウォンの持つ価値
は従来に比べはるかに大きくなるという事です。つまり、富裕層が
国家に収奪された通貨量は、貧困層に再配分される事になります。

今でこそ北朝鮮国民は、今回のデノミを嘆いていますが、富裕層は、
貧困層よりも、確実に人数は少ないでしょうから、意外に、この政
策は北朝鮮の人民に支持される可能性がある様に思われます。

ただし、この理屈が通じるのは、貧民層が新通貨への交換まで、旧
通貨での貯蓄を使わずに持ちこたえられた場合です。今の処、7日
には交換が行われるので、飲まず食わずでも、持ちこたえる事がで
きそうですが、貧困層は元々の物の蓄積が大きい訳ではありません
から、新旧通貨交換まで時間がかかるとインフレで貯蓄を失ってし
まう可能性も大きく、その場合は、富裕層と等しく資産を国家に収
奪される事になるでしょう。

今回も、今まで通り、富み栄えるのは、労働党関係者という事にな
りそうです。


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2009年12月3日木曜日

Korean Navy commissioned the Asian strongest submarine. アジア最強の通常動力潜水艦「安重根艦」就役!

※写真は、「安重根艦」。中央日報サイトから転載

「安重根艦」、ディーゼル潜水艦では世界最高水準

1日に釜山(プサン)海軍作戦基地で就役式を行う海軍214級潜水艦「安重
根(アン・ジュングン)艦」(1800トン)は、艦長イ・ヨンウン中佐と
40人余りの乗務補助員がすべて「安重根義士崇慕会」の会員だ。 昨年6月
に進水式を行った後、ソウル南山(ナムサン)の安重根義士記念館を訪れ、護
国の決意を固めたのがきっかけになった。 安重根艦の内部に安義士の遺影、
「為国献身」など遺墨が掛けられているのもこうした理由からだ。

イ艦長と乗務補助員らは3月の殉国日と11月の挙事日に合わせて記念館を訪
れるという。 安重根義士崇慕会のアン・ウンモ理事長は「若い乗務補助員が
安義士の志を敬って国防に献身するのを見る度に胸が熱くなる」と述べた。

就役は軍人でいうと実際に戦闘に投入できる能力を備えたと認められる手続き
だ。 安重根艦は進水後1年6カ月間、試験運転した結果、合格判定を受けた。
全長65.3メートル、幅6.3メートルの安重根艦は、水中で300の標的
を同時に処理できる能力を備えている。 最高時速20ノット(37キロ)で、
米ハワイまで燃料の再充填なく往復航海できる。 一つ下の級の209級潜水
艦とは違って空気不要装置(AIP)を搭載しているため、水面に上がらなく
ても2週間にわたり水中で作戦遂行が可能だ。 ディーゼル潜水艦としては世
界最高レベルだ。

安重根艦は孫元一(ソン・ウォンイル)艦、鄭地(チョン・ジ)艦に続く3つ
目の214級潜水艦だ。 安重根義士は独立運動家では初めて海軍の艦艇に名
前が付けられた。 海軍は2012年から2018年にかけて進水する214
級潜水艦6隻に金佐鎭(キム・ジュァジン)・尹奉吉(ユン・ボンギル)・金
九(キム・ク)など独立運動家の名前を付ける予定だ。 柳寛順(ユ・クァン
スン)烈士も候補群に含まれ、女性の名前が付いた海軍艦艇が登場する道が開
かれた。

丁玉根(チョン・オックン)海軍参謀総長は就役祝賀文で「安重根艦の就役で
韓国の海軍はより強力な水中戦力を確保することになり、敵にはさらに恐れら
れる存在になった」とし「将兵が世界最高の潜水艦を作るよう努力してほしい」
と要請した。

◇214級潜水艦=1200トン級の209級潜水艦の長所を生かして独HDW
社が開発した新型ディーゼル潜水艦。 韓国では「孫元一級潜水艦」と呼ばれる。
214級・209級などの名称はHDW社が任意に数字モデル名を付けたもの
で、特別な意味はない。

(中央日報 2009/12/02)


潜水艦に安重根などと言うテロリストの名前をつける韓国海軍の無
神経さに驚く方も多いと思いますが、無名の人民の海に潜んで、要
人を暗殺したテロリストは、潜水艦の名前には意外に相応しいのか
も知れません。

この級の潜水艦については、今までも何回かエントリーに取り上げ
ていますが、現時点で日本を含むアジア全体で考えても、まず確実
に最強と言える潜水艦であると考えます。

HDW製の214級潜水艦は、輸出用潜水艦として大成功を収めた209級
潜水艦の後継艦であり、ドイツ海軍向けの212A級潜水艦の経験を基
に輸出可能な最新の電子機器を装備した艦です。潜水艦の世界市場
でも、フランスDSNS社のスコルピオ級潜水艦を破って採用されてお
り、装備されている機器を含め、輸出用潜水艦としては最強と評価
できます。この点で、国際競争力の全く無い日本の潜水艦と比べ、
性能、価格の両面で遙に高いレベルを達成していると考えられます。

この級の潜水艦で最初に完成したのは、ギリシア海軍向けのもので
したが、クラス最初の艦という事で初期故障が頻発した事と、恐ら
くはギリシア政府の財政上の理由で、結局、この艦はギリシア海軍
に引き渡されておらず、現在、キール港に係留されており、新たな
買い手を捜している状態である様です。ただ、この艦に続いてギリ
シア国内で建造される三隻については、ギリシア海軍も引き取りを
明言していますので、当初問題になっていた各種の問題点は解消し
たと考えて良いと思われます。

その様な事情もあって、現在、この214級潜水艦で就役しているの
は韓国海軍の三隻のみとなっています。韓国海軍では当初三隻を現
代重工に発注しましたが、2008年に六隻の追加建造を決定し、これ
は現代重工の他、大宇造船にも発注しています。

このクラスの潜水艦の特徴は、やはり、燃料電池を用いたAIP機関
という事になります。日本の そうりゅう型潜水艦もスターリング
エンジンによるAIP機関を装備しますが、両者共にAIP機関の合計
出力は300キロワットで同じであり、大きさの割に強力なAIP機関を
214級潜水艦は備えている事になります。また、そうりゅう型が連
続潜航日数二週間と言われているのに対し、214級はシュノーケリ
ングなしの連続潜航日数で三週間、50日の作戦行動が可能と言われ
ています。

また、最大潜航能力は400mと言われており、使用されている鋼材も
HY100高張力鋼で、これは日本のNS110高張力鋼よりも若干劣るもの
の潜航深度に大きく影響を与える程のものではなさそうです。

更に、韓国の214級潜水艦は、非貫通型マストにSPHINX-D Radar
Systemを装備する事で、高出力のパルスレーダーと非常に低出力な
がら高精度のLPIレーダーを組み合わせ、多様なミッションに対応
できるとされています。戦闘情報システムも、実績のあるISUSシリ
ーズの最新型であるISUS-90を装備しています。

最近、中国の空母建造に関する報道が多いのですが、現在の海軍に
おける最強の艦種は潜水艦であり、ジェーン海軍年艦での各国の艦
艇の掲載順番も潜水艦が最初になっています。

その様な観点からすれば、韓国海軍潜水艦隊の急速な近代化と拡張
は日本にとっても、無視できない軍事環境の変化と捉えるべきでは
ないかと考える次第です。


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2009年12月2日水曜日

実はイランの安全保障を危うくする核兵器開発


※イスラエルのアロー対弾道ミサイル防衛システム

「有言実行だ」 イラン大統領、ウラン濃縮拡大に意欲 

イランのアフマディネジャド大統領は1日、国営イラン放送を通じ、ウラン濃
縮施設10カ所の新設計画について「技術的に不可能だとする指摘があるが、
イランは有言実行だ」と述べ、核兵器開発につながる恐れのあるウラン濃縮活
動の拡大に強い意欲を示した。

欧米が検討する新たな経済制裁を回避するため、対決姿勢を抑えていた大統領
は、同国第2の濃縮施設の建設停止を求めた国際原子力機関(IAEA)定例
理事会の決議に反発。核問題は「終わった話だ」との従来の主張を再び展開し、
制裁は「何の効果もない」と繰り返して強硬姿勢の復活を印象付けた。

決議への報復として「われわれは新たな核施設を建設する際に報告する義務は
ない」として予告なしの建設もあり得ると示唆。IAEAとの「友好的な関係
は終わった」として今後の協力は最小限にするとした。(共同)

(産経新聞 2009/12/02)


イランが核兵器を開発できたその時、アフマディネジャド大統領は
何を感じるでしょうか?核兵器を開発できたイランの科学技術に対
する誇りでしょうか?あるいは、イスラエルの核兵器を抑止できる
様になったという安心感でしょうか?

私はそうではないと思います。逆にイスラエルからの核の恐怖に怯
える毎日がアフマディネジャド大統領やイランの宗教指導者に訪れ
る様になるのではないかと思います。そして、イラクやシリアの核
開発に対して実力を行使したイスラエルが何故、イランの核開発に
対して手を出さないのかという疑問に対する答えにもなると思うの
です。

イランが強大な破壊力を持つ核兵器を手にした時、そして、それを
イスラエルに対して使用できる事になった途端、アフマディネジャ
ド大統領は、イスラエルが、それと同等の核兵器を200発以上持っ
ている事に思いを致さざるを得なくなります。

今まではイランは国際社会の暗黙の応援を感じていたかも知れませ
んが、国際社会がイスラエルに対して、非核兵器国に対する核攻撃
を控える様に圧力を掛けていたのも事実です。紛争相手国が核兵器
を保有していないにも係わらず、その国を核兵器で攻撃する事は道
義的にも人道的にも許される事ではなくなっています。

では、核兵器を保有したイランを、イスラエルが核攻撃する場合は
どうでしょうか?イランはイスラエルの生存を許容していない事を
再三に亘り広言しているのですから、イスラエルがイランからの攻
撃を合理的な根拠から予測し、それを甘受する事が、国家生存に係
わるとものと捉えた時、イスラエルの先制核攻撃を不可とする国際
法はありません。イランが今までの様に、イスラエルの生存を恫喝
すれば、すぐさまイスラエルからの報復核攻撃を予測せざるを得な
くなるのです。

では、イランがイスラエルの核報復を避けながら、イスラエルを核
攻撃する事ができるのでしょうか? 第四次中東戦争で、アラブ連
合軍がイスラエルに対する奇襲に成功した例もあるので、可能性が
ないとは言えませんが、現状では、極めて難しいといわざるを得ま
せん。イスラエルは現在判明しているだけで、F-16戦闘爆撃機と中
距離弾道ミサイル ジェリコー(MRBM,IRBM)という二通りの核兵器
運搬手段を保有しています。イスラエルの核報復を回避しようとす
れば、イスラエル空軍の全ての空軍基地と、核ミサイルを同時に潰
す必要があります。

イランも、イスラエルと同様に弾道ミサイルを開発していますが、
イスラエルのもの程の射程を得られていません。また、イスラエル
は独自開発のアロー対弾道ミサイル防衛システムを保有しているの
で、イランがミサイルによる核先制攻撃を行っても、10分程度の時
間的余裕があるので、弾道ミサイル防衛が可能で、イスラエルの第
二撃能力を破壊できるとは限りません。逆に、イスラエルは現時点
でイランに対する第一撃能力を備えており、その行使を抑制してい
るのは、イランが核を持っていないという要素が一番大きいのでは
ないかと思われるのです。

アフマディネジャド大統領は、核兵器を保有した後になって漸くそ
の事に気が付き、今や自らの上にダモクレスの剣があるのを知る事
になるのではないかと思われるのです。


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2009年12月1日火曜日

H2A 16号機打上げ成功。光学3号を軌道投入


※写真上は雲海を抜けて上昇するH-2A
画像下は、陸域観測衛星3号機(ALOS3)。光学3号と同程度の性能を有する。


H2Aロケット成功 情報収集衛星を追加投入

望遠カメラで地上を撮影する国の情報収集衛星を載せた大型国産ロケット「H
2A」16号機が28日午前10時21分、鹿児島県・種子島の宇宙航空研究
開発機構種子島宇宙センターから、小雨がぱらつくなか打ち上げられた。
H2Aは目的の軌道に衛星を投入、打ち上げは成功した。軌道投入された情報
収集衛星は、実証目的のものを除いて5基目。H2Aは10回連続、15回目
の打ち上げ成功となった。

情報収集衛星は、98年の北朝鮮によるミサイル「テポドン」発射を機に、国
が導入した事実上の偵察衛星。望遠カメラを備えた光学衛星と電波で地上の様
子を調べるレーダー衛星が1基ずつペアを組み、計4基を運用することで、地
上のどの地点でも一日1回は監視できる態勢になる。

2003年3月にH2Aの5号機で各1基を同時に打ち上げたが、同11月に
2基を積んだ6号機が打ち上げ失敗。約3年後の07年2月にようやく4基体
制となったが、その1カ月後の3月にはレーダー衛星1基が故障し、運用がで
きなくなっている。今回打ち上げたのは光学衛星。11年度に3基目のレーダ
ー衛星を打ち上げるまでは情報収集は不完全な状態が続く。

今回の衛星の開発・製造費は約490億円。大きさや外観、監視能力は、安全
保障上の理由から公表されていないが、地上にあるものを見分ける能力は約1
メートルから約0.6メートルに向上したと見られる。

(朝日新聞 2009/11/28)


いつもながら、朝日新聞の空撮写真の迫力は素晴らしく、思わず、
「王立宇宙軍」のYoutube動画を再生してしまいました。朝日新聞の
サイトには動画もアップされているので、こちらも一見の価値が
あると思います。

H-IIAの打上げも、この処、一段と安定度が高まっている様に思い
ます。今回も、小雨のばらつく中でしたが予定発射時間から4分遅れ
という略予定通りのジャスト・イン・タイムで打上げが行われてい
ます。

前回の打上げで、重量感のあるH-IIBがゆっくりと打ち上がったの
と異なり、今回のH-IIAは202コンフィギュレーションで、ペイロー
ドもIGS(情報収集衛星)だけなので軽やかに上がっていったとい
う感じがしました。(あくまで感じですが...。)

さて、IGS打上げについては、通常の打上げでは公表されている
飛行計画や管制計画が、全く公表されず、打上げの同時中継もなく、
また、軌道要素や地表解像度も伝聞でしか伝わってこないので、本
当にイライラさせられます。H-IIAの唯一の失敗が、光学二号とレ
ーダー二号を載せていた6号機であった事も、発注者である内閣衛
星情報センターをナーバスにしているのかも知れません。

また、冷戦時代は、こういう事を各国ともに秘密にしていたと言う
事情もあります。偵察衛星が上空に来る時だけ、軍事関係の作業や
活動を中止したり、逆に活発な様子を見せたりと色々な欺瞞工作が
可能になってしまうという理由によるものです。

ただ、スパイ防止法もない日本で、どの程度、軌道要素や、衛星の
解像度に関する秘密が保たれるか疑問であり、逆に公にする事で、
批判を受け、衛星の質が改善したり、欠点の改善指摘を期待する事
もできます。
元々、日本の情報収集衛星は、北朝鮮に対するある種のデモンスト
レーションなのですから、むやみに秘密にする意味がなく、やって
いる分析等も、将来の情報分析活動の基礎固め程度のものですから、
公開しても、問題なさそうな所は、いっそ公開してしまっても良い
のかも知れません。

今回打ち上げられた光学三号機の解像度すら、既に商業地球観測衛
星で実現しているレベルなのですから、例えば半年前のデータを秘
匿しておく必要はなく、公開しても問題が生じる訳もないと思われ
ます。そうする事で、内閣情報センターとは異なったアプローチで
日本国内や北朝鮮や、その他の国の動きを観察するプロの分析者が
民間に出てくる可能性があります。また、分析者の裾野が広がる事
で、より多くの発見が期待できると思われるのです。これは、google
earthのデータを分析している民間団体が多くある事からも容易に
想像できる事です。

寧ろ秘密は、データそのものよりも日本政府が何を継続的に撮影し
ているのか、何を分析しているのかにあると思われます。こういう
点については、流石に何も情報は出てきません。しかし、報道によ
れば北朝鮮は公安情報も入手しているそうですから、そういう情報
も流れているのかも知れません。(意図的に流している可能性すらあ
ります。)

なお、この光学3号機に相当する日本の光学地球観測衛星(ALOS3)
を2014年度に、打ち上げる事が計画されています。分解能は、0.8m
ですから、0.6mの光学3号より若干低いですが、ALOSの分解能
が2.5mであった事と比較すれば、大きな改善です。ちなみにレーダ
ー衛星もALOS2として2013年度に打ち上げが予定されており、
こちらも解像度がALOSの10mから3mに改善します。

こう考えると、次々世代ALOS4,5では、情報収集衛星との分
解能の差がなくなり、IGSとALOSは運用所管の違いしかなく
なる可能性があるのではないかと考えます。データ共有の観点から、
例えば、日本国内に関する光学3号のデータ、あるいは2007年に打
ち上げられた光学3号実証衛星のデータ公開がALOS3データと
の比較する為に、逆に求められるのではないかと考える所です。


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2009年11月30日月曜日

官僚生贄の事業仕分け終了 経常経費削減額7000億円の竜頭蛇尾

事業仕分け終了 74事業に「廃止」判定 1・6兆円超の財政効果

政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)の作業グループは27日、平成
22年度予算の概算要求の無駄を削る事業仕分けを終えた。仕分け作業による
財政効果は1兆6千億円超で、独立行政法人の基金や特別会計の剰余金など、
いわゆる「埋蔵金」の国庫返納要求額が多くを占めた。政府は事業仕分けの結
果を踏まえ、過去最大の95兆円台にふくらんだ概算要求から3兆円以上の削
減を目指す。

鳩山首相は27日夕、首相官邸で記者団に対し、「国民に予算というものが見
える形になった」と述べ、全面公開方式で行われた事業仕分けの成果を強調し
た。その上で、「(今後の予算編成では)政治的な判断というものが求められ
る」と強調した。

初の試みとなった仕分け作業には、効率重視のやり方や判定内容への批判がつ
きまとった。だが、予算編成過程を公開とし、既得権益の確保を前提せずに無
駄を省く手法も初めてで、国民の高い関心と支持を集めた。刷新会議は今後、
判定結果を実際にどう予算に反映させるかが課題だ。

仕分け作業の対象となったのは449事業。27日夕段階の集計では74事業
を廃止、19事業の予算計上を見送り、132事業を予算縮減と判定した。

重複事業として、無償資金協力援助(ODA)が3分の1程度、学力テストは
大幅な減額をそれぞれ求めた。事実上凍結と判定された次世代スーパーコンピ
ューターはノーベル賞受賞者らの反発もあり、政府は予算計上の復活を検討中だ。

(産経新聞 2009/11/27)


事業仕分けを本腰でやるのであれば、良かったのですが、こんな結
果では、官僚つるし上げショーにしかなりません。
マニフェストでは、平成25年度で16.8兆円の無駄遣いを削減する事
になっており、それを原資にして、高速道路無料化や子供手当て等
の施策にあてる筈でした。平成22年度は、その走りですから、当然
10兆円近い金額が出てくるというニュアンスを私は持っていました。

それが、事業仕分けが始まるに当たって、いつの間にか目標が、3
兆円になってしまい。終わってみれば、埋蔵金の召し上げ込みで、
1.7兆円。翌年度の計上が期待できない埋蔵金を外した、経常経費
では、たった7000億円しか削減が出来ていません。
そして、その削減の多くが、日本の科学技術の未来を生み出す科学
技術予算だというのでは、竜頭蛇尾、本末転倒もいい所です。

但し、政治ショーとしての事業仕分けは大成功であった様で、碌な
実績もないにも係わらず、本日の日本経済新聞は、鳩山内閣支持率
が68%に達していると報じています。

民主党は、大喜びでしょうが、たった一時間のつるし上げで、碌な
説明も許されず、予算案を無駄と決め付けられた官僚側が、今後、
政府の運営に本当に協力していくのか、面従腹背、政治の足をぴっ
ぱり、より大きな無駄を生み出していくのであれば、事業仕分けは
何の意味もない事になります。

それよりも、寧ろ、従来のシーリングをより強化しつつ、政治家主
導で新規案件の吟味を時間をかけて行うべきであったでしょう。
企業も経費削減を行っていますが、今回の事業仕分けに相当するの
が、経費削減にコンサルタントを入れて行う方法。もう一つは、従
来型の総予算を細かく削減していく方法です。

企業における経験では、コンサルタントはとかく成績をあげようと
ドラスティックな経費削減を単発的に実施しますが、無理が大きく
長期的には必ずしも大きな経費削減に繋がらず、寧ろ、経営者が率
先して、大きな戦略的な経営目標を設定し、全社員が一丸となって
経営効率を改善していくのが正解という結論が出ています。

この後者に相当するのが、必ずしもシーリング方式ではありません
が、全公務員に参加意識を持たせながら巻き込んでいく為には、コ
ンサルタント型では到底不可能であり、それが事業仕分けの地方自
治体での経験則でもあった筈です。その様な事情は判った上で、官
僚を生贄羊に仕立て上げる為に、民主党は事業仕分けを行ったとい
う訳です。

その上、よくよく見れば、民主党の支持母体である労組や日教組関
係の予算、男女共同参画予算という訳も判らない予算は、仕分けせ
ずに、議論もなしに全部通してしまっています。

構造改革のために支持母体である自民党の利権を切りまくった小泉
自民党政権と比べれば、鳩山民主党内閣は、大違いのポピュリズム
政治
と言わざるを得ないのです。


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2009年11月27日金曜日

反日日本人を国家正義の担い手に選んだ鳩山首相のシニカルさ加減

千葉法相、「反日集会」に祝電 参院議員として送った

千葉景子法相は27日の閣議後会見で、慰安婦への補償や、永住外国人への地
方参政権付与を求める市民集会に祝電を送ったことを明らかにした。その上で、
法相として集会の内容に賛意を示したことにつながるとの指摘については「参
院議員ということで対応した。そういうことは決してない」と述べた。
また、千葉氏は祝電を送った理由を「まったくこれまでの議員としてのお付き
合い。ご無礼がないように儀礼的にお出しをしたもので、それ以上のことはな
い」と説明した。
集会は21日に川崎市内で開かれた「川崎・富川(ぷちよん)市民集会」。
「過去を変えるな、未来を変えよう!」をテーマに韓国・富川市の市議を招き、
民主党の川内義博参院議員も祝電を送った。開催趣意書によると、富川市議会
は9月に「日本軍『慰安婦』問題解決を促す決議」を採択。決議には姉妹都市
である川崎市への働きかけが盛り込まれている。

(産経新聞 2009/11/27)


千葉景子氏は、筋金入りの反日日本人である事は、過去の行状から
して極めて明確です。ですから、今回の件についても、言葉はどう
であれ、確信犯として行動しているのは明らかであると言えます。

千葉氏がどの様な活動歴を持っているかについては、以下のリンク
でWikipediaを参照して頂ければすぐに筋金入りの反日左翼活動家
である事判ります。まさに反日亡国の輩なのです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%83%E8%91%89%E6%99%AF%E5%AD%90

ここでは、法相になって以降の行動についてだけ指摘します。

2009年10月9日に最高裁判所から中国残留孤児と血縁関係がないと
判断され、大阪入国管理局から国外退去を命じられていた姉妹に対
して、法務大臣の権限で在留特別許可を認めました。マスコミは、
姉妹に対する同情心なのか殆ど問題にする論調はありませんでした。

しかし、この問題は、非常に大きな意味を持っています。つまり、
法務大臣が最高裁判所の判決よりも自身の判断を優先したという事
です。これでは、何の為に最高裁判所が判決を出したか判らなくな
ってしまいます。まさに、司法府を行政府が無視した訳で、これが
前例になれば、行政府は司法府による牽制(行政事件裁判権)を無視
しても良い事になり、三権分立の国家体制が崩壊する事にもなりか
ねません。

更に、問題なのは、この件に関して、三権分立の視点での千葉法相
に対するマスコミによる批判が殆ど行われていない事です。反日マ
スコミは同属である反日日本人を当然の事にように擁護した訳です。
そして、いつの間にか亡国の至る道が舗装されたという訳です。

千葉法相は、日本人拉致事件の実行犯とされる辛光洙の釈放につい
ての「在日韓国人政治犯釈放の要望書」に署名していましたが、そ
の容疑が明らかになっているにも係わらず、法相就任後も、署名の
撤回を頑なに拒んでいます。つまり、日本人被害者よりも日本人拉
致犯罪者である外国人を擁護する姿勢を全く変えていない訳であり、
日本人は法務大臣の保護を期待できないと言う事になります。

法務大臣という日本語の語感からは、政府の法律問題担当の大臣と
いう程度のニュアンスしか感じられませんが、英語で、法務大臣に
相当する訳語は、The Minister of Justiceになります。つまり国
家の正義を担う大臣である事がより明確になります。そうであるか
らこそ、検察庁を指揮する役割が与えられているのです。

その国家正義の担い手に反日日本人がついているというのは悪い冗
談としか言えない
のであり、任命者である鳩山首相(あるいは小沢
幹事長)の非常なシニカル(冷笑)さを感じざるを得ないのです。


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2009年11月26日木曜日

韓国国産「欠陥」兵器に明日はあるのか?

※今回問題になったと思われるXK-2用トランスミッション(左)とエンジン(右)
http://www6.atwiki.jp/namacha/pages/23.htmlより転載

【社説】最強誇る戦車「黒ヒョウ」に欠陥とは

防衛事業庁は24日、国会に「次世代型戦車『XK2』(通称・黒ヒョウ)の試運
転中、重要部品に深刻な問題が発生し、来年予定されていた量産体制に入るこ
とができないため、来年度予算の審議を中断してほしい」と要請した。エンジ
ンとトランスミッションを結合したパワーパックと呼ばれる部分のベアリング
がひどく摩耗し、火災が発生したという。当局は2003年から黒ヒョウの開発を
始め、昨年からは700億ウォン(現在のレートで約54億円、以下同)を投入し、
従来はドイツの製品を使っていたパワーパックを韓国製で代替する作業を行っ
てきた。

これまで国防当局は、黒ヒョウについて、「ヘリコプターを攻撃できるほか、
主砲の砲弾は敵の戦車の装甲を十分に貫通でき、先端装備によってミサイルも
回避できる世界最強の戦車だ」と誇ってきた。戦車のエンジンは、人間の心臓
のように重要な部分だ。

黒ヒョウの重要部品の欠陥がはっきりしたことに伴い、来年度882億ウォン(約
67億5000万円)を投入して量産体制を整え、2011年に300両を実戦配備、さらに
トルコなどへ輸出するという計画も頓挫することになった。既に結ばれたトル
コとの輸出契約にはパワーパックが含まれておらず、契約の履行には問題はな
いというが、韓国の技術の体面を大きく損なった。そのほかの国との輸出交渉
にも影響するかもしれない。

先端兵器の開発は常に失敗の危険をはらんでおり、思わぬ問題にぶつかること
もあり得る。問題は、当局が問題を隠そうとしたところにある。黒ヒョウのパ
ワーパックは、今年7月にもベアリングに欠陥が見つかり、4カ月かけて改修し
たエンジンを今月15日にテストしたところ、またも欠陥が発生したという。今
月18日に開かれた国会国防委員会で、ある議員が「黒ヒョウのエンジンで火災
が発生したというが、深刻なのか」と尋ねると、防衛事業庁は「煙は出たが、
特に問題はない」と答えた。来年度の黒ヒョウ関連予算は、20日に予算小委、
23日に国防委を通過したが、防衛事業庁は24日になって初めて欠陥の事実を認
めた。予算案の通過のため事実を隠してきた、という非難は免れない。

当局は今からでも、黒ヒョウ開発のどの過程で何が起こったのか、真相を明ら
かにしなければならない。

(朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2009/11/26)


技術発展の進歩が著しい韓国重工業ですが、やはり初物の国産製品
になると初期故障が、発生してしまいます。しかも、それが世界的
にも最先端の性能を持つものであれば、それまでの技術開発の蓄積
がないのですから、故障を生じるのも当然であると言えます。
韓国国産技術の精華と宣伝された花形兵器にも、その様な事例が多
数存在します。以下の様なものです。

「国産対空ミサイル「天馬」は納入の前から全面改良中、携帯対空
ミサイル「神弓」は夜間作戦が不可能、国産対空砲「飛虎」の命中
率は旧型エリコン砲にも大きく劣る、などの指摘が国会で提起され
た。昨年(2005年)には、10年以上かけて開発された長魚雷「白鮫」
と短魚雷「青鮫」に、実戦配備後に深刻な欠陥が発見され、海軍が
開発企業に損害賠償を要求したこともあった。」(韓国日報 2006/10/26)

「金議員は「海軍艦艇は進水後、普通1年ほど後に海軍に渡されて、
戦力化過程(通常1年)を経ることが分かっている。ところが、独島
の場合、2年かかって2007年7月に海軍に引き渡された」と指摘
した後「独島艦には3種類の高性能レーダーがあるが、このレーダ
ーが作動すればレーダーのビームが甲板に反射してレーダーモニタ
ーに反射標的(虚偽標的:ゴースト)が発生する致命的欠陥が試験評
価過程で発見された」と明らかにした。」(ニュースプライム 2008/10/14)

「海軍が誇る最新鋭高速艦尹永夏」に実戦配備後も2ヶ月間に95
件もの欠陥が追加で発見され、再び修理を受けました。ウォーター
ジェットエンジンのタービン翼と冷却装置が腐食し、ディーゼルエ
ンジンからは潤滑油と燃料油が漏れました。また、磁気羅針盤は20
度以上の誤差が出たほか、艦内通信システムは交信が不可能なほど
でした。」(SBSニュース 2009/11/13)


今回、発覚したXK-2戦車のパワーパックに係わる問題も、正に
そうした性格と内容を持つものです。

パワーパックは記事にもある通り、エンジンとトランスミッション
が、一体になったもので、戦車の後部にパッケージとして搭載され
ます。そうする事で、パッケージを簡単、且つ迅速に交換でき、整
備性、保守性が飛躍的に向上しました。世界的にも第三世代戦車以
降は、殆どの戦車がこのコンセプトを採用しています。

韓国でも、K-1戦車では、ドイツ製のパワーパックを使用してお
り、独MTU社製のMB871Ka-501 4ストロークV型8気筒液冷ディーゼル
・エンジン(1,200hp)と、変速機は同じく独ZF社製LSG3000が搭載
されています。

今回のXK-2では、試作車には出力1,500hpの独MTU社製MB-883
12気筒1,500hpディーゼル・エンジン(UAE仕様のトロピカル・ルク
レールと同じエンジン)とレンク社製自動トランスミッションが搭
載されましたが、量産型には斗山インフラコア社(旧大宇総合機械)
がライセンス生産したMB-883エンジンとS&T大宇社(旧大宇精密工業)
製の電子制御式トランスミッションが搭載される事になっています。

MB883は、ルクレール戦車で実績があるエンジンであり、量産用も、
ライセンス生産品ですから、今回問題が発生したのは、S&T大宇社
製の電子制御式トランスミッションであろうと思われます。このト
ランスミッションは「このクラスとしては世界で初めて前進6段、
後進3段の自動変速を可能にした」とされていますが、先進的であ
るだけに、開発リスクも大きかったものと思われます。上記の報道
では、ベアリングに欠陥が見つかったとありますが、単体のベアリ
ングに問題があれば、それを取り替えれば済む話です。予算執行に
影響のある様な大きな問題があるとすれば、ベアリングを想定以上
に摩滅する様な強度設計の誤りが発見されたと考えるのが自然であ
ると思われ、もし、そうであれば、設計の欠陥の解析と、問題の解
決にはかなりの時間を要するものと思われます。

欠陥が発生するのは問題です。しかし、技術発展途上国である韓国
がその製品をものにできるかどうかは、正にその問題点を自力で解
決する事を通じて、兵器と言う特殊な工業製品を確実に仕上げる為
のノウハウが入手できるにかかっているのではないかと考える次第
です。


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2009年11月25日水曜日

これで貴方も堂々と相続税を脱税できる。鳩山式脱税法

<首相献金疑惑>実母から数千万円の資金 答弁と矛盾

鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」(友政懇)を巡る偽装献金
問題で、鳩山氏の実母が鳩山氏側に少なくとも数千万円の資金を提供していた
ことが関係者の話で分かった。3億数千万円に及ぶ政治資金収支報告書の虚偽
記載の原資になっているとされ、東京地検特捜部が解明を進めている。鳩山氏
は今月4日の衆院予算委員会で、実母の資金が原資になっている可能性を指摘
され「ないと信じている」と答弁していた。

実母は大手タイヤメーカー「ブリヂストン」創業者の長女。鳩山氏側への資金
提供は振り込みではなく、現金だったという。実母から鳩山氏への個人的な贈
与であれば鳩山氏に贈与税(最大税率50%)の支払い義務が生じる可能性が
ある。実母から友政懇への寄付とすると年間150万円の上限を超え、政治資
金規正法の量的制限違反の疑いがある。しかし貸付金であればいずれの問題も
生じず、特捜部は今後、資金の趣旨について鳩山氏側に説明を求める。

虚偽記載の原資について、鳩山氏は6月の会見で元公設第1秘書に預けていた
個人口座の資金と説明。さらに今月10日の参院予算委で、元公設第1秘書が
鳩山家の資産管理会社「六幸商会」(東京都港区)から6年間にわたり年平均
5000万円、計約3億円を引き出したと説明した。

しかし、これらには友政懇ではなく鳩山氏の個人事務所の運営費なども含まれ
ているため、それらを差し引くと、3億数千万円とされる虚偽記載の原資は少
なくとも数千万円不足している。このため特捜部が調べたところ、実母からの
資金提供が判明した模様だ。

一方、ゼネコンなど外部からの裏金はないとされ、特捜部は「巨額の虚偽記載
ながら鳩山家の資産を政治活動に充てていたに過ぎず悪質性は低い」と判断。
虚偽記載を認めている元公設第1秘書について強制捜査ではなく、政治資金規
正法違反(虚偽記載)の疑いで在宅起訴する方向で検討している。

(毎日新聞 2009/11/25)


遺産相続で頭を悩ませている方には、朗報です。総理もやってる安
心な脱税方法です。検察に脱税で摘発される事もありません。税務
署が来るかどうかは今の処は判りませんが、多分、鳩山総理が、生
前贈与の追徴課税を受けたという報道がなければ大丈夫でしょう。

もし、貴方が税務署に摘発されたら、鳩山総理と同じなのに、何故、
私だけ追徴されるのかと抗弁して下さい。当然の事ですが、その際
に裁判に訴える事もできます。憲法は法の下の平等を定めています
から、貴方一人が不利益を甘受する事はありません。もし、法務大
臣が鳩山総理の起訴猶予の為に検察に圧力をかけているのが判れば、
それは、権力者を罪から逃れさせた事になり、内閣が吹き飛ぶ指揮
権発動という事になります。

今回の鳩山首相の政治資金規正法違反事件に関しては、上の毎日新
聞の記事では、特捜部は、悪質性は低いと言っている様に報道して
います。ワイドショーのコメンテターも多分、悪質なものではなく、
鳩山家の身内の金を使っただけとコメントすると思われます。そう
して、秘書に政治資金規正法違反だけの責任を負わせて幕引きを図
ると思われます。しかし、実際に、そうすれば、脱税幇助と言って
差し支えない状況が発生します。

もし、今回の事件の結果を一般人の相続に当てはめると、相続税の
対象になる様な遺産を相続する事が判かっていれば、その資金を借
用し使ってしまう事で(勿論、何かに運用しても良いのですが)、相
続税の対象にならない事になってしまいます。実際には、相続時に
債権を相続するのですが、自分に債務があるので、相殺されてしま
います。そうなると現金の受け渡し等も発生しませんので、申告し
なければ判明する事もない事になります。(税務署対策として、一
応、借用書を作成しておき、利息も払った上、相続した段階で破棄
してしまえば、外形的にも借用している姿になります。逆説的には
鳩山首相の場合、本当に借用しているのであれば、借用書があり、
且つ、利息を払っている必要があります。そうでなけば生前贈与の
脱税について黒になります。)

なお、資金使途が政治活動の為の資金だから脱税に問われないので
あれば、政治活動をしている事にして、生活費を政治団体の費用に
付け替えてしまえば良いという事になります。脱税に問われれば、
奥さんを秘書にして政治資金規正法違反で在宅起訴にして貰いまし
ょう。初回でもあれば、執行猶予付きになる事は、まず確実です。

さあ、こんな事が本当に許されるのでしょうか?


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2009年11月20日金曜日

Immortal spacecraft HAYABUSA!! 不死身の「はやぶさ」!

※イオンエンジンの点火のイメージ。JAXAサイトから転載

探査機「はやぶさ」、奇跡の復活…予定通り帰還へ

奇跡の復活――。4台あるエンジンのうち3台が停止し、小惑星イトカワから
地球への帰還が危ぶまれていた日本の探査機「はやぶさ」について、宇宙航空
研究開発機構は19日、故障していた2台のエンジンを組み合わせて、1台分
のエンジンの推進力を得ることに成功したと発表した。

もう1台のエンジンの温存が可能となり、予定通り来年6月に地球へ帰還でき
る見通しとなった。

はやぶさは、2003年5月の打ち上げ直後に1台のエンジンがトラブルで停
止。その後も様々な機体のトラブルに見舞われたが、05年11月に地球から
約3億キロ・メートル離れたイトカワに着陸した。07年4月には、もう一つ
のエンジンの部品が劣化して、運用を中止した。

満身創痍(そうい)の機体は、残る2台のエンジンを交互に運用して地球への帰
還を目指した。しかし、うち1台が、今月9日に故障していた。

エンジン復活に向け、宇宙機構は、故障した3台のうち、早い段階で運転を中
止したエンジン2台に着目。正常に動く部品同士を電子回路でつなぐ「離れ業」
で、互いの故障を補う形でエンジン1台分の推進力を出すことに成功。電子回
路は、万一に備え、「エンジン間をつないでおいた」ものだった。

復活したエンジンは、順調に作動している。電力、燃料の消費は、2倍になる
が、電力は太陽電池によって補給できる見通し。燃料にも余裕があるという。

宇宙機構の川口淳一郎プロジェクトマネージャは「動いている方が奇跡的だ。
予断を許さないが、万一に備えた回路が功を奏し、電力補給できるという幸運
にも恵まれた」と話している。

(読売新聞 2009/11/19)



下に引用しているのは、2ちゃんねるで定番になっている「はやぶさ」
不死身神話の経緯です。
これを読まれれば、「はやぶさ」が現在運用されているのが、如何に
奇跡的であるか、ご理解頂けると思いますし、「はやぶさ」の運用を
担当しているJAXAの担当チームが、正に超人的なトラブル対応と運
用努力を行ってきた事が判ると思います。今回民主党が行った仕分
けで、JAXAの衛星・探査機関連予算は、10%以上の削減を余儀なく
されると報じられています。
その一方で、愚にも付かない巡回子供劇が子供に夢を与えるからと
100%の予算が確保されました。

技術立国日本にとって、巡回子供劇団に100%の予算を確保するのが
正しいのか、宇宙開発を非常に効率的に実施しているJAXAの予算を
一律10%削るのが正しいのか、私には自明に思えます。しかし、民
主党の考えは違っているようであり、今回の「はやぶさ」復活劇を感
動をもって見守るにつけ、その様なJAXA技術者の努力を正当に評価
できない政党が政権を持っている事が非常に残念であると言わざる
を得ません。

なお、「はやぶさ」について、こんな故障が起こらない様にしっかり
作れば良いという議論をされる方がいますが、「はやぶさ」は小惑星
探査機ですが、MUSES-C“Mu Space Engineering Spacecraft”(ミ
ュー・ロケットで打ち上げる工学実験探査機)のコードネームから
判る様に、将来の本格的なサンプルリターン探査に必須で鍵となる
技術を実証する為の工学技術実証衛星であり、正に、その目的通り
にミッションを遂行していると言えると思います。また、この様に
大変な苦労を通して手に入れたノウハウを簡単に放棄して良い訳が
ないとも思うのです。


◎「はやぶさ」は、本来であればリアクションホイール3個で姿勢制
御を行う様になっています。

● ホイール1個機能停止。
⇒⇒リアクションホイールの残り2個と化学スラスタで制御。
(ここまでは普通の「こんなこともあろうかと」な範囲でしょう。)

● ホイールさらに1個機能停止!化学スラスタも全損!燃料も全部漏れた!
 漏れた燃料が機体内で凍ってる!!通信も途絶!!!バッテリも壊れた。
 太陽電池パネルは常に太陽を向けなきゃなんない!!!
⇒⇒姿勢が狂っても、ほっとけば持ち直すように設計してたんだよね。こんな
  こともあろうかと。1年以内に60%の確率で通信回復するはず。
 (数ヵ月後)ほうら3ヶ月で通信が繋がった!
⇒⇒とりあえずイオンエンジンの中和器から生キセノン吹かして姿勢制御。
  こんなこともあろうと中和器の向きを微妙にずらしてたんだよね。
⇒⇒機体内をヒーターで暖めてベーキング。爆発しないようにゆっくりとね。
  気化した燃料はそのうち機体外に逃げるだろう。

● 生キセノン吹かしつづけてると地球帰還用の燃料が足らなくない?
⇒⇒あ、風車の原理で太陽光圧を利用して回転させて安定させればよくね?
  こんなこともあろうかと、回転軸が機体の中心を貫くように設計してたんだよ。

● 地球帰還用のカプセルに採取した試料を入れるにはバッテリーの電力が必
 要だなぁ。でも極低温で短絡故障(ショート)してるから下手に充電すると
 爆発しそうだなぁ。
⇒⇒あ、古河電工のおっちゃんが補充電回路で充電する裏技教えてくれた。
  電源オンオフを高速連打すれば良かったんだ、ラッキー。
⇒⇒よし、地球帰還航行開始っと。イオンエンジンは3基生きてるからオッケー。
  ホイールは残り1個だから今のうちに何かいい手を考えておこうっと。

● 地球帰還第一期軌道変換完了。半年お休みして、第二期軌道変換開始。
 イオンエンジンBはどうやら寿命らしい。お疲れさん。残り2基。

● おや、メモリエラー(SEU)か。
⇒⇒良くある良くある。とりあえずセーフホールドモードで指示待ちっと。
  地球から診断してもらってイオンエンジンも再起動出来たので巡航再開。

● 「はやぶさ」イオンエンジン1基に異常」 っっっっきゃーーーっ!
 残りエンジン1基じゃ推進力足らないっ!
⇒⇒スラスタAの中和器とスラスタBのイオン源を組み合せることで、2台合わ
 せて1台のエンジン相当の推進力を得ることができるじゃん、余裕余裕。 ←今回



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2009年11月19日木曜日

Did Hatoyama intend to abandon Japanese claim for Northern territory? 鳩山首相は、北方領土要求を放棄するつもりだったのか?

「北方領土で日ロ会談」を撤回=言葉の軽さ浮き彫りに-鳩山首相

「現実を考えればなかなか難しい。意気込みみたいなものを申し上げた。」 
鳩山由紀夫首相は18日夕、午前中に行った北海道の高橋はるみ知事らとの会
談で、北方領土で日ロ首脳会談を行う案を検討する考えを示したことについて、
記者団に真意をただされるとあっさり撤回した。
首相は会談では「北方四島の択捉島なり国後島で、ロシアのメドベージェフ大
統領と会談できれば、それは一つの考え方だ」と言及。しかし、記者団には「
大統領とそういうところで議論できたら、問題解決に向けて大きく展開するん
じゃないかという思いで申し上げた」と、あくまで意気込みを語ったものだと
釈明した。
主権をめぐりロシアと係争中の北方領土で、首脳会談開催が困難なのは明らか。
首相はそれを承知の上で発言したことを認めた格好で、米軍普天間飛行場移設
問題での発言の迷走と同様、「言葉の軽さ」が問われそうだ。 
(時事通信 2009/11/18)


好意的に考えると鳩山首相としては、日ロの対立の象徴となってい
る北方領土で首脳会談を開く事で、自身の友愛外交を象徴的に歌い
上げたかったのかなと思います。しかし、その様な鳩山首相の思い
とは別に、国際的、外交的な常識としては、領土係争中の土地での
首脳会議に、その領土問題が解決する見込みもないのに参加する事
は、相手側の領土権主張を認めているのに等しい事になります。

昨年の北方領土でのビザなし交流でロシアが出入国カードの提出を
迫ったため、日本側はロシアの北方四島の主権を認める事になると
して拒否し、医療物資を載せたまま根室港に帰航、人道支援事業が
一時中止となる事態となったのも、同じ考え方によるものです。

北海道から選出されている衆議院議員であり、祖父が日ソ国交回復
を実現した功労者である鳩山首相がその事に対して知識がなかった
とは考え難い訳ですから、勘ぐれば、鳩山首相が北方領土を訪問す
るのは、北方領土問題の「全面的解決」に関して余程の成算がある
と想像できる訳で、そうであったからこそ、マスコミが大きく取り
上げたのだと思います。

では、鳩山首相は、どの様な、全面的解決策を考えていたのでしょ
うか。ロシアが、北方領土問題に関して、二島返還論以外の解決を
拒否しているのは、良く知られている処ですし、メドベージェフ大
統領やプーチン首相の「強いロシア」路線からして、三島返還論や
3.5島返還論(領土按分論)であっても、余程、長い交渉が必要と言
うのが大方の見方です。また、鳩山首相の帽子の中に、ロシア製の
手品の種があったとすれば、こんなに簡単に発言を撤回する必要が
逆に無い事になります。つまり、最初の北方領土での首脳会議発言
をした時、鳩山首相は祖父の路線による二島返還論しか頭になかっ
たのではないかと思えるのです。

そして、ここで自身の二島返還論による解決案をはっきりさせてし
まうと、自身と民主党に対する世論の風当たりが懸念されるので、
慌てて撤回したと言う訳です。こう考えると鳩山首相の理想とする
友愛外交とは、すべからく日本の国益放棄を前提にしているの
ではないかと懸念されるのです。


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